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アレをやる気か
四つ這いにされ啓吾にお尻を弄られていると、猪瀬くんと冬真がシャワーから戻った。
それどころではなかった猪瀬くんに、改めて見せる為だとか言う啓吾。それらしい理由をつけ、片足を持ち上げてよく見えるようにして挿れようとする。
「え、今から? もうすぐピザ来んじゃねぇの?」
冬真が、冷ややかな視線を向けて言う。そんなの、啓吾が気にするはずないんだ。
「大丈夫だよ。すぐ終わらせっから~」
啓吾はウキウキしながら、僕のナカにおちんちんをねじ込む。すぐに終わらせると言いながら、タイミングを待つように僕がイクのを調節している。そう、寸止め地獄だ。
そして、いつものあの時間が来た。ピザが届いたのだ。
何も知らない冬真が、啓吾に指名されてピザを受け取りに行く。冬真は部屋を出る時に『声出させんなよ』と、見事な前フリを放った。
前フリにならないよう、今日こそは声を我慢するんだ。毎度の事ながら配達員さんに申し訳ないし、何よりこれ以上の醜態を晒したくはない。
なんて決意も虚しく、啓吾に結腸を抜かれて呆気なく嬌声を響かせてしまった。
「んあ゙ぁ゙ぁっ!! に゙ぁぁっ、奥もぉ入んないぃっ!! やぁっ! イ゙ッん゙あ゙ぁ゙ぁ゙ぁぁッッ!!!」
溜め込んでいた快感が解き放たれる。エグいイキ方をするから、寸止めはやめてと何度も言っているのにこのザマだ。
「お前、マジで鬼かよ····」
八千代ですらドン引きしている。
「武居··可哀想····。あ、冬真······」
猪瀬くんの憐れむような視線が突き刺さる。冬真への嫌がらせだと気づいた時、玄関扉の閉まる音が聞こえた。そして、ドタバタと走って戻った冬真が、物凄い剣幕で啓吾に怒鳴りつけた。
「バッッッカじゃねぇの!!? お前マジでイカれてんのかっ!!」
「あっはは! ごめーん☆ 腰が滑った~」
「今日は··やめ゙てっで、言ったの゙にぃ····ひっく····んぐっ··ふえぇ····」
「あ~っ、結人はマジでごめんな? お詫びにもっと気持ち良くしてやっから泣かないで?」
「おい、俺にもマジでごめんなさいしろよ」
怒っている冬真なんて無視して、ようやくありつけたご褒美 を堪能する啓吾。しっかりピザを食べれるようにと、奥を抜かずに少しだけ押し開けて結腸へ射精した。
シャワーを浴び、啓吾に皆の精液を掻き出してもらう。啓吾の掃除の仕方が1番激しくて執拗い。おかげで毎度、膝が震えて立てなくなる。まぁ、皆似たようなものなんだけどね。
りっくんが迎えに来てくれて、猪瀬くんの呆気にとられた表情を眺めながら介抱してもらう。
「マジで至れり尽くせりだな····。毎回こんな感じなの?」
「うん。僕が立てなくなっちゃうから····」
「もぉ~、俺らが立てなくしてるんだってばぁ。ゆいぴのお世話したいから♡」
「だからさぁ、駿哉も冬真に世話してもらえばいいじゃん」
「それ以前に、こいつらはカラダだけの関係で終わんのかどうかって段階だろ」
「おぉ、そうだったな。で、どうなんだ? なんかイイ感じだっただろ。付き合うのか?」
皆、言いたい放題に猪瀬くんへ言葉を投げる。
「はぁ····お前らぬぁっ──!?」
呆れて物申そうとする猪瀬くんの口に、冬真がピザを押し込んだ。
「とりあえずあったかいうちに食おうぜ。んでから話な」
冬真なりの気遣いなのか、きっと猪瀬くんに優しくしているつもりなのだろう。強引に見えるのは、たぶん気のせいだ。
さてと、ピザを食べながら感想を聞くとしよう。
「んで、冬真くんよぉ。初えっちの感想は?」
「まぁ····できたな」
「なんだよそれぇ」
啓吾は不満げに頬を膨らませる。照れ隠しなのか、はたまたイマイチだったのか。誰よりも不安に思っているであろう猪瀬くんが、恐る恐る口を開く。
「ビビりまくってごめんな? 俺はそのぉ····思ってたよか気持ち良かったんだけど、冬真は?」
「お前、痛いつって泣いてたじゃん。俺は気持ち良かったよ。正直、駿の事も可愛いと思った」
「よし、おめでとう」
気の早い朔が、先走って祝いの言葉を贈る。
「まだ付き合うとか言ってないだろ。····俺さ、まだ結人の事好きなんだよ。さっきもずっと抱きたいって思ってた」
衝撃の告白に、皆は言葉を失った。
「あはは。武居可愛いもんなぁ。俺も見てて思った。ぶっちゃけ冬真の事好きじゃなかったら、俺も抱きたいって思ってただろうし。それに──」
溢れそうな涙と感情を抑える為に、無理をして明るく饒舌に語っているように見える。冬真はそれをわかっていて、追い討ちをかけた。
「俺やっぱ、まだ駿の事好きとは言えない」
「ぁ····だ、だよな~。大丈夫、わかってるよ。ダメ元だったんだし、あんま期待はしてなかったから。そりゃ俺じゃぁなぁ~。マジで、あんま気にしないで。皆もさ。むしろごめんな? 冬真にこんなお試しみたいなこと無理矢理させて····」
猪瀬くんの笑顔が痛々しい。またこれだ。抱き締めたくなる。
「無理矢理じゃないよ。駿の事好きって断言できないけど、なんつぅか····えっと····可愛いとは思ったんだよ」
「さっき聞いたよ」
啓吾は、どうして黙っていられないのだろうか。
「だからさ、そんで····もっと俺好みに開発っつぅか、育ててみたいな··とは思った」
「····どういう事だ?」
腕組をした朔が、頭上に疑問符を浮かべながら聞く。僕も右に同じ。
「まだ結人の事好きだけど、いい加減踏ん切りつけようかなとも思ってたんだよ。俺、お前らみたいにはできねぇもん。それに、駿を好きになれそうな気はする。また抱きたいとも思った。だから、付き合うってのも前向きに検討する····って事」
冬真の結論を聞き終えるや、僕は堪らず猪瀬くんに飛びついた。まだ付き合うと言われたわけではないのに、少し大袈裟だっただろうか。
全てを諦めていた猪瀬くんの涙が、嬉し涙に変わったのだ。つられて僕も涙が零れる。勇気を振り絞って、恐怖に耐えながらあんなに頑張ったんだもの。もはや他人事ではない。
「猪瀬くん、良かったね! なんかね、僕まで嬉しい」
「お前はいつまで抱きついてんだ。離れろ」
八千代に回収され 、僕は反省しながら再びピザを頬張る。
「それよか気になったんだけどよ、お前『躾てやる』とか『俺の駿』つったよな。あれどういうつもりで言ったんだよ」
「え? 俺そんな事言った?」
「「「「「「言った」」」」」」
全員、見事にハモった。やっぱり皆気づいてたし、気になっていたんだ。冬真は無意識だったんだね。タチが悪いよ。
まだ好きじゃないとか言っているのに、猪瀬くんの事は自分の所有物だと思っているのだろうか。昔からそういう節があったようだし、この2人独特の関係とでも言おうか、付き合うとか関係なくニコイチって感じだ。
けれど、関係ははっきりさせておかないとダメな気がする。相手が冬真なだけに、いつか猪瀬くんが傷つけられてしまいそうだ。
「冬真····」
「ん? なに?」
「もし付き合うってなったらね、浮気しちゃダメだよ? しないって約束できないなら、付き合っちゃダメだからね。僕、猪瀬くんの味方だから」
「えっ!? マジで? いつのまにそんな仲良くなってんの?」
「宿泊学習でだよ。もっぱら冬真の話でね」
「ぅへー····俺だけ仲間はずれだったんだ」
「当の本人に話せるわけないでしょ。それより、浮気しないって約束、ちゃんと真面目に考えてよね。冬真がいい加減な人だって言うのも、すっごくわかったんだから」
「誰だよ、結人に余計な事言ったの」
「お前、自分で彼女3人いるって言ったんだろ?」
「実際4人だけどね」
啓吾と猪瀬くんがツッコむ。····あれ?
「冬真、今も彼女4人いるの?」
「うっ······全部切ってきたよ」
「「「「おぉ····」」」」
僕の彼氏たちは、心底驚いた顔をしていた。猪瀬くんも知らなかったようで、声も出ないほど驚いてた。それと同時に、凄く嬉しかったみたいで顔が綻ぶ。
「流石に、いい加減な気持ちで親友抱けねぇよ」
「そこまで言うんだったら、腹括って付き合えや」
八千代の言葉に、冬真がはっきりと答える。
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