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第三章 揺れる心(4)

 月城の、もう片方の腕が上条の腰から前に移り陰茎に触れてきた。握り込まれ軽く扱かれては、吐息と共に甘い声を漏らした。同時に乳首を摘み上げて、指の腹で弄られているのだから堪らない。 「んっ……ああ……ん……やめっ……」 「いい声だ……もっと鳴いてみろ……」  尻臀をグイッと開き、奥の窄まりを舌先で舐められて上条に緊張が走った。本来なら決して暴かれない、慎まくも卑猥な場所を丹念に舐められて、刺激された蜜口が微かに開いた。隘路に舌先が忍び込んで内壁の襞までもを吸い付くようにしゃぶられる。 「……いや……だ……なめ……な……」 「観念しろ……痛いようにはしない」  足元に置いたボトルの蓋を開けて、月城は掌にローションを乗せた。彼の長い指が上条の窄まりをゆっくりとこじ開ける。舌で解されていたとはいえ、初めて受け入れるのだから容易ではない。 「はぅ……あっあぁ……っ」 「思ったとおり、感じやすい体をしているな」  挿れた指を中で蠢かせて、後孔の襞を解し隘路に押し入ってくる。指先で最奥を突かれた瞬間、いやそれよりも手前なのか感じたことのない感覚に上条は全身を震わせて仰け反った。二本に増やされた指が、また同じ内側を擦り、咄嗟に上条は両手で口を塞いだ。必死に喘ぎを堪えてようとする反面、体は正直だった。月城の指を奥へと誘い込み腰を揺らす。今や指はスムーズに奥へと進入し易々と抽送を繰り返した。口を塞いだ甲斐なく刺激されるままに矯声を漏らし続ける。今まで味わったことのない悦楽に、いつしか両手でシーツを掴み腰だけを高くあげた痴態に羞恥も忘れて揺すっていた。 「ああ……っ……んん……」 「ここが、いいようだな」  味わったことのない未知な快感に、どう抗えばいいのかと戸惑う上条をさらに追い詰める。上条の陰茎に触れる愛撫は、巧みさが増していくばかりだ。 「なっ……いやっ……そんな……もう……っ……ああっ!」   前後の過敏な箇所を巧妙に弄られて、気持ちが良すぎてどうにかなりそうだった。医師である上条も、前立腺の刺激が悦楽を持たせることは知識としては知っていたが、誇張されていると思い込んでいた。医学上でも自然の摂理においても、本来の目的からは逸脱した行為なのだと。それなのに、こんなに感じているなんて。断続的に悦楽が上条を襲い指がまた内側を抉った瞬間、上条は白濁を放って月城の指を濡らした。ずるりと抜いた指に安堵を覚えたが、上条は身動きができずにシーツを掴んだままだった。背後から容赦のない声がした。 「少し、痛いかもしれないが……」 「……そんな!」  想像を凌ぐ屹立した陰茎が後孔にあてがわれて、上条は慄いた。 「む、無理です!」 「いい子だから……」  月城の甘い声は蜜口の奥を疼かせ、あやす囁きは蜜の誘惑だった。思考が停止しなすがままの上条の背後から覆い被さってくる。物欲しげにひくつく後孔に肉棒が滑る込んで、あまりの充溢に上条は息を呑んだ。整った顔が苦痛に歪む。       

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