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明け方のラーメン

 急な衝撃に深くイッてしまった僕は、啓吾に「待って」と言おうとした。  けれど、声を絞り出す前に怒涛の強強(つよつよ)ピストンが始まってしまう····。 「やぁっ、待っ、け··ご、ぴゃぅっ、ぅあ゙ぁ゙ぁあぁぁっ!! イ゙ッ、イッた! 啓吾ッ、ぼ、僕、イッてぅかりゃぁ!」 「知ってる。ナカすげぇきゅぅきゅぅしてっかんね。うっは♡ まだ締まんのかよ····やっべぇ♡」  僕の腰を抱き締める腕に力がこもる。苦しい。けれど、啓吾からの愛情と深い欲望が伝わってきて心地良い。 「ンッ、やべ、また出そう」  さっき出したばかりなのに。そんなに僕のナカが気持ち良いのかな。それなら嬉しいな。 「ん、いっぱい、僕のナカに、()してぇ」  啓吾がイクまで続く強いピストンに乗せて、力無く啓吾の耳へ声を届ける。 「んぅッ····それやべぇんだって····アッ、ムリ、出る····ン゙ンッ」  声を漏らしてしまうほど感じてくれるんだ。そう思うと、腰から胸までゾクゾクが込み上げる。なんだろう、この気持ち。  もっと声を聴きたくなる。もっと声を漏らしてほしくなる。どうすればもっと······そうだ。 「ちょ、え、結人!?」 「僕も、動きたい····足、力入んないから、ちょっとだけ····だけど、もっと啓吾のえっちな声、聴きたいの」  震えを誤魔化しながら、膝を立てて踏ん張った。そして、啓吾の肩にしがみついて腰を上下させる。ぱちゅぱちゅと情けない音が響く。  けれど、啓吾は眉をひそめて恍惚な顔を見せてくれている。僕の拙い動きでも感じてくれているみたいだ。 「え··ちょ、待っ····」  僕の腰をギュゥゥと抱き締める啓吾。動けないや。 「はぁ〜〜〜〜〜っ、これマジでキツいってぇ····」  困惑する僕の胸に埋もれ、啓吾は大きな大きな溜め息を吐いて言った。 「ダ、ダメだった····?」 「ダメなわけない。積極的な結人すげぇ好き。つか結人の所為でまた勃った」  そう言って、僕を見上げる啓吾。潤ませた瞳の愛らしさとは裏腹に、その奥で滾っている雄々しさが見える。 「責任とれよ?」 「··っ、ひゃい♡」  とは言ったものの、手も足もプルプルするばかりで力は入らない。どうやって動けばいいのかな。  そうだ、この間りっくんが気持ち良いって言ってたアレをやってみよう。 「う、動くね?」 「どうぞ♡ ちゃんとイカせろよ?」 「ひゃぅっ、が、頑張るましゅぅ····」 「ぶはっ····かーぁい♡」  言い終えるや甘いキスをくれる啓吾。嬉しそうにはしゃいでいる。可愛いのはどっちだよ。  啓吾の首に手を回し、深く腰を降ろす。僕は、啓吾のおちんちんをぐぐっと奥へ迎え挿れた。 「んっ、おっき····は、ぁ····苦しい··けど、気持ちぃ」  自ら奥へ挿れて、気持ちぃと言葉にして伝える。忘れちゃいけないのは、僕が“気持ちぃ”に感覚を委ねること。それから、感じたことを甘く耳に声を届ける。  って、りっくんの部屋に連れ込まれて犯されたとき、めちゃくちゃ顔を真っ赤にしてお願いされたんだ。  頑張ってリクエスト通りにしたら、半泣きになって喜んでたんだけど、啓吾も喜んでくれるといいな。  僕が一生懸命動くだけで表情を歪める啓吾。りっくんみたいに煩くはないけど、時折漏らす声がえっちで堪らない。  もっともっと。そう思えば思うほど、啓吾のおちんちんを深く飲み込める。  大きく息を吐いて、んーっていきんで、さらに深く限界まで飲み込む。ぐぼっと奥を突いた瞬間、足の力が抜けて自重で奥の奥へ到達した。  朔ほどの串刺し感はないけれど、それでも苦しいことに変わりはない。だけど、キツくても気持ち良いんだから伝えなくちゃだよね。 「ン、ァ····け、啓吾のおちんちん、ふ、ぅ····ここまで来たぁ♡」  おちんちんの先が押し上げているポイントに指を這わせる。ここに先っちょがあるんだ····そう思い、ふにっと指先で押してみる。  すると、ナカで啓吾のがグリッと動いた。啓吾に感じてほしかったのに、自滅してしまったようだ。 「ん、ぅ゙····らめ····も、イ゙ァ····ン、くぅ····」  精液がぴゅるっとだけ零れ、続けて静かにとぷとぷと溢れ出す潮。啓吾が意地悪く奥をこついてイかせ続けるから、お漏らししているみたいに止まらない。   啓吾は可愛いを連呼しながら、抜かずに3回出すまで僕を離さなかった。  りっくんはぶーぶー文句を垂れながらも、優しく僕の背中を受け取る。指一本動かなくなった僕の隅々まで愛でると、そぅっと慎重にうつ伏せで寝かせた。  そして、僕の足を閉じたままおちんちんをねじ込もうとしている。 「ゆいぴ、寝バック好きだよね。いつもよりナカもアナルもキュゥキュゥしちゃうもんね〜♡」 「わ、わかんないよぉ····」  重みを感じさせるように背中へ胸を乗せ、耳元で低く囁いたりっくん。確かにこの体位も好きだけど、顔が見られないから寂しいんだけどな。  僕は、少しだけ振り向いて声を絞り出す。 「顔、見れないの、寂しい····」 「ンン〜っ♡ 俺も♡」  なんて言うくせに、そのままの体勢でヌルヌルなアナルにおちんちんを滑らせる。僕が焦れてくなってお尻をモゾモゾしだしたら、ガチガチのりっくんが一気に奥まで入ってきた。  ナカからお腹を破られそうなくらい、ゴリゴリ奥を抉ってくる。ベッドを突いてるのかな? って思うくらいの勢いだ。  強い衝撃で深くイき、びしゃっと潮を噴き出した。シーツが吸ってくれるのだけれど、吸いきれずに水溜まりができていて気持ち悪い。  それでもお構いなしに噴かせ続ける。イイ所を見つけると執拗いんだから、りっくんは。  声は枯れ、喉が切れそうだ。意識だっていつ手放してもおかしくない。もうイケない····と、限界を訴えようとした時だった。  それまでブツブツ愛を呟いていたりっくんが、後ろから僕の首を柔らかく締めて持ち上げた。  ゆっくり僕の腰を反らせると、りっくんはおちんちんの先を前立腺に押し当てる。『ぷぎゃ』って変な声が出ちゃった。  息をさせてもらえなくなって、死んじゃうのかなって思ったら心臓がバクバクして、お腹の奥がギュゥッと締まった。そこに、無理やりねじ込んでくるりっくん。 「い゙ぁ゙ぁっ!! りっく、ン゙ンァ♡ 痛゙ッ、あぁっ、気持(ぎぼ)ぢぃ····」  掠れた声で快感を吐露した。  半分白目を剥いて、力任せで強引なぐぽぐぽにイキ続ける。もう声が出ない。意識はふわふわ、飛びそうで飛ばないところを行ったり来たりしている。  後ろから聞こえるりっくんの甘くえっちな声がぼんやりしてきた。ダメだ····落ちる······。  照明が落ちたように、目の前が真っ暗になった途端、かろうじて保っていた意識が完全に途絶えてしまった。  下腹部がじんわり熱い。頑張って重い瞼を持ち上げる。  蒸しタオルで僕を綺麗にしてくれていた啓吾と目が合った。 「ありゃ? 起きんの早いじゃん。あ、タオル熱かった?」 「んーん、大丈夫。気持ちぃ····」  僕はまた瞼を閉じて温もりに集中する。  優しく丁寧に拭きあげてくれる啓吾。お尻から溢れ出る皆の精液もしっかり処理してくれている。  毎度のことながら恥ずかしさは健在。申し訳なさにも未だ慣れない。 「ははっ、ケツひくひくしてんじゃん。まだ欲しい?」 「欲しい····けど······」  ぐぅぅきゅるぅぅぅぅぅ······ 「あっはは! だよな、腹減ったよな。俺も〜」 「ねぇゆいぴ、ラーメン食べに行かない? 啓吾が(なっが)いから皆お腹すいちゃってさ、ラーメン食べたいねって話してたんだ」  僕の前髪をサラッと下ろし、壊れ物に触れるような手つきでおデコを撫でるりっくん。僕を見下ろす目がとても優しい。 「いや、最後長かったんお前だかんね!?」 「るっせぇな····つか結人が行かねぇわけねぇだろ。俺ガッツリ食いてぇから豚骨な」 「あぁ、背脂ギトギトのがいいな」  皆、スッキリしたのかお腹がペコペコらしい。八千代の機嫌もなおっている。 「僕も背脂····じゃなくて、皆もう怒ってないの?」 「そもそも怒ってねぇよ。よいしょっ、と······お前が可愛すぎっから妬いてただけだわ」  八千代が僕を抱き上げて首筋に吸いつく。スッキリした時に現れる、素直な八千代だ。 「お前が外の世界に興味持つんは良いコトなんだけどよぅ、離してやれねぇからあんま遠く行くんじゃねぇぞ」  そんなに遠い所まで行ってないんだけどな。それに、もし行くことになっても送ってくれるくせに。 「行かないよ? 僕、皆から離れたりしない」 「あ〜、こりゃ分かってないねぇ」 「だね。ま、離れないって言ってるんだしいいんじゃない? 俺はゆいぴの汗蒸れニーハイあんよ堪能できたし♡ マジでアレやっばいよ? エロすぎ可愛すぎ美味しすぎで俺イッたもん。なんで皆やんないの?」  ドヤ顔でおバカなことを言うりっくん。皆ドン引きしている。 「安定の変態具合だな。気持ち悪いぞ、莉久。つぅかあの時の結人、完全に諦めてたよな」  朔があの瞬間の僕を思い出してふふっと笑う。りっくんは少し照れた顔をして、絶対に僕も喜んでいたと言い張った。    そして、フラつく僕はりっくんに支えられながら車に乗り込む。もう明け方も近いこんな時間に、開いてるお店なんてあるのかな。  そんなことを思いながら、僕たちはラーメン屋さん探しの旅に出るのだった。

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