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閉じ込められちゃった

 密室で啓吾と2人きり。チャンスといわんばかりに啓吾が迫ってくる。 「ダメだよ、啓吾····。ね? 人が来たらどうするの?」 「まだ来ねぇよ。来ないから閉じ込められてんじゃん?」  そう、僕たちは今、別棟にある資料室に閉じ込められているのだ。  あれは、遡ること20分前····。  啓吾とトイレに行った帰りの事。社会科のおじいちゃん先生が教材を山ほど抱えて運んでいたから、僕たちが代わりに持って行くと名乗り出た。それで、2人でこの古い資料室に教材をしまいに来たのだ。  そして、無事に教材を棚に戻したまでは良かった。部屋を出ようと思ったら、扉がビクともしないじゃないか。元々立て付けが悪かったのだが、おそらく、僕がよろけてぶつかったのがトドメだったのだろう。  窓は無く、通気口しかない。そこそこ貴重な資料をしまってあるから、この部屋だけ防火室になっている。壁が厚く、叫んだとて外には届かない。 「啓吾、スマホは?」 「電池切れてたから、莉久に充電頼んできた。結人のは?」 「教室。て言うか朔に預けてるんだ。トイレに行ってる間に、何かのアプリ入れとくからって」 「あ~····言ってたヤツか。だぁ~~~っ! 今かぁ····」 「え、何?」 「たぶんさ、朔が入れてんのGPSだわ。昨日言ってたんだよ。心配だからやっぱ入れようかって」  僕に何の断りもなく入れる辺り、朔らしいと思う。けど、本当にタイミングが悪かった。 「どうしよっか。放課後っつぅのがまた、なぁ····」 「皆、絶対また血眼で僕たちのこと探してるよ? どうにかして出ないと」 「けどなぁ····。このドア、無理やり開けんの難しいと思うよ?」 「だよね。うーん····」 「じゃぁまぁしょうがねぇからさ、ちょっとだけ····シよっか」  そして、今に至る。 「ちょっ、ダメだってぇ。ここ、濡れたらマズイものばっかりだよ」 「大丈夫、噴かさねぇから。これ巻いたら出しても飛ばねぇだろ」  そう言って、啓吾はインナーを脱いで僕の腰に巻いた。エプロンみたいだ。  いつもポケットに入れてるミニローションを取り出し、否応なく僕のお尻を解し始める。本気でするつもりなんだ。閉じ込められているのに、緊張感の欠片もないんだから。 「啓吾、出る方法探さなくちゃ····」 「ん。ヤッてから考えよ。ほらぁ、結人ももう欲しそうじゃん」 「やんっ♡ グリグリ押しつけないでぇ」 「押し付けんのイヤ? え〜どうする? やっぱやめとく?」 「なっ····、今それ聞くの····狡いよぉ」 「へへっ。俺のちんちん欲しい?」 「う、うん····」 「なら強請ってみ」  卑怯だ。僕がもう我慢できないのをわかっていて、こんな意地悪をするのだから。 「啓吾のおちんちん、欲しいです。僕のアナ····アナルに、硬くておっきいのくだしゃい」 「よ~くできました♡」  耳元で囁き、亀頭をぷちゅんと挿れた。圧迫感が凄くて、勝手に押し出そうとする。それに逆らって、ぐんぐん入ってくるのが気持ち良い。  流石の啓吾も、ここで長々とする気はないらしい。だからなのか、一突きめから激しい。  僕はもう、周囲にある貴重な資料や教材なんて、どうでもいいくらいには快楽に溺れている。いつもの様に、啓吾の好きに使われたいと思っていた。  後ろを突くのと同時に、インナーごと僕のおちんちんを扱く。締りが良くなるのか、早くもラストスパートに入った。  後ろから項を噛まれ、僕は深くイッてしまった。直後に啓吾もイク。 「結人、飲んでっ」  ずぽんっと勢いよく抜き、扱きながら僕の口に射精する。幾らか顔にかかり、それを指で掬って舐めて見せた。 「うはっ♡ えっろぉ····。もっかいシたくなんだろ」 「んぅ? もっとシたい····」  僕は、啓吾を見上げて言った。ふわっと手で目隠しをされ、甘くてやらしいキスをされた。 「ここで煽んのナシな。そろそろ莉久たちに見つかるだろうからさ」  なんて言って、ここでのえっちは終わった。おちんちんは、また元気になっていたはずなのに。きっと、辛いだろうに。  着衣を整えていると、本当にりっくんたちが見つけて開けてくれた。脳天気な啓吾に皆怒っていたけれど、普段とは違うシチュエーションでシた快感に、僕はまだぽわぽわしていた。  八千代の家に向かう道中で、閉じ込められている間の事を話した。カラオケでの一件があったから、血相を変えて探し回ってくれていたらしい。  なのに、僕たちときたら呑気にえっちシていたものだから、皆は相当怒っている。僕と啓吾ではぐれる事のないようにと、りっくんが何度も言っていた。  そして、りっくんのお小言が終わる頃、朔が得意気に言い放った。 「結人のスマホにGPS仕込んどいたから、これからはもう安心だな。結人、絶対にスマホは肌身離さず持ってろよ」  さっき、啓吾が言っていたやつか。 「えーっと、朔さん? そういうのは言ってからするか、いっそバレないようにするものじゃないの?」 「ん? あー····そうか。でも、知ってた方が万全だろ?」 「へ? まぁ····ね。でもさ、勝手にそんなの仕込んで、僕が怒るとか思わなかったの?」 「怒ったのか?」 「別に怒ってはないけどね····」 「なら問題ねぇな。よし、なんかおやつ食いに行くぞ」 「わーい♡ 僕ね、お腹すいてたんだぁ」  まんまと『わーい』だなんて喜んでいる場合じゃない。おやつで手玉に取られるなんて、完全に小さい子扱いじゃないか。  これまでの事を顧みると、それくらいの事をされても不思議ではない。けれど、こんな調子で僕は大丈夫なのだろうか。過保護に拍車がかかっている気がする。  八千代の家に行く前に、ショッピングモールに寄ってクレープを買った。しかし、おやつがこうも甘いものばかりだと、また母さんが心配するだろう。  そこで、啓吾が野菜を使ったお菓子を作ってくれる事になった。と言っても、作るのは八千代なのだが。明日からは、手作りのおやつが振る舞われるらしい。  翌日、八千代がキャロットケーキを持ってきてくれた。予想外に甘くて、人参感はさほど無い。普通のスポンジケーキみたいで美味しい。  明日は、かぼちゃプリンだと言っていた。今度、僕も一緒に作りたいな。  僕の甘やかしに際限がなくなっている今日この頃。父さんからの注意なんて、頭の片隅に追いやられていることだろう。  3年生になった僕たちは、そろそろ進路について真面目に考える時期がやってきた。本格的に進路相談が始まるのだ。 「皆、進路どうするの?」 「ゆいぴの第一志望って蹊進大学だよね」 「うん。りっくんも同じ··って····あぁ、だよね」  りっくんは僕が進路を決めた時から同じだ。その話をしたのは、確か1年生の終わりくらいだった。なるほど。ついてこようとしていたんだね。 「なんで蹊進なの? 結人だったらもうちょい上いけんじゃねぇの?」 「あのね、蹊進で心理学か保育の方専攻したいなって思ってたんだ。近場で両方充実してるのが蹊進だけだったの」 「お前、心理学興味あんの? つぅか保育ってなんだよ。んな話聞いた事ねぇんだけど。ガキの世話してぇの?」 「心理学は母さんの影響かな。あのね、僕小さい子好きなんだ。昔からよく懐かれるし。まぁ、夢って程のものでもないし、好きを仕事にできたらいいなぁって思ってた程度なんだよね」 「おい、エリート目指すんじゃなかったのか? つぅか、俺の会社で働くんじゃなかったのか?」  朔が焦ったように捲し立てる。 「今はそのつもりだけどね、資格とか持ってて損はないでしょ。ねぇ、保育園とか幼稚園で働くのも心配?」 「父兄から目ぇつけられそうだな。危険っつぅ程じゃねぇと思うけど」 「結人が先生かぁ。どっちが子供かわかんなそうじゃね?」  啓吾が失礼なことを言う。誰が園児レベルだ。 「啓吾、ホント失礼極まりないよね。で、皆はどうするの? 八千代と朔は進学でしょ。りっくんは専門学校も考えてるとか言ってなかった?」 「俺はゆいぴと同じとこ一択だよ」 「あのね、将来の事を僕に合わせて決めちゃダメだよ」 「俺も蹊進行くわ」  八千代がまた唐突に言い出した。今、りっくんに注意してたの聞こえてなかったのかな。 「俺も」 「朔まで!? ねぇ、ホントにそういうの良くないよ。自分の将来の事だよ。もっと真剣に考えないと」 「なぁ、俺でも蹊進いけると思う?」 「死ぬ気で頑張ってギリギリじゃない? ギリ赤点免れてるようじゃ無理だよ」  りっくんは手厳しい評価を下す。が、全員同意見だ。 「て言うか、啓吾も進学すんの? 就職でいいとか言ってたよね」 「俺だけ結人と居る時間激減すんのやだよ」 「でもさ、お金はどうすんの? 今貯めてる分で足りんの?」 「んぁ……。そうだ。それだ。今からじゃ無理かな。なんか方法ないの?」  この話は一旦持ち帰ることにした。進学先を決めるのも重要だが、これは啓吾の事が最優先だ。啓吾のお母さんにはもう頼めない。八千代と朔ならポンと出してしまいそうだが、絶対に啓吾が嫌がる。  さて、進路以前の問題が浮上した。どうしたものだろうか。

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