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狂愛Ⅱ《愁弥side》5

何回したか分からないくらい抱き合った。 気付けば夜になっていた。 綾は腕枕して、俺の髪を撫でながら苦笑いしながら言った。 「香港のホテルでかっこよく告白するつもりだったのになぁ。結局愁弥の部屋で告白ってロマンの欠片もねぇな…」 「綾がいれば場所なんて関係ない」 「ありがとう愁弥」 それ以降の会話の記憶がなかった。 俺は気付くと寝てしまっていたようだ。 朝方起きると、目の前で裸の綾が寝ていた。 昨日のことは嘘じゃないと実感できた。 「愁弥、おはよ」 「おはよう綾…もしかして…」 「え?今度はアヤちゃんが風邪?」 「あぁ。今朝38.8度あった。本人は元気だけどな」 「えー、高いねぇ。大丈夫なのかな?」 「綾は平熱が高いから、38度台は大丈夫だと思う」 やはり俺の風邪が移ってしまった。 「それで二人はどうなったんだ?」 「…付き合うことになった」 「えー!嬉しー!二人とも好き同士なの見てて分かってたから、俺も哀沢くんも、ずっともどかしかったんだよー。よかったぁ」 「よかったな」 山田は自分のことのように喜んでくれた。 綾の体調がよくなったと連絡が来て、学校が終わってから3人で綾の家に行った。 「おー、来てくれたのか」 「アヤちゃん今熱どのくらいなの?」 「さっき37.1度になった。もう平熱レベル」 「え?朝38.8度だったのに?回復力やっば」 綾と山田はいつものような会話をしていて、楽しい空間になっていた。 昨日のことがあったから、綾と山田が話していても不安は微塵も無かった。 よかった。 山田はイイ奴だから嫉妬なんてしたくなかったから。 「そういえば、馬鹿は風邪引かないって迷信なんだってな」 「おい炯。さりげなく俺を馬鹿って言ってねぇ?」 「綾元気そうだし、俺はもう帰る。山田は?」 「哀沢くんが帰るなら俺も帰る。二人とも、またねー!」 2人が帰り、綾の部屋に二人きりになった。 「俺もそろそろ帰ろうかな」 元気とはいえ綾はまだ病人だし俺も帰ろうとした時、ベッドで寝てる綾に肩を叩かれた。 「帰る前にさ、テーブルに置いてある桃食わせて」 俺が風邪を引いたときに綾が大量に桃を買ってきたので、余った分を家から剥いて持ってきた。 俺はそれをフォークに刺すと綾が「違う違う」と言った。 「違う?食いたいんじゃないのか?」 「フォークじゃなくて口移しで」 何を言うのかと思えば… それでも綾の言うことを聞いてしまう自分は、つくづく綾に弱いなと感じた。 口移しで桃を運ぶと、ゆっくりと綾がそれを飲み込んだ。 「うっま」 桃を食べて喜ぶ綾を見て、俺はキスをした。 綾もそれを受け入れて、舌を絡ませる。 「愁弥のほうが美味いな」 「桃と比べるな」 そう笑い合ってまたキスを続けた。 綾、 俺はお前しかいらない。 綾も俺と同じ気持ちだというのなら、もう何も不安は無かった。 これからまた、恋人同士として共に歩いていこう。 愛してるよ、綾。

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