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狂愛Ⅱ《綾side》6

俺の言葉で愁弥が顔をあげようとする。 俺は顔を見られるのが恥ずかしくて、愁弥の頭が上がらないように胸の中に愁弥を埋めた。 「今は俺の顔を見るなよ…」 愁弥は頷いた。 「俺は遊び人だろ?だから愁弥に告白しても、本気に受け止めてもらえないと思ったんだ」 昔から呆れられるくらいに愁弥に何度も忠告されてた。 「だから夏休みに、海外の綺麗な夜景が見えるホテルでお前に告白しようとしたんだ」 俺が海外は苦手っていうのは愁弥は知ってるはずだ。 愁弥は昔からよく家族で海外旅行に行ってて、その度に俺は貶してたから。 「お前をエスコートして、イイとこ見せたかったんだよ俺は。だから雅鷹と打ち合わせしてたんだ」 なぁ愁弥、 俺の想いは伝わってるのか? 「俺はてっきり…綾は山田が好きなんだと…」 愁弥が顔を埋めたまま話し始めた。 「最近山田とばかり一緒にいるから、綾が俺から離れてしまいそうで… 」 愁弥は、自分がずっと不安だったことを話してくれた。 俺が愁弥を相手にしてなかったこと。 雅鷹と旅行に行くこと。 映画を凄く楽しみにしてたこと。 ルイの家に行って、犯されたことも全部話してくれた。 「綾から離れようって言われるくらいなら、俺から離れようと思ったんだ…だから…」 だからあの日、「好きな人が出来た」と嘘をついた。 そう泣きながら話してくれた。 「ルイに抱かれた俺を綾が受け入れてくれるはずないと思ったんだ…」 その件に関しては、確かに今からあいつの家に乗り込んで殴らないと気がすまないけど… でも、 「お前をそこまで追い詰めたのは俺なんだよなぁ…」 愁弥の頭を撫でて、 愁弥の体をギュッと抱きしめて、 懐かしいと感じた。 「そういえば、こうして愁弥を抱きしめるのなんて何ヵ月ぶりだろうな」 最近じゃ、毎日雅鷹と打ち合わせだったから余裕なんてなかった。 大切なやつがこんなに近くにいたのにな。 全く、炯の言う通りだ。 「愁弥、俺が好きか?」 愁弥は頷いた。 純粋に、嬉しかった。

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