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第9話

葛城が磯城の秘奥にそっと指を入れた。ゆっくりと侵入した指が僅かな塊に触れると、磯城の体に電流が流れたような刺激を与える。磯城が反応した事を察すると、葛城は執拗にそこを攻めた。 「ああっ……ああーっ……」  堪えきれない喘ぎが漏れる。磯城は、口を押えたいがそれも叶わない。 「我慢することはない、磯城の可愛い声を聞かせてください」  磯城は羞恥と屈辱にまみれた。磯城の東宮の叔父、後見としての矜持、そして理性も今は役に立たない。体は熱でうなされたように熱い。もっと強い刺激が欲しい。逝きたい、欲望を放ちたい。 「もうっ……ゆっ、許してくれ……ああっ……ゆ、許して……」  もう限界だった。すがりつくような声で哀願する。葛城も磯城の限界を悟る。 「吾が妃になりますか?私を背の君と受け入れるなら、逝かせてあげますよ」 「だ、だめだ……私はそなたの叔父であり後見だ……そのようなこと絶対に認められない」  まだ理性が残っているのか……葛城は焦れたが、これでこそ我が愛する人。簡単に落とせない人を落とすことに価値がある。  葛城は下肢を寛げ、怒張した若い牡を磯城の色づいた花蕾に入れる。媚薬と指淫で慣らされたそこは、難なく受け入れていく。 「ああっ……だめ……ああーっ」  もう体は落ちていた。葛城の牡を受け止め、狂おしく反応する。  激しく突き上げられると、疼きが癒され、淫靡な快楽が磯城の体を突き抜ける。その瞬間まであと少しと追い上げられたところで、葛城は身を引いた。 「ああーっだめ……そのまま……」  磯城は狼狽して思わず葛城に縋った。 「そのままなんですか?どうして欲しいですか?」 「うっ……」  磯城が潤んだ眼で訴える様に、葛城は己の勝ちを確信した。 「逝きたいのでしょう。吾が妃になりますか?誓えば腕も解いて、優しく悦楽を味わわせてあげますよ」  逝きたい。理性などかなぐり捨てたかった。だが磯城は、僅かに残る理性を奮い立たせた。 「なぜ、そこまで私に執着する。そなたのためには、後見として生涯尽くすと誓う。だからどうかもう許してくれ」 「表では後見として、奥では妃として尽くして欲しいのです……磯城の体、そのままでよろしいでしょうか? 淫らに疼いた体を満たしてやれるのは私だけですよ」  その通りだった。生殺し状態で投げ出された体は、内が淫らに蠢いて限界だった。磯城は気も狂わんばかりの疼きに堪えていた。  葛城は再び磯城の花蕾に牡を侵入させた。そこは待ちかねたかのように葛城の官能の昂りを受け入れる。 「ああーっ」  磯城は再び甘い喘ぎを漏らす。だが、またもや葛城は身を引く。その後何度も、磯城を追い上げては、突き放した。  葛城も必死だった。若い葛城にむろんこのような技巧はない。全て淡水の指示に従い磯城を限界まで追い詰める。  淡水は、初めて磯城に会った時美しい人だと思った。  これほどの美貌を持つものは母国の花郎にもそうはいない。しかも高嶺の花だ。  この高貴な美貌を持つ人が落ちる様を見たいと、暗い欲望もあった。そのために東宮へ、自分の知るあらゆる秘技を授けた。  磯城は悩乱状態に陥った。身も世もあらず肉の疼きを癒されたかった。楽になりたかった。追い上げられて、正常な心を失っていく。 「ああーっ……ああっ……うううっ……」  濡れた口唇から、叫びとも喘ぎとも言える甘い声を漏らす。陶酔の言葉と共に啜り泣く。  端正な美貌が、妖艶な魅力を放つ。その様はあまりに淫靡で葛城は、蕩然としながら磯城の内奥をえぐった。 「ああーっ……そのまま逝かせて……」  もう離されまいと、縋りつくようにして哀願する。 「吾が妃になると誓うのです。でなければ永遠にこのままですよ」 「なっ……なる……誓う……」  花よりも美しい、高貴な気品溢れる憧れの君が吾が手に落ちた。葛城は歓喜した。吾が妃に最初の褒美だというように、葛城は激しい抽挿で攻める。  磯城は絶息するかのような、激しい瞬間にさらされ朦朧となってゆく。葛城が磯城の内奥に欲望を迸らせたと同時に意識を失くした。

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