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ずっと我慢してたから····
「ん····暑い····」
なんだか全身が重いし暑い。まるで、真冬用の布団をかぶっているみたいだ。
身動きが取れないまま、重い瞼を持ち上げる。
「わぁ····」
左側には啓吾が、右側をりっくんが占領していた。僕に絡みつくような体勢で寝ている。そりゃ熱いわけだ。
僕は2人を起こし、『暑い』と文句を言った。
2人は謝りながら、まだ寝ぼけているのか、僕の全身に唇を這わせる。汗をかいてるから、先にシャワーを浴びたいのに。くすぐったいやら気持ちいいやらで、甘い声が漏れてしまう。
「ゆいぴ、ちょっと元気になってる」
そういえば、かなり身体が軽い。熱っぽさも随分マシになって、頭がしゃきっとしている。
「バカじゃねぇの。俺のお注射····じゃねぇや、座薬効いてるだけだろ」
そうだ、啓吾が座薬を奥まで入れてくれたんだ。思い出したら、お腹にだけ熱がぶり返してきた。
「あ、そっか。薬 の お か げ だぁ」
2人とも、まだ目がおねむなまま会話してる。可愛いなぁ。
「んふ。啓吾、りっくん、看病してくれてありがとね。八千代と朔は?」
「えっと····そうだ、買い出し行ったんだったわ。スポドリとかいろいろ買い足してくるって」
なんだ、家にいないんだ。早く2人にも会いたいなぁ。
なんて思っていたら、数分もしないうちに帰ってきた。買った物を片して、2人して僕の様子を見に来てくれた。
「お、起きてんのか。身体は?」
「今は大丈夫だよ。買い出しありがと」
僕の頭を撫で、八千代はりっくんを僕から引っぺがして隣に座る。転がされたりっくんはベッドから落ちて、しっかり目が覚めたらしい。怒涛の罵詈雑言で八千代に文句を並べたてた。
「るっせぇな。結人にへばりついてるテメェがわりぃんだろ」
「そうだな。結人が汗だくになってんじゃねぇか。お前ら、看病するつって残ったんだから一緒に寝てたらダメだろ」
「つぅことだ。起きろアホ」
八千代が、啓吾の頭をべちんとはたく。
「いって······いやだってさ、ちょっとずつ息が落ち着いてくる結人見てたらさ、なんか可愛いなーって、よかった~って安心したらつい、さ····」
また眠ろうとする啓吾。どれほど心配して気を揉んでくれていたのか、かなりお疲れみたいだ。
「啓吾、ありがと」
啓吾の頭をよしよしする。すると、頬をすり寄せてギュッと抱き寄せられた。
だめだ、可愛すぎて心臓がもたない。
「なにこれ可愛すぎるよぉ······誰か、啓吾どうにかして。僕の心臓が飛び出ちゃいそうだよ····」
心臓と連動するように顔をキュッとさせ、啓吾から顔を背けて言った。
「まだ熱で頭イカレてんのか? コイツのどこが可愛いんだよ」
げんなりした顔の八千代が、啓吾をジトっと見て言った。僕の言っていることが心底理解できないのだろう。
僕は啓吾の可愛いところを説明した。誰一人、理解なんてしてくれないのはわかってたけどね。
そうこうしてたら、ようやく啓吾が目を覚ました。
「なに? 飯?」
「そういや、もうそんな時間だな。結人、飯は食えそうか?」
「うn——」
——ぐぅきゅるるるるる········
僕のお腹が元気に返事をしてしまった。皆、ぶはっと吹き出す。
「腹減ってんだな。何食いてぇ? 今日は俺が作ってやるよ」
八千代が僕の頭をぐりぐり撫でながら言う。あまりご飯担当をしない八千代のレアご飯だ。僕の食欲が暴れだす。
「えっとね、オムライスでしょ。あとコンポタも飲みたいな。あ、でもカレーもいいかも····かつ丼もありかな····んー····あっ! 鍋焼きうどんがいい!」
にこにこしながら聞いていた八千代は、結局全部を少量ずつ作ってくれた。
けど、流石に病み上がりじゃ全部は食べきれないよ····って思ってたんだけど、美味しくてペロッと食べちゃった。まったく、お腹の強さだけは本当に自慢だよ。こればっかりは皆もめちゃくちゃ驚いていた。
「消化····」
僕のお腹を心配してくれている朔が、食事中から何度も呟いていた。
「いっぱい食べたほうが早く元気になる気がするから大丈夫だよ! たぶん」
そう言って僕は、お粥を作ろうとしている朔を止めた。今更だし、もうお腹いっぱいで何も食べられない。
「ならプリンも食えねぇかぁ」
冷蔵庫から取り出したプリンを、見せびらかして言う啓吾。意地悪だ。
「食べれるよ!」
僕は、いつもより2つ控えて、プリンを3つ食べてベッドに戻った。
また少し熱が上がってきたんだ。ちょっとはしゃぎすぎたかな。
熱が上がったり下がったりするのが暫く続いて、完治したのは3日後だった。
その間、代わる代わるお世話をしてくれた皆に感謝だ。皆に何かあった時は、絶対に僕がお世話するんだと言うと風邪をひきたがったおバカさんたち。元気でいてくれるほうが僕は嬉しいのにね。
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