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狂愛Ⅱ《綾side》5
甘い桃の味が広がる。
愁弥は驚いていた。
俺はそのまま愁弥を押し倒した。
「綾っ…放し…」
「やだよ」
うっすら残っている首筋のキスマーク。
愁弥の風邪。
あいつの鼻声。
「金曜日の夜、ルイの家にいたのか?」
愁弥の目が丸くなった。
それと同時に目をそらす。
答えはイエスか。
「お前の好きな奴ってルイ?」
俺の質問に答えようとしない。
その態度に少し腹が立った。
だからこのまま抱いてやろうと思ったんだ。
「こんな所にキスマークつけるなんて挑発してるとしか思えねぇな」
「え?」
怒った俺は止められない。
愁弥にキスをしながら、服を脱がせていった。
「ふ…ぁ…綾、」
少し抵抗しながら、それでも俺を受け入れる姿が余計に苛立った。
「なぁ、そいつと俺のどっちがイイか教えろよ」
愁弥の耳を舐めながら問いかける。
風邪を引いてるから、息がいつもより粗い。
「や、め…綾っ…あ、いやだ」
「その嫌がる顔が俺を逆に欲情させてるんだぜ?」
こんなことをしに来たんじゃない。
真実を伝えて、愁弥を奪いに来たんだ。
お前を誰よりも知ってるのは俺。
誰よりもお前を愛してるのは俺だから、
「俺のモンになれよ」
驚いた顔をして、目からは涙が零れ落ちた。
精一杯抵抗しながら。
愁弥を押さえていた腕の力が抜けた。
泣くほど俺が嫌なのか?
愁弥は俺を見つめながら言った。
「誰にでも同じことを言うのか?お前は山田が好きなんだろう」
「雅鷹?」
雅鷹は確かに可愛いし、狙ってるやつも多いだろうけど。
あいつは炯にゾッコンだし、俺も別に手を出す気ない。
「山田と旅行に行くんだろう…?」
愁弥は勘違いしてる様子だった。
だから真実を話したんだ。
「雅鷹にはアドバイスもらってただけだ。旅行はお前と行くつもりだったんだ」
「え?」
俺は愁弥を起こし、抱きしめながら背中をさすった。
「昔から愁弥が好きだったんだ」
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