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僕が終わらせるんだ

八千代(やちぉ)····」 「ん?」  八千代の甘い返事が脳に響く。甘ったるくて胸焼けしそうだ。 「香上くんの口の、とったらダメなの?」 「うるせぇだろ」 「····だけ?」 「だけ」  他に何があるんだよとでも言いたげな八千代。  本当にそれだけなんだ。なら、静かにしてねって言えばいいのに。  僕は、視線の先、八千代の向こう側にいる香上くんへ問いかける。 「香上くん····、騒いだりしないよね?」  悩んでいるのか、縦に振る首がぎこちない。ぎこちないけど、本人が大丈夫って言ってるんだ。 「ね、外したげて? 可哀そうで見てられにゃい····」  あ、まだ舌が上手く回らないや。お酒が抜けてないのかな。 「どーするよ」  八千代が皆に問いかける。りっくんは反対してるけど、啓吾と朔は僕が言うならって感じみたいだ。 「りっくん、もうやめたげて?」  足が動かないからコロンと転がって、ベッドのへりに座っているりっくんを見上げた。僕を眺めていたりっくんと、ばちっと目が合う。 「うっ······」  僕の上目遣いとお願いに弱いりっくん。もう一押しかな。 「香上が完全に諦めるって誓うなら······いい····かな」  一押しも要らなかったみたいだ。散々えっちなことをしておいて、こんなことで照れちゃうりっくんが可愛くて仕方ないや。  香上くんに騒がないでねって言って、啓吾に枷を外してもらう。  解放された香上くんはいろんな言葉を呑み込んで、たった一言叫んだ。 「諦めるからヤらせろよ!」  このパターンかと、皆の溜め息が揃う。そう言って結局諦めなかった人物を知っているから、それはそれは大きな溜め息が出揃ったんだろうな。 「やっぱうるせぇじゃん。つかそれさ、諦める気ないやつのセリフなんだよね」  啓吾が力なく答えた。全力で呆れてますって顔をしている。 「マジで、1回ヤッたら諦める。こんだけ見せられて帰れっかよ! な? 思い出にさ····」 「でたよ、思い出。お前なんかに思い出あげる義理ないし、お前なんかにゆいぴの思い出あげるかっつの。だいたい思い出って、それってさ、今後もゆいぴで抜きますってことでしょ? 誰がそんなの許すと思ってんの? お前に許されてんのは今日の記憶を消して新しい恋をしろってことなんだけど。俺らが諦める手助けしてあげてんの、まだわかんない? つまり生まれ変われって言ってんの。わかった?」  怒涛のりっくんだ。僕は半分くらいしか理解できなかったけど、香上くんはついていけたのかな。 「じゃぁせめて抜かせろよ。こんな状態で帰れるわけねぇだろ!?」 「お前の行いが招いた結果なんだから、恥かきながら帰ったらいいんじゃねぇか?」  毎度のことながら、意外と朔が一番キツイことを言うんだよね。  でもたしかに、あんな状態のおちんちんで外に出たら、間違いなく通報されちゃいそうだ。 「抜くだけでも、ダメなの?」 「ダメなの!」  りっくんに怒られちゃった····。 「そうやってゆいぴが甘くするから諦めきれないんだよ? ゆいぴはいいの? 俺らとのえっち見ながら香上がシコってても」  宥められているようだけど、今更感しかない。あれだけ見せつけておいて、なんで見せながらシコらせるのはダメなんだろう。 「んぇ····ごめんなしゃい······でも、なんでダメなの?」  僕の発言に、皆はまた溜め息を漏らす。  ダメな理由は2つ。ひとつは、僕で抜く癖がついちゃうから。もうひとつは、単純に皆が嫌だから。  本当にここがわからない。見せつけるのは良いのに?  って思うんだよね。  僕がわかんないなぁって顔をしてたら、啓吾が説明してくれた。 「俺らねぇ、お仕置きだけしたいの。ご褒美上げるのは嫌なの。わかった?」 「んー····? わかったぁ」  でも、やっぱり可哀想だよね。 「なぁ、結人がしょぼんしてるぞ。いいのか?」 「イイもクソもねぇだろ。今結人で抜かせたらコイツ、マジで一生結人で抜きやがんぞ」 「それは許せねぇな」  皆、僕のことになると本当にポンコツになっちゃうよね。香上くんはわかってて黙ってるのかな。 「あのさ、あれだけ見せたんだから、どうせ僕をオ、オカズ? にしちゃうんじゃないの?」 「····忘れさせっから問題ねぇ」  八千代が言うとシャレにならないんだよね。さっき、りっくんも言ってたけどどうやって忘れさせるつもりなんだろう。  って、僕が聞いたら皆黙っちゃった。勢いで来ちゃったんだね。 「まぁ、サイアク場野がちょちょいってしたら忘れんじゃね?」 「大畠、お前相変わらずバカなまんまかよ。俺それ死ぬやつだろ」  香上くんが肩を落として言った。本気で死を悟ったような焦りを見せている。 「殺しゃしねぇっつの。ちょい記憶トぶだけだわ」  八千代がゴリ押しで済ませようとしている。ダメなやつだ。 「ね、香上くんの言うこと信じてあげようよ」 「「「「無理」」」」  こういう時、ほんと綺麗にハモるよね。 「もう····。ねぇ香上くん、約束守ってくれるよね?」 「守、る····」  なんて頼りないんだ。だけど、ここは香上くんを信じる方向にもっていくしかない。  じゃなきゃ、このヤバい見せつけ大会が終わらないもんね。僕が頑張らなくちゃ····。

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