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頑張れ、冬真くん
一度きりの、冬真くんとのえっちが始まる····。一瞬眠った所為か、頭がスッキリしてしまい凄く緊張している。
だけど、冬真くんはそうでもないようだ。皆に見守られながらも、冬真くんは慣れた手つきでお尻を弄り始めている。
「んんっ····冬真くん、男同士でしたことあるの?」
「ないよ。なんで?」
「なんか、凄く慣れてるから····」
「だって武居のケツ、女の子のと変わんないよ? めっちゃ柔らかいし吸い付いてくるし、ヤバいくらいエロいもん」
「や、やだ····そんなこと言わないでよ····」
「····可愛いなぁ。これ、解す必要ねぇよな?」
「ん、もう挿れる?」
「ん〜····いや、もうちょい弄る」
悪巧みをしているような顔で、冬真くんは前立腺を刺激し始めた。
「んっ、ふぁっ····それぇ、コリコリしちゃらめ····」
「これ気持ちイイんだ。最初、場野にされてる時イッてたのこれだろ。ははっ。少ないけど、まだ出るなぁ」
「冬真くん、も、指いいから····おちんちんがいいよぉ」
「なぁ、アレやらせてもいい? 啓吾が言わせてたやつ」
「せっかくだからどーぞ」
啓吾が投げやりに言った。アレって、お強請りの事だろうか。
「お強請りすりゅの? していいの?」
「せっかくだから、一生思い出に残るようなの言ってあげなよ。ゆいぴ以外の女の子抱けなくなるようにさ」
「僕、女の子じゃないのにぃ」
(って言われても、なんて言ったらいいんだろ····。んー····いつも通りでいっか)
「んぇっと····、僕のえっちなアナルにね、冬真くんの硬くておっきぃおちんちん、挿ぇてくだしゃい。ナカね、皆の精液でぐちょぐちょらけど、冬真くんのでもっとぐちょぐちょにして?」
自らの手でお尻を開いて見せ、挿れてほしい気持ちを一生懸命伝える。くぱぁっと開くと、皆の精液が溢れ出てきた。
僕のお強請りに応えて、冬真くんは僕の両足首を掴み、荒ぶる息を抑えながら言った。
「なんっなの? 溢れてくんのエロッ! つぅか涙目で何言ってんの!? これ、どこまでやっていいんだろ。結腸挿れてみていい? キスは?」
「神谷うるせぇ。キスはダメだ。万が一したら、舌引き抜いてやるからな」
朔が不機嫌そうにこちらを見ている。少し怖いが、朔の冷ややかな目は雄っぽくてえっちだ。
「朔ぅ、かっこいぃ····」
「なぁ武居、今は俺の事だけ見てて。俺とのえっち、忘れらんないようにすっげぇ気持ち良くしてあげるから」
甘い言葉を囁いて、冬真くんが僕のナカにゆっくり入ってきた。冬真くんのおちんちんも大きくて、亀頭が入った時の存在感が凄い。カリ高なのか、前立腺をゴリゴリと抉り潰しながら奥まで進む。
「んぁ゙っ····やっ、じぇんりちゅせん····ちゅぶしちゃ、らめぇ····」
「ここだよな? あ〜っ、すっげぇ締まる。奥抜いていいんだよね? 俺ので届くかなぁ····。届くといいなぁ〜」
冬真くんはルンルンしながら奥の扉をごちゅごちゅ叩き、加減を覚えると遠慮なく貫いた。ぐぽぐぽすると、カリが凄く引っかかる。
「んっ、ぉ゙あ゙····ぐぽぐぽ、しゅごっ、カリ、引っかかる、の····だ、め····声、出ちゃ····」
冬真くんは僕の口を塞ぐと、奥を抉るスピードを速めた。
「んぅ゙····ん゙ん゙ん゙ぅっ!!!」
「冬真、それ以上やったら吐く。奥、1回やめたげて」
「あぁ? あぁ····吐いたらマズイの?」
「片付けが大変なの。家じゃねぇんだからさ」
「あ、そっか。そうだね。····落ち着いたら、後でもっかいしてあげるね」
冬真くんは、奥の部屋から出ると耳元で囁いた。耳が弱いと知っての悪戯だろうか。
「やっ、奥もっと····吐いてイキたい····冬真くん、奥、ぐぽぐぽしてぇ」
僕が冬真くんにお強請りすると、朔がイラつきを隠さず強めの口調で言う。
「結人、吐くのはダメだ。····夕飯美味かっただろ? 勿体ねぇぞ」
「んっ····吐かない。晩ご飯、美味しかったねぇ」
「んぐぅ····。何これ、なんなの? 可愛い過ぎんだけど!!」
「冬真うるせぇ。ふわふわした結人はこんなんなの。飲ませたらもっとやべぇよ」
「飲ませたんかよ。あ〜、それも見てぇ····。やっぱ、俺も仲間に入れてほしいなぁ····」
冬真くんは寂しそうな目をして、僕を見つめて言った。冬真くんの本心がなかなか見えなくて、その言葉のひとつひとつに振り回される。
「冬真くん、寂しいの? ギュゥってしてあげぅ」
僕は、冬真くんを抱き寄せた。首にしがみつくように抱き締めると、冬真くんが耳元で小さく呟いた。
「結人、また抱いていい? 何回も抱きたいな····。俺、結人の事マジで好きになっちゃったかも」
「んっ、ふぁぁ····」
「おい場野。アイツ今、結人に何か耳打ちしたぞ」
「したな。後で聞き出す」
「ったくもう····、イチャつくなって言ったのにぃ。結人から抱き締めてんなよな」
甘い声とイケナイ言葉が腰にクる。それに、普通に名前で呼ばれている。モテる男はドキドキさせるのが上手すぎるよ····。
なんだか、朔と八千代が何を言われたのか気にしているようだが、これは言って良いのだろうか。冬真くんの身が心配だ。
「冬真くん····だめぇ····」
耳でイッてしまい、脳が焼き切れそうなほどジンジンしている。
「冬真でいいよ。なぁ、もっかい奥抜くよ?」
「んんっ····冬真····冬真ぁ····奥らめ····イッちゃうよぉ」
僕は、力一杯抱き締めてイッた。イッている間も、冬真は構わずぐぽぐぽし続ける。
「武居? 俺とのえっち気持ちぃ?」
そうか。皆に聞こえない時だけ結人って呼ぶんだ。なんというテクニックだ。まんまとドキドキしてしまった。
「気持ちぃ····いっぱいイッてぅ····も、イケな····なんにも出にゃいぃ····」
「そっか。あぁ〜······イクの勿体ねぇなぁ。ずっと武居んナカに居たい」
「んんっ、冬真····僕のナカ、気持ちぃ?」
「気持ちイイ。アイツらがハマんのわかったわ。これ、マジでもう女抱けないかもしんない」
「んぇ? 冬真、僕しか抱けないの? えへへっ。僕だけの冬真だぁ」
「こいっつ、マジで何言ってんの? わかってて言ってんの?」
「わかってないよ。結人さ、気持ちくなっちゃうと殆どワケわかんなくなってるからね。こっちから言うまで忘れてるし」
「はぁぁぁぁ······。厄介すぎんだろぉ······」
「でしょ。そこが可愛いんだよ、俺らの嫁は」
「はぁぁ?? 惚気けてんじゃねぇよ。絶対また抱いてって言わせてやる」
「あはは。ムダムダ。そんな頑張んなくても、気持ちイイ事したら簡単に抱かせてくれるもん。だぁから俺らが必死こいて護ってんじゃん」
「お前らマジで狂ってんな。ハァ····こんなんハマんなっつぅほうが無理だろ······」
「冬真? 僕でイケない? 奥、ちゅぶしていいよ。めちゃくちゃにして? らからね、冬真もいっぱいイッてね?」
「んはぁっ······わかった。もう加減しないから、ちょっと口塞ぐよ? 苦しかったらごめんな?」
冬真は僕の口を力強く押さえ込むと、カリを出し挿れしだした。入り口でカリが引っかかって、抜ける時の引っ張られる感じが堪らなく気持ち良い。
そして、今度は奥でまた、大きなカリを引っ掛けてぐぽぐぽする。ひたすらイキ続けて、上手く息が出来なくなってきた。
「冬真、結人苦しそうだからそろそろ終わったげて。ナカでイッていいから」
「ナカでって、俺だけゴムつけてんじゃん!」
「当たり前だろうが。なんで生でヤれると思ってんだよ。馬鹿じゃねぇの?」
「くっそ····。武居、イクよ。奥でイクからね。もうちょっとだけ頑張って」
「んっ、ふぐぅっ····んぅ゙····イ゙ッん゙ん゙んっ」
冬真はぐんぐん奥に押し込み、僕のお強請りに応えて沢山出した。そして、おちんちんを抜かないまま、僕の上に倒れ込んだ。
「んぅ····重い······」
「神谷、さっさと退け。結人が潰れてんだろ」
「へぁ〜····やっべぇ······もう動けねぇ」
「ここで寝んなよ。部屋に帰れ」
「瀬古さぁ、俺の事嫌いなの? 当たりキツくねぇ?」
「好きでも嫌いでもねぇ。お前はこれっきりの奴だ。とにかく、約束は守れよ。んで、今すぐ帰れ」
「めっちゃ怒ってんじゃん····。わーかったよ。帰るよ。武居? 大丈夫?」
「らいじょーぶ····らいじょー··ぶ····」
「あのな、すげぇ気持ち良かったよ。ありがとな。これっきりってのはなんかヤだけど····。俺、部屋戻るね。おやすみ」
「冬真····? おやしゅみぃ······」
冬真は服を整えると、そぅっと静かに部屋を出ていった。誰も見送ることはせず、僕と寝床の処理に追われている。
「ゆいぴ、神谷とのえっち気持ち良さそうだったね」
「うん、気持ち良かったぁ。でもね、やっぱりねぇ、皆とはなんか違うの。なんだろぉ····僕からの愛情の差、とかなのかなぁ」
と、素で言ってしまい恥ずかしくなった。朔が僕を抱き締めて、首筋を嗅ぎながら沢山キスをしてくる。
「朔、どうしたの? んっ、擽ったいよぉ」
「お前、神谷のこと好きになってねぇか?」
「なってないよ。僕が好きなのはねぇ、朔と八千代とりっくんと啓吾だけだよ。えへへ、大丈夫らよ」
僕は、朔を思いっきり抱き返した。朔は安心してくれたのか、首筋から顎へ、頬から口へとキスを繋ぐ。
「はぁっ····ん····」
キスが気持ち良くて、僕はいつの間にか眠りに落ちていた。
翌朝5時頃。まだ外は薄暗い。今日は八千代に抱きしめられながら、後ろ手にりっくんと手を繋いで眠っていた。
2人の温もりが心地良くて、僕は再び瞼を閉じてしまった。
6時になり、八千代に起こされる。瞼に優しくキスをして、トロけるような声で『おはよ』と囁かれた。
「んぁ····おはよう、八千代」
「ん、おはよ。俺、準備してくっから。他のヤツら起こせるか?」
「うん、起こせるぅ」
昨夜の激しさが嘘のように、温かで穏やかな朝だ。
「りっくん起きて。手、離すよ?」
「····やだぁ」
グズるりっくんに抱き締められ、離してくれない手を握り返した。
「りっくん、起きたらキスしてあげる」
「起きた。ん····」
りっくんのキスを待つ顔は、寝起きにもかかわらず綺麗だ。そっと唇を重ね、こそばゆい目覚めの一時を共有する。
「今ね、八千代が支度してるよ。りっくんも先に準備してきて。僕、啓吾と朔起こしてくるね」
僕達とは反対側の隅っこで、啓吾が朔のお腹に脚を乗せて寝ている。朔が寝苦しそうだ。
「啓吾、朔。6時だよ。起きてね」
「ん〜····やだ。まだ寝る····」
「啓吾、おちんちんは起きてるのに····」
なんだか可愛いなと思って、ズボン越しにおちんちんにキスをした。すると、啓吾が凄い勢いで起き上がり、寝ぼけ眼を見開いて驚いていた。
「え、結人····今何した?」
「先に起きてたおちんちんに、おはようのキスしたの」
「····しゃぶる?」
「食べたいけどダメ。時間ないよ。今はおちんちんよりね、朝ご飯食べたい」
僕のお腹の音が言葉を飾り立てる。
「あはは。腹減ってんのね」
「おちんちんはまたね」
「んじゃ、今はこっちだけな」
そう言って、啓吾は啄むようなキスをして、支度をしに行った。残るは朔だ。
「朔、起きれる? んー、起きないなぁ····。そうだ!」
美しくも凛々しい寝顔を晒している朔を写真におさめてから、瞼にキスをして耳元で『おはよう』と囁いた。
僕は、八千代にされたまんまをしてみた。これでドキドキして起きるだろうと思ったのだ。しかし、予想外の展開に僕の心臓が跳ねてしまった。
「わぁっ」
「おはよう、結人。良い起こし方してくれるんだな」
瞬く間に押し倒され、両手を顔の横で押さえつけて、馬乗りで組み敷かれてしまった。そして、耳を食みながら挨拶をしてくれた。瞬時に赤面したのが自分でわかるほど、顔も耳も熱を帯びている。
「朔さん、支度しないとダメですよ。離して····?」
「なんで敬語なんだ? ふはっ、顔真っ赤。朝からすげぇ可愛いもん見れたな」
すぐに解放されて、朔はご機嫌で支度をしに行った。
誰も、夕べの事について何も言わない。冬真とのあれは、リアルな夢だったのだろうかと思ってしまう。
いや、本当にそうなのかもしれない。僕がみんな以外とえっちするのを許すなんて、夢でもなければ有り得ないだろう。
僕の中では夢だったと結論づけて、皆で大広間へと向かう。りっくんはまた自分の班に戻り、4人で席に着く。
今日は僕の隣に八千代が座る。例の如く、啓吾が不満そうだ。
「啓吾は帰りのバスで隣に座るでしょ? 時間的に1番長いんだから、不貞腐れないでよぉ」
「でもさ、途中の休憩で朔と変わるじゃんかぁ。まぁ、隣にいる間に色々するからいいけど」
「啓吾、バスの中では何もしないでよ? ホントにダメだよ」
「大畠、どうせやるんだったらバレないようにしろよ」
「わかってるよ〜。もうヘマしないから☆」
そう言って、啓吾は軽くウインクを飛ばした。朔はそれを冷ややかな目で見て、大きな溜め息を吐いたのだった。
冬真くんがいつの間に部屋に戻ったのか、啓吾とのえっちが終わってからの記憶が曖昧だ。けど、皆もいつも通りだし、昨夜の事も話題にあがらない。これは夢で確定かもしれない。
あんな夢を見るなんて、皆に申し訳ないな。そう思っていたら、渦中の冬真くんが僕の隣に座った。
「おはよ」
「冬真くん、おはよう」
「あれ? 呼び方戻ったね。冬真のままでいいのに」
戻った······? と言う事は、断片的に残る記憶で、冬真と呼んでいたアレは夢ではなかったのか。やはり昨夜、僕は冬真くんに····いや、冬真に抱かれたのだ。
「あ、えっと····夢じゃなかったんだ····」
「ふはっ····。何? 結人、夢だと思ってたの? そんでか。普通すぎると思った〜」
啓吾がケラケラ笑っている。朔と八千代は呆れ顔で溜め息を吐く。
「まぁ、武居ヘロヘロだったもんな。ってここで話したらマズイよな」
「ねぇ、冬真··は、僕たちの味方なの? 敵なの?」
「ざっくりしてんねぇ。んー····敵になるつもりはないよ。けどまぁ、味方かどうかは武居次第かな」
「お前、何か企んでんじゃねぇだろうな。結人に手ぇ出したら、ただじゃ済まねぇ事くらいわかってんだろ」
八千代が冬真に凄む。けれど、冬真はそれを軽くいなす。
「お前らを敵に回すほど馬鹿じゃないよ。ただね、素直に応援したくなくなっただけ」
応援したくなくなったという事は、僕が夕べのえっちで、何か粗相をしてしまったのだろうか。不安になり、お腹の辺りがドクドクした。僕は、思わず顔を伏せる。
深呼吸をして顔を上げると、啓吾たちが冬真を睨んでいた。どうしたのだろうか。
「え、どうしたの? なんで冬真のこと睨むの? 僕が何か失敗したんじゃないの?」
「いや、ミスったんは俺らだわ。まさか、冬真が本気になるはずねぇと思ってたから」
「えー? 俺、何事にも真剣に取り組むタイプだよ。軽いって思われがちなのが不思議なくらい」
「その軽口が原因なんじゃないか? ふざけてるようにしか聞こえねぇからな」
朔まで喧嘩腰に話すし、八千代には席を代われと言われて移動させられた。なんだか、空気がピリピリしている。
お膳が運ばれてきて、楽しみにしていた朝食を食べ始めた。が、空気が重くて食べていても楽しくない。
「ねぇ。なんで皆怒ってるの? 誰か説明してよ····」
「なんでわかんねぇんだよ。お前、いくらなんでも鈍感すぎんだろ」
「鈍感って、僕が? なにそれ。なんで僕、いきなり悪口言われてるの?」
「結人。ここじゃアレだから、部屋に戻ったら説明してやる」
「むぅー······んぅっ!?」
納得がいかずに口を尖らせていたら、啓吾が僕の口に卵焼きを突っ込んできた。
「これ、めっちゃ美味いから1個あげる」
そうやってまた、食べ物で機嫌をとろうとするんだ。その手には乗らない····と思ったが、お出汁がきいた優しい甘さの卵焼きが美味しすぎて、まんまと乗ってしまった。
「んんっ! 美味ひぃね」
「結人はどれが好き? 俺ねぇ、この煮物好き。めっちゃ美味いよ」
「僕はね、温泉卵が好き。····ん〜っ、煮物も美味しね」
啓吾のおかげで、楽しく美味しく朝食を頂けた。自分の単純さにほとほと呆れ、僕は部屋に戻ると猛省した。
「僕····単純過ぎると思うんだ」
「今更何言ってんだ、お前。んなもんとっくに知ってんだよ」
八千代が、さも当たり前のように言う。薄々自覚はしていたが、人に言われると腹が立つものだ。
「単純じゃないもん····」
「ははっ。どっちだよ。んで、単純じゃない結人くんは、なんでご機嫌ナナメなのよ」
「さっきの冬真の話。僕だけわかってないのヤだ」
「あぁ〜。んー······。冬真さ、結人のことマジで好きになったかもね」
啓吾は帰る支度をしながら、さらっととんでもない事を言い出した。
「······えぇっ!?」
「素直に応援したくなくなったって言ってたじゃん。アレ、自分も好きになったからライバルねって事だろ」
「えぇ〜····。僕、てっきり何か粗相でもしたのかと思ってた······」
兎にも角にも、僕の所為で荷物の量がエグい。皆で手分けして片付けるが、冬真の話で僕の手が止まる。見かねた八千代が、僕がまとめていたタオル類を取り上げて片してくれた。
「お前、昨日アイツに抱きついた時、耳元で何か言われてただろ。何言われたんだ?」
「え? 何か言われたっけ····。て言うか、抱きついたっけ? んぇ〜······覚えてないです」
「っざけんなよ····。お前から抱き締めてたじゃねぇか。何か言われた後、お前イッてたんだぞ。何か言われたはずだろ。思い出せ」
と、八千代に言われたが、抱き締めた事すら覚えていないのだ。思い出せるわけがない。
その後も、暫く思い出そうと試みたが断片的にしか思い出せず、恥ずかしさがぶり返すだけだった。
身体の熱が冷めやらぬまま、帰りのバスに乗り込む。隣に座った啓吾は、冬真の話をしている時とは打って変わって機嫌が良さそうだ。
何かを企んでいるのか、はたまた素直に僕の隣を喜んでくれているのか。どちらにしても、帰りのバスで安息というものを味わえそうにはないと、密かに心の準備をした。
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