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皆激おこだ

 1巡目とは思えないほどの激しさで、僕は八千代の嫉妬を背中に失神してしまった。  お腹の圧迫感で目が覚める。どのくらいか分からないけれど、気を失ってからきっとそれほど時間は経っていない。だって、まだ身体が凄く敏感で、少しも落ち着いていないんだもの。  ベッドへ手足を投げだすように力なく横たわっている僕。だけど、片足は抱えられ、奥をぐぽぐぽされる度に天井に向けてピンと伸びる。いや、これは痙攣してるのかな。 「お゙っ、ン゙ン゙っ、にあぁぁっ♡ にゃっ、ん、ぎゅぅぅぅ····お(にゃか)壊れる(こあぇぅ)····」 「壊すために奥抉ってんだけど」  そう言ったのは、スマホを弄りながら僕の奥をどちゅどちゅ突いている啓吾。なんだかすごく怒ってるみたいなんだけど、一体どうしたのだろう。   「啓吾、何? 怒ってぅ?」 「怒ってるっつーかイラついてる。からわりぃ。加減できそうにない」  と言って、啓吾が僕のふくらはぎを思い切り噛んだ。噛みながら、噛んでいる間を舐める。そこだけが、激痛の中でくすぐったいような気持ちイイような。  けれど、やはり勝るのは痛みのほう。僕はあまりの痛みに絶叫し、反対の足をガクガク痙攣させながらイッた。  イラついていると宣った啓吾は、何やら動画を見ているらしい。たぶんえっちなやつだ。僕を抱きながら、一体どういう了見なのだろう。新手のお仕置きなのかな。そう思ったが、どうもそうではないらしい。  随分激しい物を見ているようだけど、なんだか聞き覚えのある声なのだ。まさかと思いながらも、僕は恐る恐る啓吾に確認してみる。 「それ、僕?」  視線をスマホから僕に移し、啓吾は『そ』と素っ気なく答えた。啓吾がなぜ怒っているのか分からないけれど、どうも今見ている動画が原因なのだろうと思う。  僕は状況を確かめようと、りっくんたちを探す。ソファに座ってスマホを眺めているりっくんと朔。2人も怒っているのか、とても険しい顔をしている。八千代は部屋に居ないみたいだ。 「ね、啓吾、何見てぅの?」  啓吾はりっくんと朔に目配せをして、僕に見せいいかと確認をしているみたいだ。2人は無言で頷き承諾した。 「これ、結人の壊されたスマホから復元したデータでさ、凜人さんがさっき送ってきたんだけど、アイツら動画撮ってやがったんだよ」  そう言って、僕に『見る?』と聞いた。よく聞くと、僕の泣き叫ぶ声とあの人たちの声だ。僕は、ヒュっと気道が狭まるのを感じて拒絶した。  強くなったと思っていたけれど、改めて見る勇気は出なかったんだ。できれば、皆にも見られたくなかったな。  そんなものを見ながら僕を犯していたのかと、少し複雑な気持ちなんだけど、どうやら啓吾は動画を確認していたら僕を抱き潰したくなったらしい。ならしょうがないか、と思うしかないよね。  りっくん曰く、八千代は動画を見終えるなり、棚に八つ当たりしてぶっ壊したそうだ。穴が空いてるのはその所為だったのか。その勢いのまま部屋を出て行ったきり、戻ってこないのだとか。  また走っているのかな。なんて、僕は現実から目を背けるように良いほうへ考えていた。 「こんな酷い目に遭ってたんだな。結人の話聞いてるだけでも殺意が湧いたけど、目の当たりにすると聞いた時の比じゃねぇぞこれ」  と、朔が静かに言った。そんなに酷いのだろうか。ならば、もう見なければいいのに。そんなに苦しそうな顔をして、感情を滾らせながら見るようなものじゃないだろうに。  僕はそう思うのだけど、皆は違うらしい。それを目に焼き付けて戒めにするんだと、りっくんが歯をギリギリしながら言った。 「俺は莉久たちみたいに頭回んねぇから、結人からあいつらの痕跡ひとつでも消してやろうと思っただけ。ごめんな、俺バカで。お前を壊すことしか思いつかねぇの」  お清めだなんて言って、酷くも愛情たっぷりに犯されていた時とは違う、今まで隠していたような皆の雄々しさに怖気づいてしまった。今度はさっき以上に本気で、僕のナカからアイツらを消そうとしているんだ、と。  そう感じてしまうのだけれど、それでも啓吾は僕を壊したいと思う自分が許せないんだ。凄くツラそうな顔で僕を見つめる啓吾の優しさが、僕の胸を絞めつけて口を滑らせる。 「ううん。それでいいの。それがいい····。啓吾の、(しゅ)きなように··、僕のナカ、啓吾たちだけにシて」  スマホを握り締めている啓吾の手をそっと握り、僕は震える手でスマホを取り上げた。 「もう、見ないで。そんな汚い僕、見られたくないよ····」  僕がそう言うと、啓吾は謝る代わりにキスをくれた。深くて熱くて、凄く甘いキス。時々漏れる啓吾の甘い声が、僕の脳を痺れさせる。  僕がキスだけで蕩けていると、啓吾は加減を手放した腰振りで奥を貫いた。 「あ゙あ゙ぁ゙ぁ゙ぁぁっっ!! んぇ゙、お゙え゙ぇ゙ぇぇ····待っ、け、ご、ぅ゙え゙ぇ゙ぇ゙ぇ····」  容赦なく奥をゴリゴリ抉るから、吐くのが止まらない。胃がギュゥっと絞られるように痛い。それなのに、締まるお腹の奥を無理やり抜かれる熱さは気持ちイイ。 「俺さ、ゆいぴのコトひとかけらも汚いなんて思ったことないよ。今でも、ゆいぴは綺麗なままだし、俺の天使で女神だよ」  なんて言いながら、吐いてる僕の口におちんちんを突っ込んでくるりっくんの精神状態が心配だ。胃液しか出ないと言っても、吐いて締まっている喉をこじ開けられるのはかなり苦しい。  他人に潰されかけた喉ならば、いっそ自分の手で潰しきってしまおうと言いだしたりっくん。これはだいぶマズい。本当に声が出なくなっちゃうやつだ。  何度かややらかして、啓吾にまで怒られたことがあるのに。それでも今回は徹底的にやるつもりらしい。僕が誰かの手で傷つけられたままというのは、どうしても許せないらしい。  りっくんの気持ちを汲んだのか、啓吾が僕を仰向けに寝かせて腰を持ち上げた。前立腺をすり潰したり、時々押し潰したり、啓吾は前立腺を消滅させるまで抉るつもりなのだろうか。  おかげで噴くのが止まらない僕の顔に跨り、背中で潮を浴びながら喉奥を塞ぐりっくん。僕は、りっくんの太腿を押してささやかな抵抗をする。が、微塵の意味もなさず射精を呑むまでピストンされる。  一度流し込んで満足すると、今度は僕の頭上へ移動したりっくん。僕が精液を飲み込みきったのを確認したら、上を向かせて角度を調節しながらさっきよりも奥へ挿れた。 「もっとだよ。ゆいぴ、ここまで挿れるからね」  そう言って僕の喉を指で押さえるりっくん。恍惚なりっくんの声が耳に届くと、僕はりっくんのえっちな顔を想像してイッてしまった。 「あぁ〜可愛い♡ もっと腰ガクガクさせておちんちんで泣いてね」  イカれたりっくんは、宣言した所よりも深くまでねじ込み、挙句の果てに首を絞め始めた。ホントに死んじゃうって··と、思うとイッてしまうバカな僕。  グンと腰を突き上げて、情けないおちんちんをぷるぷるさせて、足をピンと伸ばしたりガクガクさせたりして、自分の身体なのに言う事を聞かないくらいイキっぱなしになる。そんな僕を、りっくんと啓吾は『可愛い』と言って愛でてくれた。  2人が沢山僕に注いで、まだまだ元気なおちんちんを抜かずに続けようとした時、部屋の扉が思い切り蹴り開けられた。全員の身体がビクッと跳ねて固まる。 「ビ··ビビったぁ····。え、なに場野、ちょ、おわっ!」 「何すんだよ! いたっ··、っておい、ゆいぴドコ連れてくんだよ!」  部屋に入ってきた八千代は、何も言わずに啓吾とりっくんを僕から引っぺがしてしまった。それから、僕を抱き上げてベッドを降りる。 「おい場野、勝手すぎるぞ」  朔もお怒りだ。そりゃそうだよね。今か今かと順番を待ってたんだから。  そんな事など知ったこっちゃないと、八千代は僕をお姫様抱っこしたまま少しだけ振り向いて答える。 「テラス」  どうやら、僕は2階のテラスへ連れて行かれるらしい。なんでだろう。にしても、啓吾たちの比じゃないくらい怖いんだけど、大丈夫かな····。  八千代の圧に負け、皆は押し黙ったままぞろぞろとついて来ている。見上げた八千代の顔はまさに無表情。やっぱり、めちゃくちゃ怖い。  何も言ってくれないし、キスもしてくれない。十中八九アレの所為なんだろうけど、八千代は例の動画を見て何を思ったのだろうか。今、何を思って僕に触れているのだろう。  怖くて何も聞けない。何か話さなくちゃと思うのに、上手く言葉が出なくて黙ったまま、あっという間にテラスへ着いてしまった。  降ろしてもらったのはいいけど、足腰立たないんだよね。テラスの柵を支えに立つけれど、足が震えて立っていられない。  そんな僕の腰を、八千代が軽々と支えてくれた。それから、僕の背中を柵に預けて迫ってくる。まだまだ外は暑くて 、背中に当たる木の柵が熱いんだけどな。  しこたまキスをして満足すると、僕を半回転させて柵を握らせた。そして、後ろからゆっくりと入ってくる。  いくらだだっ広い庭があると言っても、柵の隙間から見えないとも限らない。道行く人に声が聞こえない保証だってない。  それなのに、八千代は遠慮なく激しく突いて声を出させるんだ。これ、絶対わざとだよね。  僕が必死に声を殺していると、背後からカチッと聞き慣れない音がした。何の音か気にはなったけど、それどころじゃなくて聞けない。  すると、りっくんが騒ぎ出した。これは、僕が八千代を叱らなくちゃいけないヤツらしい。だけど、今だけは怒るに怒れない。  あぁ、早く振り返ってりっくんの騒いでいる内容が事実か確かめないといけないのに。大きなストロークでナカを擦られるのが気持ち良すぎて、なかなか振り返ることができない。  それどころか、ズルズル手が滑っていって今にも落ちそうだ····。

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