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理性の正しい飛ばし方

「ね、なんでおっきくなってるの? ここで僕のこと犯すの?」  僕は頭に浮かんだ疑問をそのまま投げ掛ける。青筋を立てた八千代は、ウイスキーを一口含むと、僕の後ろ髪を掴んでキスをした。  流し込まれるウイスキーを飲みほし、僕はもっとと強請る。  ウイスキーってこんな味なんだ。りっくんは少し苦いって言ってたのにな。  八千代のせいなのか、少し甘く感じる。制止する皆の声を無視して、八千代は僕におかわりを流し込む。喉も胃も熱い。 「場野! マジでもうやめろって!」  啓吾が僕の肩を優しく抱き寄せて言った。唇が離れ、ぬるくなったウイスキーが僕の首筋を伝う。 「何やってんだよマジで。ンな飲ませたら結人潰れんだろ!?」 「潰すんだよ。酔っ払いが調子こいてンなトコで煽ってくっからここで犯してやんの。完全に酔わせたほうが犯しやすいだろうが」  いくら個室だからって、ここでえっちするのはダメだよね。あと、僕は調子に乗ってたわけでも煽ってたわけでもない。それなのに、八千代は何を言っているのだろう。  啓吾は大きな溜め息を吐き、僕を抱っこして完全に奪い取った。身体が思うように動かない僕は、啓吾に抱きついて身を委ねてしまう。  返せと怒る八千代に、啓吾は冷静な対応をする。 「ここで犯したいのは同感だけどさ、酔って覚えてないんじゃ面白くないじゃん?」  助けてくれたんだと思ったけど、そういうワケでもなさそうな感じだ。啓吾は何を言いたいのだろう。   「結人、ちょっと水飲もうな」  そう言って、啓吾は口移しで水を飲ませてくれた。 「んっ、ンンッ····」  僕が飲み終わっても離れず、深く舌を挿れてくる啓吾。長くて甘いキスのおかげで少し酔いが冷めてきた。背後から八千代の苛立ちマックスな舌打ちが何度も聞こえる。  外の喧騒が耳に届き、ここは家じゃないんだと再認識させられる。それでも、熱くなっていく身体と欲しがる疼きは止められない。  酔いが冷めてグルグル回るのはおさまってきたんだけど、思考がふわふわするのは止まらない。キスの所為でむしろ加速している。だから、僕は啓吾の胸倉にしがみついて「もっと····」と強請った。 「あれで煽ってる自覚ないのすげぇよな」 「だね。俺があんなコトしたら、冬真なんてここで全裸コースだよ」 「お前らはもう少し落ち着いたほうがいいんじゃないか? 俺らも人のことはあんま言えねぇけど、流石に外で全裸には····」 「いやいや、俺そこまでバカじゃねぇっつの!」 「え~、神谷だったら脱いでそう」 「だよね~。俺なんて否応なくひん剥かれてそうで怖いよ」  なんだか皆盛り上がってるなぁ。僕も楽しくおしゃべりしたい。だけど、気持ちぃからキスはやめられないし、なんなら今すぐ啓吾のおちんちんが欲しい。  そういえば、お酒って飲んだらえっちな気分になるんだよね。皆もそうなのかな。もしかして、僕だけ?  こんなこと言ったら、また皆に淫乱だとか言われちゃうのかなぁ····。 「結人、キスに集中して? 俺とのキス気持ちくない?」  なんて、耳元で甘い声を響かせる啓吾。お尻とお腹の奥ががきゅんきゅんしちゃう。 「ひぁぁ····気持ちぃよぉ····へっ!? ひゃんっ」  僕があまりにも啓吾に夢中だったから、きっとヤキモチを妬いてしまったのだろう。僕に非がないわけじゃないのはわかっている。だけど、それにしたって、こんな所でされると本当に困るんだ。  何がって、後ろから八千代が服に手を突っ込んできたんだよね。侵入してきた手は真っ直ぐ胸に伸びて、指先が確実に乳首を捉えた。本当に一瞬の出来事だったんだけど、乳首にまぁまぁ強めのデコピンを食らったんだ。  身体がびりッと痺れてイッてしまった。えっちな声をあげてビクンとイッた僕に全員が驚く。 「「「「「は?」」」」  啓吾ですら気づかなかったほどの早業だ。僕だって何をされたのか一瞬理解できなかった。  そのまま指先で乳首を転がしながら、八千代は満足そうにお酒を楽しむ。状況を理解した皆は、いつもの事かと何事もなかったかのようにスルーする。  りっくんが「もう! 声出させんのだけはやめろって」と軽く注意をしただけで、それ以上のお咎めはなかった。本当にここで始めてしまいそうな流れなんだけど、大丈夫なのかな。 「ンッ····ね、ホントにここで、シ、シちゃうの?」 「ん~、どうだろ。結人次第かなぁ」  啓吾は僕の頬に唇を這わせて言う。僕次第ってどういうことなんだろう。僕がここでシたいって言ったらシてくれるのかな。もしもシたくないって言ったら、シないのかな。  まとまらない考えをぐるぐる巡らせながら、僕は啓吾の舌を吸う。だって、吸ってないと乳首の刺激で声が漏れそうなんだもん。  しばらくそんな状態が続いて、確か甘イキが5回目を迎えた時、啓吾がお尻を弄り始めた。  「は····もうトロットロじゃん。結人のザーメン、ケツにまで垂れてる。最高のローションじゃんか」 「はぇ····僕の精液、ローションなの?」 「うん。サイコーの♡」  啓吾が何にそこまで興奮しているのかはわからないけれど、喜んでくれてるなら何でもいいや。僕は啓吾に全てを任せようと、すすっと足を開いた。 「かーわい♡ けどさ、ちゃんと言葉で聞きたいんだよね。結人次第って言っただろ?」 「んぇ? 言うの? ここでえっちシたいって?」 「んふ····そうだよぉ。結人がシたいんだったら言ってくんなきゃ、ヤッていいか俺分かんないもん」  啓吾が悪い顔をしている。にんまりと僕を見下ろして、下唇をペロッと舐めた。なんてえっちなんだろう。   「え、えっち····シたい····けど、ここでシちゃダメなんだよ?」 「ほら見ろ。酔ってねぇと理性完全に飛ばねぇだろうが」  八千代がざまあみろと言わんばかりの目で啓吾を見ている。 「ほんっと、場野くんは粗暴なんだから~。そりゃ酒飲んだほうがスイッチ入んの早いけどさ、結人はシラフでもちゃんと素直になれるよ。な?」  それはどうだろう。やっぱりシラフだとどこかで理性がブレーキをかけていると思う。八千代の言う通り、お酒の力を借りたほうが素直でいられる気がするんだけどな。  そう思っていたら、啓吾が耳を食べ始めた。そして、戸惑う僕に『犯してって言え』と命令した。  その瞬間、僕の理性は微塵も残らずに吹き飛ぶ。 「お、犯ちてぇ♡♡」  目にハートが浮かんでいる自分を容易に想像できた。  僕の上半身は八千代に渡され、啓吾が僕のお尻を丸出しにする。四つ這いでこの体勢ということは······  八千代はガチガチのおちんちんをボロンと取り出して、僕の下唇に亀頭を滑らせる。 「上の口はちいせぇままでかぁいいな」  と、八千代は僕の前髪を鷲掴んで言った。口が大きくなるわけないのに、なに当たり前のことを言ってるんだろう。少し酔ってるのかな。 「下の口は、もう可愛くない?」  って、僕も何を聞いているのだろう。とは思うけれど、飛び出してしまったものは仕方がない。 「場野、口塞いで」  啓吾が言うと、八千代は僕の口を手でしっかり塞いだ。そして、八千代が「ん」と合図をすると、啓吾は『下の口もかぁいいままだっつの』と言って一気に根元まで押し込んだ。 「ン゙ン゙ン゙ン゙ン゙ッッ!!?」  お腹の奥にズンッと啓吾が入った。涙がぶわっと溢れる。それを見ていた八千代は、これまたえっちな顔を見せて僕の涙を拭って舐めた。ばっちぃからダメだって、何度も言ってるのにな。  啓吾はそのまま僕の奥を犯す。けど、ちゃんと奥は解してくれているみたいで、いきなり貫くようなことはしない。それでも声は抑えられなくて、八千代が塞いでいてくれなきゃ絶叫しているところだ。 「なー、おかわり頼みたいんだけど」  空になったグラスを持って冬真が言う。 「頼めばいいじゃん」  そう言った啓吾に、猪瀬くんが物申す。 「冬真みたいなコト言わないでよね。この状況、色々とヤバすぎるでしょ」 「おいこら駿、お前も犯してほしいの?」 「なっ、そんなコト言ってないだろ!?」  真っ赤になる猪瀬くん。彼も一筋縄じゃ素直になれないことを、僕たちは皆知ってる。 「待って待って、おっぱじめる前にマジで色々注文しときたいんだけど」  りっくんが真面目に止める。その隣で、容赦なく注文ボタンを押してしまったのは朔だった。 「もう注文したから店員来るぞ。飲み物も頼んでるから早いだろうな」  鬼か····。全員がそんな目で朔を見る。  朔の強行のおかげで、啓吾の鬼ピストンが始まった。一旦抜くんじゃないんだね!  なんてツッコミを入れる間もなく、僕は死に物狂いでイキ続ける。

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