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リベンジだ
体育祭を目前にした、残暑厳しい9月も半ば。理科準備室で始業前の団欒を過ごしていると、啓吾がウキウキしながら話を持ちかけてきた。
「なぁなぁ、お前ら今晩ヒマ? 週末だし、花火しねぇ?」
「急だねぇ。俺は暇だから良いけど。ゆいぴは夜出れる?」
「結人が来れねぇと意味ないんだけどな~」
「母さんに聞いてみるよ。けど、なんで僕?」
「夏祭りん時、俺らの所為で花火見れなくて、結人しばらく拗ねてたじゃん?」
「ああ~····あん時は場野がゆいぴを煽ったのが悪いんじゃないの?」
「まぁまぁ。結果的に、俺らもヤッたんだし。と、言うわけで花火リベンジだ!」
「やったぁー! って、まだ行けるかわかんないけど····」
僕は、あの日の悔しさを払拭できると思い、子供のようにはしゃいでしまった。
「花火はどうすんだ? みんなで買い出しに行くのか?」
「それがさ~、昨日商店街のガラガラで当てたのよ。めっちゃ大量の花火」
「さすが啓吾だね。運だけで生きてる感じ」
「莉久、よしてやんない····」
啓吾は頬を膨らませて、意地悪を言ったりっくんに意地悪を返した。
「ごめんって。俺ガラガラでポケットティッシュしか当たったことないからさ。ちょっと僻んだだけだから~」
「正直なヤツだな。よし、ポケティの莉久を許そう」
「なんか腹立つな····まぁいいや。啓吾サマあざーっす」
「軽っ! 全然感謝されてなーい」
「お前らうるせーな。いつまでやってんだよ」
「そろそろ戻るよ? HR始まっちゃうでしょ」
僕達は、いそいそと教室に戻った。
HRでは、先生が席替えをしようと言い出した。八千代と朔、啓吾は僕の隣を狙う。僕も、誰かの隣になれたら嬉しい。
けれど、現実はそう甘くはなかった。隣になったのはクラス随一のチャラ男、香上 雄樹 くん。あまり話したことはないので、彼の事はよくわからない。
とりあえず、八千代たちが凄く警戒している。それと言うのも、香上くんのスキンシップが激しいからだ。
パーソナルスペースの違いとは恐ろしい。香上くんは、啓吾以上にチャラい。悪い人ではないのだろうけれど、いちいち距離感が近すぎて苦手だ。
そんな香上くんが隣になったわけだ。事ある毎にくっついてきて、2限目には嫌気が差していた。正直しんどい。何がって、八千代たちからの視線だ。
教科書を忘れたと言うので見せてあげると、顔がくっつくほど接近してくる。4限目には、分からない所があると言うから教えてあげていたら、ノートを見ないで僕の顔ばかり見て、挙句の果てには腰に手を添えてきたのだ。
授業中なのに、八千代が凄い勢いで立ち上がって、僕を拉致ってしまった。先生はビビってるし、香上くんはポカンとしてるし、この後、どう言い訳をすればいいのか······。
準備室に入るや、僕をソファに投げ飛ばすように勢いよく座らせ、間髪を容れず上に跨ってきた。そのまま貪るようにキスをして、シャツの中に手を入れると乳首を弄んだ。赤ちゃんの様に僕の胸を吸い、おへそや鳩尾を舐め、鎖骨を噛む。
「いぁっ」
「アイツなんなんだよ。俺····らの結人にベッタベタ触りやがって」
八千代はとても嫉妬深い。束縛こそしないものの、嫉妬を隠そうとはしない。そんな八千代が、俺らのって言った。それが、なんだかこそばゆい。
「ごめんね。僕もびっくりしちゃって····やんっ」
「なぁ、抱きてぇ」
甘いキスを繰り返しながら、甘えた声で囁かれた。
「うん。抱いて····」
運動部が使うシャワールームに連れられて、手早く洗浄してもらう。学校でする時はいつもこうだ。狭いからとカーテンを閉めずにする。人が来ない時間帯にしかしないとは言え、毎度気が気でない。さらに今日は、カーテンを開け放ったまま挿れられた。
「待っ····あんっ····するなら、カーテン閉めなきゃ、誰か来たら····んぁ、どうすんのぉ」
「まだ授業中だろ。誰も来ねぇよ」
「けど、もし来たら····んあっ」
もしも、誰かに見られたら····。存外、その背徳感は快感へと直結しているらしい。
「おーおー、すっげぇ締まるな。なに、興奮してんの?」
「違っ····けど、お腹の奥、きゅぅってして、凄いの」
体中を這うように快感が走り、壁に手をついて立っているのがやっとだ。脚がカクカク震え始めた。すると八千代が、僕の下腹部を指先で圧迫した。
「ここまで入ってんの、わかるか? すっげぇ奥····」
それだけで僕は、身体の芯が震え深くイッてしまった。
「動いてねぇのにイッた? すっげぇ変態」
耳元で息を吐くように、甘い吐息で話す。それだけでまた、身体が勝手に小さく跳ねてイッてしまった。
「お前、マジで感度良すぎだろ。そんなずっとビクビクイッてっと、もってかれそうになんだよ····」
そう言って、八千代は激しく腰を打ちつける。何度も何度も、僕がイき続けていても、噴くのが止まらなくとも。
「待っへ····も、らめ····もぉイけないよぉ」
「んなことねぇよ。まだまだナカでイケんだろ?」
「ナカで····イキすぎて、苦し····」
「そうか、なら······ちょっと力んでみ」
三本指で、僕のおへその下辺りをぐりぐりと押す。
「んんっ、そこ、指とおちんちんで挟まれてるみたい····」
「みたいじゃねぇよ。中からも外からも刺激して、何処まで俺のが入ってるか覚えさせてんだよ」
「それやっ、奥入っちゃうの、凄いわかるからぁ····ん゙あ゙ぁっ······ぐぽぐぽ、しないでぇ」
僕は、止まらない潮を撒き散らしながらイキ続けた。気づけばいつの間にか、僕のナカが八千代で一杯になっていた。
シャワーで、八千代の出したものを押し流し綺麗にしてもらった。その間も、ずっと下腹部を刺激してくる。仕舞いには、下腹部をトントンされるだけで、きゅんきゅんするようになってしまった。
「ねぇ、トイレ行きたい····」
「ここでしていいぞ」
「はっ!? ヤダよ」
「いいから、出せよ」
「い、やだ、やっ······八千代のばかぁ······」
八千代は、容赦なく下腹部を刺激してくる。こんなの我慢できない。
耐えきれず、しょろしょろと漏らしてしまった。高校生にもなってお漏らしを見られるなんて、こんなに屈辱的な事はない。
涙目で八千代の肩を握る僕を、八千代は恍惚な表情を浮かべ瞬きもせずに見ている。そして、再び僕のナカに入ってきた。片脚を抱えられ、グッと押し挿れられたが、身長差の所為で体勢が辛い。すると、八千代は僕の両脚を抱え、お尻を鷲掴んで持ち上げた。
「あっ、ダメっ! これ、すっごい、お゙っ、奥ぅ゙ぅ゙っ····」
「ちょっと声抑えろ」
八千代は僕の口を塞いだ。両手が塞がっているのだから、勿論口でだ。僕になす術はなく、八千代の思うままに揺すぶられ、八千代がイクまで自由に使われた。
あまりに深い悦楽の中で、僕たちには校内に響くチャイムすら聞こえなかった。
再び掻き出す作業を終えた時、シャワールームに誰かが入ってきた。僕達は身構えたが、見知った顔を見て心底安堵した。
「やっぱここに居た。お前ら、カーテンくらい閉めろよな」
啓吾が、いつの間にか昼休みになっていた事を報せに来てくれたのだ。
「ふはっ······あー、焦ったわ」
ペタっと壁にもたれ掛かった八千代は、乱れた髪を掻き揚げながら言った。
「焦んなら閉めろよ! 結人がビビって固まっちゃってんじゃん」
「お。わりぃわりぃ」
「八千代、軽いよ····。僕なんか、心臓止まるかと思ったのに」
「もう! いいからお前ら、さっさと服着ろよ。飯食おうぜ」
「あ、うん。僕もお腹空いた」
「お前、俺が言うのもアレだけどよぉ····。よくあんだけヤッた直後に食えんな」
「ん? 結構平気だよ。全員相手した後だとちょっと辛いけど」
「お前ら、どんだけヤッてたんだよ。けど結人、地味に体力ついてきてるよな」
「だって、八千代と毎朝走ってるもんね」
「走ってるってお前、1キロでへばってんじゃねぇか」
「こ、これからだよ。そのうち5キロくらい平気で走れるようになるもん」
「へぇ~。楽しみだな。ほれ、タオル」
「ありがと····あっ」
力が入らず、八千代に渡されたタオルを落としてしまった。
「結人、口だけじゃん。手も足もプルプルしてんじゃんか~」
啓吾がケラケラ笑いながら、手早くも丁寧に拭いてくれた。僕の恋人たちは、些か面倒見が良すぎる気がする。
服を整え、準備室に戻った。お弁当を食べたいが、とてつもなく眠い。早く食べて、少しだけ寝よう。
「ただいま~。やっぱシャワールームでそのまんまヤッてたわ」
「やっぱりか。おかえり、ゆいぴ。朔から聞いたよ、香上のコト。場野めっちゃキレてたって」
「場野が結人引っ張って出てった後、梶原先生も香上も、すっげぇビビってたぞ」
古典の梶原先生は、とても気の優しいおじいちゃん先生だ。本当に悪い事をしてしまった。
「後で俺から詫び入れとくわ」
「マジか····。場野が謝んのか。いや〜····、ホント丸くなったよな~。結人すげぇな〜」
啓吾がまた、余計な事を言っている。一体、僕の何が凄いのだろう。
「俺がキレて拉致ったのに、結人が謝んのはおかしいだろ」
「場野は筋を通せる男だな。いいと思うぞ」
「お前、何目線だよ。にしても、香上。アイツは放っとけねぇな」
「「だな~」」
りっくんと啓吾が、息を合わせて唸る。
ズゴゴゴゴッと、朔がパックのいちごオレを思い切り吸って凹ませている。
「ねぇ、朔も怒ってるの?」
「ああ、勿論だ。アイツ、結人の腰に手ぇ回してたんだぞ」
それだけで怒るなんて、やっぱり凜人さんとの事を言わなくて良かった。
それにしても、みんなの嫉妬心が燃え上がり過ぎていて怖い。こうも敵意を顕にしていると、さすがに香上くんの身が心配になってしまう。なんてったって、僕に関わると歯止めの効かない人ばかりだから。
さて、香上くんとの接し方が問題なわけだが、これは難題だ。
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