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愛に溢れてて

「ストップ」  猪瀬くんのおちんちんを握ろうとした僕の手を、啓吾がパシッと掴んで止めた。その力強さにドキッとする。 「ふぇぇ?」 「それはダーメ」  耳元で囁かれる甘い声。だけど、少し怒っているのが分かる。 「結人の手は俺らのちんちんしか握っちゃダメだろ?」  耳が熱い。低くてゴロゴロした声を響かせてくるんだもん。ダメだ、耳でイッちゃった。 「ひぅ··ぁ、ン、ご、ごめ、しゃ····」 「あ、今軽くイッただろ。ったく、反省してねぇみたいだからお仕置きな♡」  そう言って、啓吾は僕の両腕を持ちガン突きし始めた。僕は、猪瀬くんの肩に顔を預けてしまう。そうさせておいて、また妬いた啓吾はピストンを強めるわ速めるわ、僕のお尻が壊れちゃいそうだ。  猪瀬くんの汗が、頬や首元にぺちょっとする。不思議と不快感はない。耳元で聞こえ続ける、猪瀬くんの甘い声。僕ほどじゃないけど、猪瀬くんも、声はそれほど低くないから余計に可愛いんだよね。 「ンッ、武居··耳元で喘がないで。武居の声、マジで、エロいんだってぇ····」 「わっかる〜。けど、俺の駿はもっとエロいよ」  冬真がどちゅっと突き上げる。頭を置かせてもらってるから分かるんだよ。どれだけ強くて深い一突きかが。 「んあぁぁっ♡ むりっ、もう奥無理ィィ!」 「ほーら、かぁわい♡」 「いやいや、可愛さもエロさも俺らの結人が最強だかんね? こんな可愛く啼く嫁居ねぇから。な、ゆーいと♡」  負けじと、啓吾がバカみたいに奥を抉ってくる。加減を忘れたように、本能のまま僕のナカを愉しんでいるみたいだ。 「ひあぁぁっっ♡♡ もぉらめっ! お(ぢり)壊れ(こぁえ)ぢゃうぅっ!! やっ、ン゙ン゙ッ、ぅ゙、あ゙ぁ゙ッ··(ちゅぉ)··奥゙、(ぢゅぉ)しゅぎ··ん゙ぇ゙ぇ゙····」  もう胃液も出ない。僕が嘔吐くと、冬真が対抗して猪瀬くんを嘔吐かせる。散々吐かされて、僕たちの胃はとっくに空っぽなのに。  それでも、啓吾と冬真は8分間、僕と猪瀬くんのナカを好き放題掻き回して存分に堪能した。  僕たちはお互いの嬌声を聞きながら、また手を繋いで支え合っていて、お腹でイカれた量の精液をしっかり飲んで、そのまま一緒に倒れて眠ってしまったみたいだ。  身体を拭いてもらっている時、僕はふと目が覚めた。だって、今日はタオルが冷たいんだもん。 「ひぁぁ····(ちべ)たいぃ······」  僕が力無くそう言うと、拭いてくれていた啓吾が笑った。 「ごめんごめん。家じゃねぇからあったかいタオル無くてさ」 「ん····大丈夫(らいじょーぶ)ありがと(あぃあと)」  寝ボケていた僕は、頑張って身体を起こし啓吾に抱きついた。首に腕を回して、ぎゅぅーっと密着するように。 「うわぁ····」  啓吾が静かに嘆声を零す。そう言えば、胸やお腹にぺちょっとした感触がある。たぶん、これの所為だ。 「んへへ。ごめぇん」 「んもぉ〜··、いいけどさ。んじゃ、このまま行こっか」 「んぇ? どこに?」 「綺麗にするとこ。全部やったげるから、眠かったら寝てていいよ」  そうか、キャンピングカーにはシャワーがあったんだ。それの事だと思い、僕は啓吾に抱っこされてテントを出る。  啓吾の首にしっかり腕を巻きつけ、足は腰に絡めて密着する。啓吾の体温が心地好い。酷い眠気に襲われ、僕は瞼を持ち上げられなくなった。  転ばないようにゆっくり歩く啓吾。ガリゴリと、石がぶつかって擦れる音がいつまでも続く。なんだかおかしい。  車の周辺は小さな砂利になっていて、もう少し軽い音に変わるはずなんだけどな。僕を抱えているから重みでそう聞こえているのかな、なんて自分に言い聞かせる。  けど、やはり不安になって重い瞼を持ち上げた。森に囲まれた真っ暗闇を、眩しいくらいの月明かりが照らしている。  薄暗いけど見える、遠退いてゆくテント。車はテントの裏手すぐ近く。なんでだろう、僕たちは今、まっすぐ湖に向かっている。 「ね、啓吾? 車そっちじゃないよ?」 「え、知ってるけど」 「ちょ、どこで綺麗にするの? シャワーじゃないの?」 「流石に結人抱っこしたまんまシャワーは狭いかなぁって思ってさ。お、そういや湖あんじゃんって気づいたんだよね〜」  待て待て待て。まさか、このまま湖に浸かる気なのだろうか。ダメだよ。環境汚染だよ。  それより何より、僕たち全裸なんですけど。誰かに見られたらどうするんだよ····。 「啓吾、僕は大丈夫なんだけどね、啓吾のおちんちん丸見えじゃない?」  僕は、啓吾を抱き締める手足にギュッと力を込める。僕のおちんちんは啓吾のお腹に擦れて、勃っているけど見えっこない。丸見えなのはお尻だけだ。  けど、啓吾はそうじゃない。僕のお尻を支える啓吾の手の下辺りに、啓吾のおちんちんがあるはずなんだ。てことは、丸見えじゃないか。 「だねぇ。つっても誰も居ないよ? すっげぇ開放感」  と、啓吾はケラケラ笑いながら言う。これは何を言っても無駄なやつだ。  そうこうしていると、足元からちゃぷっと水音が聞こえた。ジャバジャバと進んでいき、僕の足先にも湖面が触れる。 「ゆっくり入るからな。ケツ、ちょい冷てぇよ」 「ん····ぁ」  足が浸かった直後、冷んやりした冷気をお尻で感じた。外気温と水面の温度差が激しいのだろう。  啓吾の手に包まれているお尻が、ゆっくりと水に浸かり腰から肩まで順に沈んでいく。それほど深い所まで行かず、啓吾が座ったのだ。  僕は、啓吾の胡座に収まり胸から剥がれてゆく。そこへ水が吸い込まれるように、僕と啓吾の間に入ってきた。 「お、しっかり目覚めちった?」 「だって、水冷たいんだもん」 「んじゃさ、背中支えてっから洗ってくれる?」 「いいよ」  まずは啓吾の胸とお腹を手で擦って、次に自分の胸とお腹。精子やらなんやら、色々な汁が乾いていたんだよね。にゅるっとして気持ち悪い。  それから、僕が汚してしまったおちんちんを丁寧に洗う。爪を立てないように、カリ首や裏筋も指で撫でて汚れを落とした。 「あーあ····また勃っちゃったね」 「ねー。どうしようねー。··挿れる?」 「皆に怒られちゃうよ?」 「結人愛でて怒られんだったら別にいいよ」  啓吾はそっと唇を食む。そして、せっかく洗ったおちんちんを、僕のアナルに滑らせて先っちょを挿れた。  これはえっちじゃなくて、僕のナカを奥まで洗う為なんだって。それじゃぁしょうがないよね。  えっちじゃないから、激しく動いたりはしない。僕のナカに溜まった皆の精液を、何度も何度も奥から掻き出して、それなのにまた奥に出しちゃうおバカなんだよね。だって、啓吾だもん。  綺麗になった僕をまた汚して、満足した啓吾は濡れた手で前髪を掻き上げ空を仰ぐ。ホントそれカッコイイからやめてほしい。心臓がギュンてするんだよ。 「んぁー··結人んナカマジで気持ちぃ····っわ、すっげ。結人、上見てみ」  僕の肩をぺしぺし叩きながら言う啓吾。見ろって言うくせに抱き締めちゃうんだ。やれやれって感じで少しだけ押し返して、啓吾の胸の中から空を見上げる。  今の今まで、啓吾に夢中で気がつかなかった。星が夜空を埋め尽くしているじゃないか。 「う、わぁ··凄い····。八千代ん家の別荘思い出すね」 「おー、あん時もきれかったよな。けど、今もっとやべぇ」  僕たちは、時間を忘れ星を眺めていた。すると、バシャバシャと激しく水を掻き分けて進んでくる音が。  突然、バシッと頭をはたかれる啓吾。八千代だ。心配して見に来てくれたらしい。 「テメェ、ドコで結人洗ってんだよ」  めちゃくちゃ怒っている。冬真と猪瀬くんがシャワーを浴びに行ったら、僕たちが居ないから探してたんだって。本当に申し訳ない。  僕を奪うように回収して、八千代は僕をシャワーへ連れて行ってくれた。  温かいシャワーに癒されてるんだけど、ドア越しに啓吾がりっくんに怒られている声が聞こえている。雑菌がどうとか言ってるけど、浮島みたいな所でえっちしてた口でよく言うよ。なんて思って笑っちゃった。  僕が笑うと、八千代は僕にお説教を始める。明日起きれなかったらどうするんだとか、体調崩したらどうするんだとか、八千代って結構お母さんみたいな所あるよね。って、また笑ったらもっと怒られた。  なのに、全然怖くないんだよ。だって、愛情いっぱいでむしろ嬉しいんだもん。だけど、怒られているのに嬉しいだなんて、そんなこと言ったらまた怒られそうだから言わないでおこうかな。

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