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第2-1章~一人ぼっちの協奏曲(後)~

「よう、来てやったぜ。」 ノックも無くいきなり開かれたドアと言葉にトウキは目を丸くして相手を見てしまう。 無精髭を生やし以前会った時と同じ姿でその男、カッセキは立っていた。その後にはドアを閉め静かにお辞儀をするロカイも居る。 「遅かったネ。」 連絡を受けてからの時間経過を計算してダツラは素直にそう言った。 「貴方が無意味に足取りを消すからですよ。」 元来『何でも屋』の仕事をしていればその怨恨上命を狙われる事も少なくない。だから依頼を受ける時以外は姿を暗まし足取りを分からなくするのが普通だ。 代理人を立てる何でも屋も多くは無いが存在する。 ただそれは一般的な話であってデリスやダツラ程の手練になればそのような細工をせずとも相手の方が敬遠したりするのだ。 それ以前に行動全てが悪目立ちする2人にとっては姿を暗ます事自体無理なのだが。 そういう意味で毒舌雑じりの返事を返したロカイが改めて声を掛けようとトウキの傍まで寄る。 けれども目に付いたトウキの姿に動きを止めてしまう。 ベッドの上のその姿は傷こそ大分治ったもののまだ彼方此方に包帯が残っておりその表情は陰を残している。 「・・・・」 「みぎゃっ!」 ロカイの無言の水平斬りをまともに受けて吹っ飛ばされたダツラは一回転した後壁に激突し目を回してしまう。 例えデリスが居なくとも何かと殴られる星の下に居るのだろうか。 尤もそれを一言で言い表せば『自業自得』にもなるが。 「矢張り貴方は存在ごと焼かれるべきです。」 「スイマセン。信じて貰えないでしょうが僕じゃ無いデス。」 息も絶え絶えにどうにか弁解するもロカイの視線は冷たい。 「ん、そういや帯刀ヤローはどうした?」 いつもならこの大騒ぎの真ん中にいそうなものだが。 「・・・・」 けれどもその言葉を聞いてトウキは表情を益々曇らせてしまう。 「あぁっと・・・、じゃあ僕達はちょっと外で話して来るからロカイはトウキ君の事よろしくね。」 「何だ、気持ち悪いヤツだな・・・。」 慌ててダツラがカッセキの背中を押す形で無理矢理連れ出す。 けれど一度半身だけ戻し「えっちな事しちゃダメだよ。」と余分な一言を付け加えたためロカイの水平斬りをもう一度受ける破目になったのだった。

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