383 / 389

悪夢の始まり

 流し込まれたお酒が、飲み込めずに溢れる。溺れそうになりながら、僕が噎せると男が離れて事なきを得た。  僕が上手く飲めなかったからだろう、苛立った男は僕の髪を掴んで持ち上げた。頭皮が剥がれるんじゃないかってくらい痛い。  けど、お酒の所為なのか感覚が鈍っているらしい。痛みがジンジンと熱を持って、比例して身体も熱くなってきた。痛くて怖くて気持ち悪くて、それなのに、どうしてだか身体が何かを求めている。 「なぁ、お前あん中で抱かれてんの? 全員ちょーイケメンじゃんムカつく〜。夕べ声ヤバかったし。おかげですげぇイラついてたんだよ。責任とって宥めろよな? 俺ら4人とも、彼女と別れたばっかの傷心旅行だったのによぅ〜──」  くだらない事をペラペラと話しながら、男はベルトを外してズボンを脱いだ。それから、縄で縛った僕を膝に座らせて胸を弄り始める。男相手に何をしてるんだこの人は。  僕は戸惑うばかりで声も出ないし、身体に上手く力が入らなくて抵抗もできない。ただただ、気持ち悪くて涙が溢れるばかりだった。  気になったのは『あん中で抱かれてんの?』って言ってた事。あん中ってどの中だよ。それに、抱かれてるって何? 「イイ感じに蕩けてんじゃん。俺、男ハジメテだけどケツ弄ってみよっかな〜」 「待てよ。ケツって確か、洗浄とかしなきゃじゃねぇの?」 「なんでンな詳しいんだよ。経験者?」 「ンなわけねぇだろ。なんかで見た事あんな〜くらいだよ。俺女しか抱かねぇもん」 「それな。でもさ、この子めっちゃ可愛くね? 怖くて震えちゃってさ、ちっちゃい声で喘いでんのやべぇ」 「それ思った。つぅか洗浄とか要らなくね? どうせヤリまくってたんだろうし済ましてんだろ」  男たちは、口々に言いたい事を言っている。  そして、男はハジメテだと言った人が、無遠慮に僕のお尻の穴に指を挿れた。ドコに何してくれてるんだよ。 「んぁっ····」 「マンコより締まんな。はは··や〜っべ、指食い千切られそう」  そう言って、笑いながら指を奥へと進める。痛いはずなのに、気持ち悪いはずなのに、僕から漏れるのは甘い声と先走りの液体。なんなんだこれ····。  どうしてお尻の穴なんか弄られて気持ちイイのだろう。 「ナカ(やぁ)らけ〜。さっすが、あの人数相手してるだけあんね、ビッチちゃん。もう挿れてい?」 「ふ··ぇ····何、を?」  さっきから、この人達の言っていることが分からない。考えようにも、おそらくお酒の所為だろう、フワフワして思考が止まる。  僕を四つ這いにした男が、嬉々として唾をお尻に垂らしてきた。汚いな····。けど、何より恐ろしいのは、僕のお尻がうずうずしている事だ。 「ナニって、チンコだよ、チンコ。欲しいんだろ? アナルめっちゃヒクついてんよ?」  僕が、おちんちんを····欲しい?  何を言っているのだろう。そこはおちんちんを挿れる所じゃないんだよ。何かを勘違いしているのかもしれない。教えてあげなくちゃ。  けど、次の瞬間、男のおちんちんの先が穴にピトッとくっついた。自分でも分かるほど、おちんちんを飲み込もうとしている。 (なにこれぇ····。僕、おちんちんなんて要らない! やだ、怖い··助けて····)  誰に助けを求めているのか、僕自身分からない。けれど、誰かが助けてくれそうな気がしていた。  きっと大丈夫。そんな思いが根底にあって、だから、こんな状況でも狂わずにいられるのだろう。そんな、得体の知れない感覚があるんだ。  僕は特に抵抗もできず、重い瞼を持ち上げるので精一杯。  ぽやっとしてたら、おちんちんの先っちょがぶちゅっと入ってきた。そして、そのまま勢いよく奥まで入ってくる。 「やぁぁっ、んんっ、あっ··あぁっ····」 「すーっげ、吸い込まれんだけど」 「さっさとイッて代われよ。その子やべぇって、声も可愛すぎ。早く犯してぇ♡」 「なぁ、奥にコリってしたのあったらソレ、前立腺っつぅんだって。めっちゃイイらしいから責めてやれよ」  スマホを片手に、とんだアドバイスをする男。これ以上、変な事されたくないんだけどな。 「おっけー····んー····どこかな〜」  前立腺とやらを探す為に、男は僕のナカをグリグリと掻き回す。色んな所を刺激されて気持ち··イイ····って、なんで?  なんでこんな事をされてるのに、僕の身体は快感を拾ってしまうのだろう。まるで、こんな事をされるのがハジメテじゃないみたいだ。 「お、あったっぽい。で、これを? 突けばいいんだっけ?」 「ブッハハ、(ちげ)ぇだろ。潰して責めんだよ」 「おけおけ。そんじゃ、ちょい体勢変えようね〜」  僕のお尻を持ち上げ、真上から突き刺すようにナカを抉ってくる。奥にあるコリっとした何かを、一心不乱に腰を振って潰している。  何かが込み上げてくる。おしっこかな、漏れちゃいそうだ。 「ンッ、やぁっ、で、出ちゃう····」 「おわっ····何コイツ、前立腺潰されて潮噴いてんじゃん。えっろ〜」  どうやら漏らしたわけではないらしい。ワケが分からなくて、僕は泣きながら『やだ、やめて』と訴える。  すると、頬を引っぱたかれて、僕は瞬きも忘れて放心してしまった。 「うるっせぇな。俺そーゆーの萎えっから。素直に可愛く喘いでろっつーのっ」  怒りに任せ、男は僕のお尻を開いてどちゅっと奥を抉った。 「んあぁぁっ! ぅ、お゙、奥゙やだぁ····コワイよぉ····」 「あー、奥ね。奥イイんだ。めーっちゃ締まるぅ」  男は嬉々として、僕の奥、なんならお腹じゃないかなって所を、思いきり強く突いてナカでイッた。  出しきると男は、じゅぽんっと勢いよくおちんちんを引っこ抜き、僕を使い捨てるようにベッドへ転がす。  僕は、お腹の下辺りがじわっと熱くなるのを感じて、盛大に吐いてしまった。一体、何を食べたんだろう。かなりしんどい。 「汚ねぇな。吐いてんじゃねぇよ、バーカ」  暴言を浴びせられながら、下腹を軽く踏まれた。痛いのにどうしてだろう、そこに圧をかけられると、お腹の奥がきゅぅってなってイッちゃった。 「なに? 踏まれてイクとかドMすぎじゃねぇ?」 「アイツら気ぃ強そうだったかんな。調教とかされたんじゃね?」 「それな〜。特に最後なんか叫んでたデカいの、アイツ絶対(ぜってぇ)俺様。すげぇ勢いで駆け寄ってきたじゃん? 俺ちょっとビビったわ」  さっきから話に出てくる“アイツら”って誰の事なんだろう。そう言えば僕、どうしてこうなってるんだっけ。  やっぱり、ここまでの経緯が全く思い出せない。 「あ〜ぽいぽい〜。この子と一緒にいたデカイのもヤバかったくね?」 「俺ぇ、回し蹴り食らったんだけどっ」 「あっっはははは! 俺目の前で見てたんだけどさ、あーれヤバかったよな! お前吹っ飛んでマジ焦ったっつぅの」 「笑い事じゃねぇってマジで····。あ〜、思い出したらムカついてきたわ」 「んじゃぁ、この子に責任とってもらえよ」  男は僕を転がして四つ這いすると、お尻を掴んでパカッと開き言った。 「だな。つぅことで、よろしく♡」  ズブッと勢いよく奥まで捩じ込まれた。奥に感じる鈍痛で、また吐き気を催す。けれど、それを上回ってしまう快感に、僕は戸惑うばかりだった。 「んぇ゙····ぁ、ふぅ、ン、はぁ····イ、イク··?」  自分でもよく分からない事を口走る。自慰ですらまともにシた事がないのに、イクってなんだよ。さっきからそうなのかなって感覚はあるけど、正直よく分かんないや。  だけど、身体がそう感じて勝手に口走るんだ。自分でも止められない、不思議な感覚が気持ち悪くて仕方ない。 「うっわ、マジで可愛いなこの子。ねぇ、名前なんつぅの?」 「な、まえ····僕の····結人」 「ゆいとくんかぁ。俺、太陽。ね、イク時太陽って呼んでよ」 「お前それ好きな」 「えー、だって行く時名前呼ぶの可愛くない?」 「「可愛い」」 「だろー? つぅことだから、ゆいとくん。上手にできたらイイコイイコしてあげるよ」  僕の後ろ髪を指で掬って言うその人は、前の人とは違って少し優しかった。 (上手にできたら褒めてもらえるんだ。なんだっけ、この人の名前。確かタイヨウだったような····) 「ん····タイヨウ··さん····僕、イッちゃう····」 「んーっ、かーっわい♡ いいよ、イッて。ほら、ご褒美。奥いっぱい突いてあげるね〜♡」  タイヨウさんは、僕の両手首を持って引き寄せながら、強く激しく腰を打ち付ける。 「んあ゙ぁ゙ぁ゙ぁっ!! らめっ、イクイクイクッ! やっ、タイヨウしゃん、イッぢゃうぅっ!!」 「イケイケイケッ! 奥潰されてイケッ!」 「お゙っ、ン゙ン゙ッ····ぉ、ぐ··も、やらぁ····」  ボロボロと泣きながら、僕は叩きつけられる快楽に負けてイキ続けた。

ともだちにシェアしよう!