20 / 37

狂愛Ⅱ《綾side》8

何回したか分からないくらい抱き合った。 気付けば夜になっていた。 愁弥を腕枕して、髪を撫でてやって。 俺ら、両想いなんだよな。 「香港のホテルでかっこよく告白するつもりだったのになぁ。結局愁弥の部屋で告白ってロマンの欠片もねぇな…」 俺は苦笑いして愁弥を見た。 「綾がいれば場所なんて関係ない」 上目遣いで俺を見つめて。 「ありがとう愁弥」 俺の計画は無意味だったってことか。 でも、愁弥が手に入った 愁弥がいるなら、それでいいんだ。 「愁弥…?」 愁弥の顔を覗き込むと、愁弥は疲れたのか眠っている様子だった。 病人だったな、忘れてた。 こうして愁弥と心も体もひとつになれた。 俺には愁弥が居て当たり前で、 愁弥には俺が居て当たり前で 居なくなったらなんて考えられない。 それくらい愁弥は俺には無くてはならない存在。 俺だけの愁弥、愁弥だけの俺 それで俺等は成り立っている。 「愛してるよ愁弥」 眠る愁弥を抱きしめながら、愁弥の耳元で囁いた。 「じゃあ海外行かないんだ」 数日後、雅鷹に全てを話した。 「海外は苦手分野だからな。だから夏休みは国内旅行に行くことにした」 「得意分野を選んだんだ」 「そういうこと」 国内ならよく歌舞伎の公演で遠征してるし、俺の庭みたいなものだから。 だから愁弥には、改めてそこで告白しようと思ってる。 「雅鷹は炯に告白しねぇの?」 「俺は…中学の卒業式に告白してズタズタにフラれたからなぁ…」 「でもあれから一緒にいる機会も増えたし、好きなら諦めるなよ」 「うん…頑張る!」 雅鷹と炯が付き合ったら、これ以上ないくらい嬉しいんだけどな。 「愁弥!」 「綾。おはよう」 「旅行日和だな」 「あぁ」 俺は今から忘れられない、最高のプランで愛を誓う。 もう放さない。 愛してるよ、愁弥。

ともだちにシェアしよう!