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狂愛Ⅲ《綾side》1
愁弥と旅行も楽しんで、歌舞伎の公演も終了して一段落ついた。
しかし、愁弥と結ばれてハッピーエンドで終わる俺じゃない。
やることが1つ残っていた。
あとはこの問題だけ解決すれば終わりだ。
「神威さん…?」
「やっほ。お話ししましょ」
舞台の千秋楽が終わって、軽く打ち上げに参加してから俺はひとりでルイの家に来た。
一人暮らしをしてるのは知ってたから。
「なぜここが分かったのですか?」
「お前の担任俺のこと好きだからすぐ教えてくれた」
「教師が個人情報漏洩とは呆れますね」
そう言いながらもルイは俺を部屋にあげてくれた。
まぁあげてくれなくても勝手に入ったけど。
「綺麗にしてんだなー。感心」
「ところで、お話しとは?」
俺とルイは座ることなく、リビングで立って会話をした。
「愁弥を抱いたんだって?」
さぁて何て答えるかな?
正直に言うか。それとも誤魔化すか。
「愁弥さんから聞いたんですか。嬉しいですねぇ」
「何が嬉しいんだよ」
ルイは俺にバレていることを喜んでいた。
本当、読めないヤツ。
「愁弥さんは私に抱かれたことは忘れると言ってました。しかし神威さんに報告したということは、ちゃんと私が刻まれたということですね」
そういう意味か。
こいつ相当愁弥のこと好きじゃねぇか。
「挑発でもしてんの?気持ちの入ってないセックスが刻まれたところで別に気にしてねぇけど」
「そうですか」
愁弥が俺以外とヤッても、やっぱり愁弥は俺から離れられない。
あいつには俺しかいないって分かってるから、こんなこと言われても俺は余裕。
「悪いね。昔から愁弥は俺だけのモンだから」
「愁弥さんをモノ扱いするとは何様なんですかあなたは」
「んー…敢えて言うなら…神威様?」
ルイは俺の発言に深くため息をついた。
呆れているような表情で。
「謝罪しろとでも?」
「いや別に」
「それではもう話すことありませ…」
ルイが話を終わらせようとした瞬間、俺はルイを押し倒した。
両手を押さえつけて見下ろす。
「話しには続きがあるんだよねー」
「へぇ…何ですか?愁弥さんを抱いた私を殴るとか?」
「それもいいけど、俺はそんなんじゃ気がすまねぇんだよ」
愁弥からルイに抱かれたと報告された時は、殴ってやるって感情のほうが強かったけど…
今は違う。
「愁弥をこの部屋で抱いたんだよな?」
「そうだと言ったら?」
「それを上書きしにきた」
ルイは何を言っているんだ?というような表情をした。
そして俺はルイにキスをして、気が緩んだ隙にルイに手錠をかけた。
「この部屋を愁弥を抱いた部屋じゃなくて俺に抱かれた部屋として上書きしてやるよ」
「望んでいませんが」
ルイは手錠をかけられた手で唇を拭った。
キスの上書きはまず完了。
「お前の意見なんか聞くか。俺はムカついてんだよ。お前の中で愁弥が思い出に残ってることが」
愁弥の中にはルイはいない。
でもこいつの中に愁弥がいることが許せない。
俺は独占欲が強いんでね。
「あなたが愁弥さんを縛り付けておかないからでしょう?隙を見せた愁弥さんの原因はあなたですよね?」
「まぁ図星だよな。だからこそ余計にムカつく」
「いいんですか?愁弥さん以外を抱くなんて。浮気ですよ?」
ルイは笑って見せた。
余裕だねぇ、俺が馬乗りになって手錠されてるっていうのに。
「勘違いすんなよ。ペットに躾をするのは浮気とは言わねぇよ」
「人をペット扱いするとは…もう御託はいいのでさっさと終わらせてくれますか?」
「余裕だなお前」
こういう奴を最終的に鳴かせるのがたまらないんだよな。
燃えてきた。
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