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怒ったところで····ね
別荘の至る所に仕掛けられたカメラ。そして、寝室にまだ隠されているというカメラ。僕は、探し回ったけど見つけられなかった。
どういう事だろう。皆、凜人さんは隠す気がないみたいだって言っていたのに、ひとつも見つからない。これじゃぁ、怒るに怒れないじゃないか。
「ねぇ、本当にあの3つ以外にもカメラ仕掛けてるの? 1個も無いよ?」
「んふっ····俺らの気のせいかもしんないね。もういいだろ? 飯の前に風呂入ろうぜ」
啓吾に手を引かれ、お風呂へと連行される。凜人さんが居るから、流石にシないと思っていたのだが甘かった。
既に、カメラ越しだが見られているのだ。今更気にするはずなんてないよね。
「んんっ、啓吾····凜人さんに聞こえちゃうよ」
「聞かせちゃおっか」
何を言い出すのかと思えば。可愛く言ったって、そうはいかないんだから。
「や、やだよぉ。んっ、僕、絶対声我慢できないから····。今はシないもん」
「声は我慢しなくていいよ。ん〜、俺に抱かれんの嫌だったらシねぇけど」
壁に手をつかせ、お尻におちんちんを滑らせながら耳元で言う。
「ひぁ····嫌なわけないでしょ。そういう事じゃないのにぃ」
「ははっ、わかってるよ〜。······なぁ。結人さ、凜人さんにも抱かれたいと思った? ちょっかい出された時とかさ」
「お、思ってないよ。皆が居るからダメって言ったもん」
「“ダメ”と“嫌”は違うだろ? 結人はどう思ったのかってハナシ。なぁ、皆には言わねぇから」
項に唇を這わせて、誤魔化せないような狡い聞き方をする。本当の事を言ったら、絶対に妬くんだろうな。
「ちょ、ちょっとだけ····気持ち良くて、オシッコ我慢しててね、変な気分になっちゃったの······んっ、膝でね、おちんちんグリグリされて、もっとして欲しかった····かも」
「そうなんだ。結人、ここ押されたら弱いもんなぁ」
やはり、少し怒っているのだろうか。声に怒気が含まれているような気がする。心なしか語尾が強い。
啓吾が後ろから抱き締め、僕の下腹部を指でぐりぐりと刺激する。八千代に仕込まれたアレだ。一度覚えた感覚はなくならないようで、簡単に甘イキしてしまう。
「んんっ····そこぉ、お腹の底がね、きゅんきゅんするの····んぁ、軽イキ止まんないよぉ····」
「結人の身体、ホントえっちだなぁ。可愛すぎんだよ」
僕をクルッと半回転させ、向かい合ってキスをする。首に腕を回すと、啓吾は凄く喜んでくれるんだ。
啓吾は僕の乳首を舌で転がしながら、下腹部への刺激をやめてくれない。僕が泣き始めると、お尻を弄り始めた。だが、寸止めばかりしてイかせてくれない。
「あぁっ····やっ、やだぁっ····啓吾、イかせて? お願い、啓吾のおちんちん欲しい」
「かーわい。でもさぁ、ちんこ挿れたらすぐイッちゃうだろ? 凜人さんに声聞かれんの、恥ずかしいんじゃなかったっけ?」
「恥ずかしい····けど、もうどぅれもいいよぉ····。お願い、啓吾のおっきぃおちんちんれぇ、奥ぐぽぐぽしてイかせてくらしゃい」
僕は恥を忍んで、お尻を開いて啓吾を誘った。あまりにも焦らすものだから、自らお強請りをしてしまったじゃないか。
「んはっ♡ やーっべ。あ〜··可愛いなぁ····。これ、そんなに欲しい? んじゃさ、自分から挿れてみて」
啓吾は僕のアナルにおちんちんをあてがうと、にゅるにゅると滑らせて意地悪を言った。意地悪だ、けど、言われた通りにしないと挿れてもらえない。僕は、意を決して自ら飲み込みに行く。
後ろ手に啓吾のおちんちんを持ち、自分で位置を調整してお尻を啓吾へと向かわせる。
亀頭が入ると後は少しづつ動かしながら、奥のイイ所までずっぽりと飲み込んでゆく。入っただけでイッてしまい、奥に到達するのを想像してまた軽くイッた。
啓吾が耳元で『結人から挿れてくれんのめっちゃ嬉しい』なんて甘い声で言うから、身体が跳ねた拍子にグッと押し込んでしまった。
「ひあぁぁっ!! んっ、ふぅ····あ··奥、しゅごっ····」
奥に当たった衝撃で噴いてしまった。壁にかかったものが垂れ滴り、沢山湯船に入ってしまう。後でお湯を張りなおさなくちゃ····なんて思っている隙に、啓吾が結腸へと侵入してくる。
「ぐぽぐぽシてほしいんだよな。めっちゃくちゃシてやっから、もし痛くなったら言えよ」
「ひゃいっ、わかっ····あぁっ、やっ、イグゥ゙ッ!! なに!? しゅっ、しゅごいのキぢゃう! やぁぁんっ、らめぇっ、イ゙ッ··あ゙ぁ゙ぁあ゙ぁ!!!」
浴室に、腰を打ち付けるパンッパンッという音が響く。さらに、湯船で暴れるバシャバシャという音に混じって、接合部のぬちゅっぬちゅっという水音が煩い。
僕たちの交わる音が耳から脳へと流れ込んできて、煩いのに心地良いなんて意味がわからない。
「イクぞ。奥でぶっ放すからな。一緒にイこうな」
「にゃぁっ、もぅイッてぅよぉ!!」
「あはっ♡ だな。んじゃそのままイキっぱしてろよぉ〜······んぁっ··すげっ····めっちゃ吸われる〜」
力一杯奥へとねじ込み、ドプドプと凄い勢いで射精している。熱くなってゆく下腹部を抱えて、愛おしさを握り締めた。
「結人、しんどくねぇ? 大丈夫?」
「らいじょーぶらよ。立てにゃいけろ····」
「あはは。んじゃ、莉久呼ぶか」
迎えに来てくれたりっくんに、声が丸聞こえだったと注意された。いくらなんでも、凜人さんに生の声を聞かせるのは嫌だとか言っていた。それこそ、今更な気がする。
お風呂から出ると、夕飯の準備が整っていた。啓吾の誕生日だからとても豪華だ。オムライスもある。頼んでいた誕生日ケーキもバッチリだ。
来年は、日付が変わると同時にちゃんと祝いたいな。八千代の時みたいに、ロウソクに火を灯して歌いながらサプライズするんだ。
「すーっげぇ····何これ、俺のケーキ?」
「うん! プレートだけね、凜人さんに手伝ってもらって僕が書いたの。····下手くそでごめんね?」
ガタガタの文字で『ハッピーバースデー 啓吾』と書いたプレート。凜人さんの美しいケーキを飾るには、あまりに不格好だ。
「何言ってんだよ。めちゃくちゃ嬉しい。俺、マジでこういうのしてもらった事ねぇからさ。あーっやべ。だっせ····泣きそ」
啓吾は鼻を赤くして、僕の事を思い切り抱き締めた。僕も、思い切り抱き返す。
「啓吾、愛してるよ。あのね、毎年僕たちが祝うんだよ。だからね、こんなの当たり前になっちゃうんだからね」
頭上で、啓吾が鼻を啜った。自然と、抱き返す手に力がこもる。啓吾もまた、僕を抱き締める手に力が入り、そろそろ苦しくなってきた。
「啓吾、苦ひぃ····」
「ぅはっ、ごめん。よし、食うか! 凜人さんもありがと。めちゃくちゃ美味そう。いただきまーす」
僕たちは席に着き、凜人さんも一緒に食卓を囲む。
そういえば、僕たちが一緒に住むようになったら、凜人さんはどうするのだろう。朔の実家に戻るのだろうか。一緒に住むとか言い出したら、八千代が大変だろうな。
「ゆいぴ、どうしたの? さっきから百面相してるけど」
どうやら、あれこれ考えているのが顔に出ていたらしい。これを今聞いてもいいのだろうか。まぁ、いつ聞いても同じ事か。
「あのね、僕たちが一緒に住むようになったらね、凜人さんはどうするのかなぁって思ったんだ」
皆の手が止まる。何を考えているのか、誰も何も言わない。
まず答えを返したのは、意外にも啓吾だった。
「俺はどっちでもいいけど」
「どっちでもいいの!? え、意外····」
「毎日こんな美味い飯食えんの幸せじゃね?」
「アホか。こんくらい俺が作ったるわ。どう考えても邪魔だろ」
「八千代、邪魔だなんて言っちゃダメだよ。僕、凜人さんも好きだよ?」
「「「「はぁ?」」」」
イケメン4人から一斉に睨まれると怖い。
「えっと、違うよ!? 好きってそういう意味じゃないよ! えっとね、凄く良い人だしカッコイイしお世話になってるし、かなり変態さんだけど悪い人じゃないでしょ? それなのに、邪魔だなんて言い方したらヤだよ····」
「まぁ、場野の言い方は悪いよね。ゆいぴが心痛める必要はないけどさ。····けど、俺も正直一緒に住むのはごめんだね」
「りっくんまで····」
「凜人、お前はどうしたいんだ。俺が家出る時、一生お供しますみたいな事言ってただろ。戻れんのか?」
それは、朔から離れられるのかと言う意味なのだろうか。朔だって、凜人さんと離れるなんて寂しいはずだ。
「ご安心ください。私は朔様のご実家に戻りますよ。皆様のお邪魔はできません」
「邪魔だなんてそんな····。なんか寂しいよ。ねぇ、朔も寂しいんじゃないの?」
「別に。俺は結人が居ればいいからな」
そんな殺生な。僕が見ているだけでも、凜人さんが朔に執心しているのはわかる。それなのに、そんなにあっさりと断ち切ってしまうなんて、凜人さんがあまりにも可哀想だ。
「結人様、大丈夫ですよ。朔様が貴方にお心を寄せられた時から、いずれ訪れる事と覚悟はしてまいりました。朔様らしいご決断です」
「えぇ····そういうものなの? なんか、僕だけ寂しいみたいじゃない····」
「結人様はその様に思ってくださるのですね。私も寂しくないわけではありませんよ。朔様と離れるのはこの身を裂かれる様に辛いです。ですが、私は朔様の幸せを何より願っておりますので····大丈夫ですよ」
凜人さんは、そう言って笑顔を見せてくれた。だが、やはり寂しそうに見えて、僕まで辛くなってしまった。
この話をするのは、どうにもタイミングが悪かったようだ。今日は啓吾の誕生日なのに、空気を沈ませてしまった。そうだ、しんみりはしていられない。
気を取り直して、美味しいご飯を食べよう。オムライスは、朔の言う通り絶品だった。ふわふわの卵にデミグラスソースが絡んで····とか考える間もなく完食してしまった。僕の食べる勢いに、凜人さんも驚いていた。
そして、食後にはケーキにロウソクを立て火を灯す。啓吾がそれを吹き消し、凜人さんが切り分けてくれた。
誕生日らしい事をする度に、啓吾が照れたように笑う。それが嬉しいやら悲しいやら、複雑な気分にはなった。けれど、啓吾がこれを当たり前と思えるように頑張ろうとも思った。
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