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僕たちの世界

「で、どうなんだ? 今、キッパリ諦めるって宣言するなら──」 「んで、結人で抜かねぇっつんなら、解放してやんなくもないけど」  啓吾がしゃしゃり出て、朔の言葉を奪った。けれど朔は、それだって顔で香上くんを見下ろす。  頭では分かっているけど、どうにも素直に返せない····みたいな香上くん。だんだん、顔がぐぬぬって感じになっていく。 「お前に選択肢なんかねぇの、わかってんだろ」  八千代が追い打ちをかける。  一瞬、ぐっと歯を食いしばった香上くんだが、一息吸って大きく吐き出した。 「····はぁ····わかった。降参するよ。お前らが本気なんはわかった····つぅかわかってたし。だから、マジで、もう諦める。武居でヌくのも····極力──」 「あ゙?」  声を発したのは八千代だったけど、同時に皆も鋭い眼光で威嚇した。怒った顔もカッコイイけど、香上くんが完全に怯えちゃってる。4対1なんて、やっぱり可哀想にしか見えないや。 「ぬ、ヌかねぇよ。冗談だって····」  少し声を震わせる香上くん。あの事件がトラウマなのは僕だけじゃないんだね。  ようやく、香上くんの拘束が解かれた。一旦トイレに行かせてくれと言って駆け込む。  お腹でも壊しているのか、なかなか戻らない香上くんが心配で、僕は声をかけに行こうとした。けれど···· 「結人くんねぇ、香上がナニをシに行ったか····わっかんないかなぁ」   「んぇ?」 「ゆいぴがわかるわけないでしょ。純粋無垢な天使なんだから」   「え? ねぇ、どういうこと?」 「今はそっとしといてやれってことだ」  朔が僕を抱き上げた。わわっとバランスを崩す。 「で、でも····もしお腹壊してたら大変だよ」  長時間の拘束で体調が悪くなっていたら、それこそ僕たちの責任なんだから助けてあげないといけないのに。 「はは、結人は優しいなぁ。やっぱり、天使っつぅより女神だな」  朔がりっくんみたいなことを言いながら、そぅっとベッドに降ろしてくれた。その顔がとても穏やかで優しいから、今置かれてる状況が飛びそうになっちゃった。 「えっと、皆は香上くんが何しに行ったかわかってるの?」    そんな口振りだったんだもん。また僕だけわかってないみたいな。 「ま、お前(メス)にゃわかんねぇわな····ぉら、ケツ向けろ」 「えぇっ!? 香上くん戻ってきちゃうよ?」 「しばらく戻んねぇだろ。お前の声が聴こえてる間は····な」  含みを持たせて言う八千代。言いながら僕の腰を掴んで、自分でイイ位置に持っていく。  くぷっと、ゆっくり亀頭を呑み込ませる八千代。さっきまでの激しさが嘘みたいに、胸やけがするほどの甘いえっちだ。まるで、2人きりの時みたいな。甘すぎて、自然と声が漏れてしまう。 「声、我慢すんじゃねぇぞ。ま、ンなぬりぃセックスなんざシねぇけどな」  耳元で囁かれる言葉とは裏腹に、どんどんえっちは甘くなっていく。そこに便乗してきたのは啓吾だった。結局、あれ以来僕のナカを堪能できてないもんね。  啓吾は反対の耳を担当して、甘さに拍車をかける。ドキドキもキュンキュンも、啓吾の思うままに心臓を弄ばれる。  これ、寝バックっていうんだっけ?  八千代が前立腺を潰して、飽きたら奥を抉る。それだけでもいっぱいいっぱいなのに、りっくんが足の指を舐め始めたから快感がパニクっちゃう。イクたび身体が勝手に跳ねて、腰が痙攣したように振れっぱなしだ。  甘い声がどんどん溢れる。気が付いたら、八千代が占領していた耳を朔に明け渡していた。朔の低くて優しい声が脳に響く。  耳と脳とお腹とお尻と足でイク。総責めは嫌だって言ってるのに········あ、そうだ。皆が容赦しないって言ってたの、こういうことだったのかな。  けど、香上くんがいないのにシてどうするんだよぅ。 「待、待っ····んぅ····も、()んぢゃぅ····」  喉が切れそうだ。快感で頭も身体もショート寸前って感じだし、甘いはずなのにさっきよりキツい。 「もうちょいな。香上(バカ)もそろそろ戻んだろうから、いねぇ間に思いっきりイッとけ」 「ひぁっ····ぁんっ、んぅ····あぁぁっ♡♡」  まるで『これが最後な』と言っているように聞こえた。それがどういう意味なのか真意はわからない。でも、八千代が優しい雰囲気で僕を包んでくれていることだけはわかった。  八千代が僕のナカを洗うため、お風呂に連れて行く。そして、脚がガクガクして動けなかった僕を丁寧に洗ってくれる。 「八千代って、ホント僕にだけ甘いよね」 「あ? ったりめぇだろ。ぁんでお前以外に甘くすんだよ」 「へへ····そうだよね」  そういうところも、香上くんを諦めさせた要因のひとつなんだと、僕は勝手に思ってしまった。  僕が皆の特別で、皆は僕を中心に生きてる。それが当たり前になってて、今更他人が()()へ足を踏み入れるのは不可能に近い。だって、もう僕たちは僕たちの世界を作り上げてしまっているから。  まぁ、それでも入り込もうとしている子がいるから困っちゃうんだけどね。  何かが欠けてもいけないし、これ以上なんて必要ない。そういう世界に僕たちが浸っているんだって、香上くんに伝えたかったのかな。  なんて、温かいお風呂で身体を温めながら思った。

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