135 / 384

好きって気持ち

 八千代にしかできていない“大好きホールド”を、朔にもやってあげるんだ。勿論、りっくんと啓吾にもしたい。  けど、あんな力無くしがみつくだけで、本当に好きって気持ちが伝わっているのだろうか。そんな不安が過ぎったが、心底無駄だったとこの後思い知る。 「んぁ····朔、おっきぃ」 「結人んナカが狭いんだ。あんだけヤラれて、なんでこんな締まってんだ? すげぇな」 「イッたら、お腹とお尻キューってなるんらもん。そぇに、おっきぃのれ拡げてくる(くぅ)の、(しゅご)いかゃ、も····イッちゃうぅ」 「結人、アレやったれ」 「ん····朔、いいのしてあげぅ」  八千代からの指示が飛ぶ。イキながら、両手を差し出し朔を呼ぶ。そして、僕はおっぴろげていた足で朔の腰を捕らえる。 「んへへぇ、大好(らいしゅ)ホールド(ほーるろ)らよ」  朔相手に、これはマズかったらしい。朔のおちんちんがナカでグンと大きくなった。圧迫感が直前の比ではない。おそらく、完勃ちしている。 「ふぉ゙っ····朔、おっきしゅぎ····やぁっ、待っ、動かにゃいれっ! らめらめらめぇっ!!」 「フゥーッ······こんなの我慢できるわけねぇだろ。お前が悪い」  眉間に皺を寄せ、それでも必死に抑えてくれているようだ。ここで煽ってしまわないように気をつけなければ。 「ごめ゙っなさ····しゅきなの伝えたかったの····ごめ····(こぁ)しゃないぇ、(ゆぅ)ひてぇ····」  僕が泣きながら懇願すると、ナカでおちんちんがグイッと持ち上がった。 「大丈夫だ。怒ってねぇ。けど、俺がイクまで止めてやれねぇかもしんねぇ。お前ら、結人が危なかったら殴ってでも止めてくれ」 「ん、任せろ。好きにヤレや」 「ちょっ、ゆいぴ危なくない!?」 「俺が止めてやっから大丈夫だ。たまには好きにさせてやろうぜ」 「朔、いっつも抑えてんもんな。場野が止めれんだったらいいんじゃね?」 「えぇ~····絶対止めろよ? 俺じゃ朔に勝てる気しないから不安なんだよ」 「んあぁっ····。らいじょーぶらよ、りっくん。僕、ちゃんとね、朔の全部(じぇんぶ)受け止めれるから(れぅかゃ)」 「なんっでこの状況で煽ってキメ顔してくれてんの!? ゆいぴがおバカ過ぎるよぉ····」  りっくんが両手で顔を覆って項垂れてしまった。怒られているのか呆れられているのか、正直よく分からない。  煽ったつもりなんてないのだけど。りっくんに安心してほしかっただけなのに。 「結人、もし痛いと思ったら言えよ。あと、頼むから息しててくれ」  朔は、そう言うと僕の頭上で手を組み、絶対に逃げられないように押さえ込んだ。そして、奥を貫いて結腸口を激しくぐっぽぐぽする。  全部挿れてるんだ。少し腰を引いたくらいじゃ、結腸から抜けない。バケモノみたいなおちんちんで、内臓を扱いて抉られている。  涙が止まらない。涎も垂れ流しだ。潮だかオシッコだか、どっちでもいいが止まらない。声を出す余裕なんてない。  ····僕のお尻はご存命だろうか。 「腸壁うねんのすげぇな。結人、息してるか?」 「ヒュッ····かはっ、ぅん、ちてぅ、息、ハァッ、ちてぅぉ····」 「よし、もっとねじ込むぞ。1番奥に出してやるからな。死ぬなよ」  カラダを重ねている相手にかける言葉ではない。死ぬなよ? 死にたくないよ。まだまだ皆と一緒に居たいんだもの。 「はっ、ふぅぅぅっ··ん······やぁぁぁあ゙あ゙ぁ゙ぁ゙あ゙ぁ゙っっっ!!! 死゙ぬっ、死゙ぬ゙ぅっ····お゙(にゃが)、あ゙っぢゅぃ····へぁっ、お(にゃか)に、タネつけされてる(つぇさぇてぅ)······」 「結人、種付けされたかったのか。孕みてぇのか? 任せろ、今日確実に孕ませてやる」  出し終えるや、朔は再び腰を振り始めた。僕は息をするだけで精一杯だ。身体は勝手にイキ続けているけど、もうイッているのか何なのかよく分からない。 「結人、俺の赤ちゃん産んでくれるのか?」 「赤ひゃ····皆の赤ひゃん産みたい······けど、僕、男らから産めにゃぃ····ごめっ、ごぇんねっ、ひぐっ、他に、ど··したら、皆に、いっぱい愛返せるのぉ」 「悪い。そんなつもりじゃないんだ。結人は今のままで充分だぞ。あー····それに、赤ちゃんデキたら思いっきり抱けねぇしな」  そこじゃない。きっと、問題はそこじゃない。けど、確かにそうだ。めちゃくちゃに抱いてもらえなくなるのは嫌だ。まぁ、産みたいと思ったのは本当だけど、恥ずかしいからもう言わない。 「じゃぁね、欲しいけろ、赤ちゃんデキ(れき)ないかゃ····思いっきぃ()いてにぇ?」 「お····あぁ····やべぇな。そうか、結人はマジで壊されてぇんだな」  朔の“なるほど”って顔が、純粋に納得したようで可愛い。さっきまでの雄顔が、一瞬でぽやっと王子に戻るんだ。そして、また一瞬で雄の顔になる。さっきよりも鋭い目で、僕を壊そうと見つめてくる。  違うよ。本気で壊されたら、朝まで抱いてもらえないじゃない。朔に満足してほしいだけだよ。  と、心の中で呟いたが、あまりの責める勢いに、声なんて出せていなかった。 「しゃく····も、お(にゃか)、らめ····はひゅっ、がはっ····はぁっ······」  一体、どこまで入っているのだろう。力一杯押し当てられる腰が、なんだかぐっしょぐしょに濡れている。  天井を見上げ、口でかろうじて息をしているが、焦点が定まらない。涙で視界がぼやけ、愛しい旦那様さえ見えないのが寂しい。 「朔、止まれ。限界だ」  八千代が朔を制した。朔の後ろに立った八千代は、片手で目隠しするように覆い、反対の手で抱き締めるようにして腰を抑えている。涙で滲んだ視界に、2人のイケメンの妖艶なシルエットが並び、心臓が爆ぜてしまうかと思った。 「場野、キモい止め方すんな。····わりぃ、もう大丈夫だ」 「俺がお前に手ぇ出せねぇの知ってんだろ。これしかできねぇよ」 「ば、場野えっろ。お前、朔相手にナニやってんだよ」 「ゆいぴ泣きながら顔真っ赤になってんじゃん。美形2人でそういうのやめろよな····」 「あ? そういうのってなんだよ。猿止めただけだろうが」  なるほど、八千代の中では朔を猿と認識していたのか。なら、妖艶も何もないね。って、そんなわけないだろう。  なんてノリツッコミをしたくても、もう指一本動かせない。声も出ない。ギリギリ息はしている。  朔は加減を思い出し、僕が死んでしまわない程度に抱いてくれた。お腹が熱くて、もういっぱいいっぱいだ。 「結人、水飲めそう? 飲ましてやろっか?」 「ん····(にょ)む」  啓吾が、口移しでゆっくりと水を飲ませてくれた。けれど、飲み込む力がなくて、ちょろちょろと零れてしまう。  夜ご飯まで休憩して、それからまた再開することになった。問題はここからだった。  当然、凜人さんが夕飯の支度をしてくれるのだが、皆はご立腹だ。カメラと媚薬の事である。凜人さんがこっちに来るなり、八千代が絡みに行った。 「おい、クソ執事。テメェ、結人にクスリ盛ってんじゃねぇぞ」  八千代が凜人さんの胸ぐらを掴んで責め寄る。しかし、凜人さんは動じることなく、冷静に対応した。 「申し訳ございませんでした。大畠様のお誕生日だと伺っておりましたので、ささやかな贈り物のつもりだったのですが。お気に召しませんでしたか」  八千代は舌打ちをして、乱暴に力強く手を離した。けれど、凜人さんはビクともしない。 「凜人、お気に召します召しませんの話じゃねぇぞ。場野は、結人にそういう事をするなって言ってんだ。せめて、やる前に俺らに相談しろ」 「朔、そうじゃないでしょぉ。薬盛るとかね、そういう事しちゃいけないんだよ」 「そうか、そうだったな。わかったか、凜人。結人を傷つけるような事は許さねぇからな」 「はい、承知しました。結人様、大変申し訳御座いませんでした。お詫びに、何か私にできることは御座いませんか?」 「えー····だったら、オムライス作ってもらってもいいですか? 朔が、凜人さんのオムライスは絶品だって前に言ってたんです」 「そのような事でお許しいただけるのですか? あぁ、結人様は本当にお優しい。心がお美しいのですね」 「凜人、キモいからやめろ」 「ふぐぅ····申し訳御座いません。直ちにお夕食の支度を致します」 「よ、よろしくお願いします····」  想定していたよりも、皆が凜人さんを責めることはなかった。カメラの事なんて、誰も何も言わないんだもの。データが欲しいからって、ちょっとどうかと思う。 「ねぇ、隠しカメラの事は言わないの?」 「え~? データ貰えるんなら、俺はむしろラッキーくらいに思ってんだけど」 「結人に害がねぇならもういいわ。俺もデータは欲しいしな」 「え、なんか緩くない? ねぇりっくん。りっくんは怒ってないの?」 「ごめんね、ゆいぴ。俺もデータ欲しい。あんな可愛いゆいぴが手元に残せるんだって思ったら、何も言えなかった」  これだからこの人たちは····。僕の羞恥心とデータ、どっちが大事なんだ! なんて、聞くまでもなくデータだと言いそうなので、とてもじゃないが聞けない。 「俺さぁ、アレ見たい。窓に潮かかったん。めちゃくちゃエロくなかった!?」 「「「エロかった」」」 「え、でもあそこはカメラないでしょ? へへっ、残念でした~」  僕は渾身の意地悪を言ったつもりだった。まさか、特大のカウンターを喰らうだなんて思わないじゃないか。 「大丈夫だ。残念じゃねぇぞ。この別荘の至る所にカメラ仕掛けられてるからな。俺らが何処でヤッてもいいように」  ドヤ顔の朔から爆弾発言を投下され、僕は言葉を失った。 「寝室もカメラ3つだけじゃなかったしね」  したり顔のりっくんがさらに追い討ちをかける。皆、データ欲しさに僕を騙していたのか。流石の僕も怒るぞ。  皆がニヤニヤ見守る中、僕はカメラの捜索を始める。

ともだちにシェアしよう!