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第2-2章 幼子の為のスケルツォ(中)

「いやあ、ゴメンね。」 平手打ちの後も散々殴られたにも関わらずダツラは悪怯れた様子も無く謝る。 少女の方はと言えば殴り疲れて息切れをしながらそれでもダツラを睨み付けている。この様子では体力が戻り次第再びダツラに殴り掛りそうだ。 「君が知り合いに凄くよく似てたから。」 翌々見れば目の前の少女は肩までの白い髪と赤いチェックのミニスカートと少しずつトウキと違う箇所がある。 「知り合いなら誰の胸でも触るのっ!?あなたはっ!」 当然の反応である。それにもし本人確認の為に胸を触る事が罷り通るなら世の中ダツラの様な人間だらけになるだろう。 「うーん、主に女性と別腹でトウキ君なら。ねぇ、その髪の毛って天然?」 素直に受け流したダツラはカッセキの「少しは否定しろよ。」と言うツッコミを無視して疑問をぶつける。 雪の様に真っ白い柔髪、在り得ない姿では無いが脱色や染めたのでは無い色合いがそこにはある。 「な・ん・で・そんな事あなたに教えなきゃいけないのよ!」 未だお冠が解けない少女がダツラに噛み付く。 「ん?だから君に良く似てるんだよ。髪の色も、ね。胸は無かったケド。」 のんびりと返すダツラの胸倉を少女が両手で掴む。 「さっきから・・・・・喧嘩を売るのがあなたの仕事!?誰の胸が無いっていうのよ!」 誰もそこまでは言っていないのだが先程から油を注がれっぱなしの怒りの火では判断も覚束無い。 「トウキ君て、知り合いにいない?」 「知・ら・ぬ!」 「何で武将口調なんだよ。」 見かねたカッセキがツッコミついでに止めに入ると少女の首に掛かっているペンダントが目に入る。 「んぉ?」 十字架のペンダントヘッドには中央部分に青い宝石が光を放っている。 「あなたも何見てるのよ!」 丁度胸元に位置しているためカッセキの視線は少女の更なる怒りを沸き立たせる。 「アイツもこんな様なのしてなかったか?」 デリスやダツラと違い幼い身体には少しばかり不釣合いだった硬質な飾りを思い出し滑石は少女の胸元に再び視線を送る。 「んー?ちょっと違うかな。トウキ君のは紅玉だったし。」 請け答えるじゃれる猫と遊ぶ様に少女の怒りを飄々と受け流している。 「それに十字架じゃなくて匣型だったしね。」 いい加減ダツラを突き飛ばして去ろうとしていた少女は何気無く落ちたその言葉を聞くとトウキと良く似た、それでいて少し猫っぽい目を大きく開いた。

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