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第2-4章~繋ぎ合わせたフリアント(前)~

朝の日差しを纏い穏やかな風が梢を揺らす。 「平気?」 身支度を整えてケープを羽織ったトウキにダツラが尋ねる。 「・・・・」 トウキは小さく頷く。その瞳には清んだ光が宿っている。 「でも病み上がりなんだから無理しちゃダメだよ」 このまま駆け出して行きそうなトウキにダツラが指で注意する。実際にまだトウキの身体には治療の痕が残っている。 傷はそれ程までに深いという事だ。 「あーもうっ。離れなさいよ!」 割って入ったビャクシャクがトウキの腕を引き摺るが、勢いが付いてしまったらしくそのまま一本背負いで沈めてしまう。 「私はアンタ何かこれっぽっちも信用してないんだからね!」 「僕が怖い?」 「そ・・・・そんな訳無いでしょ!アンタ何か・・・・アンタ何か・・唯の変態よ!!」 からかうダツラにビャクシャクが噛み付く。だが地面では先程からトウキが目を回したままだ。 「誰かアイツ起こしてやれ」 呆れたカッセキが溜息を付いた。 「そうだコイツを忘れてた」 ひと段落着いた処でカッセキが思い出した様に何かをトウキに投げて寄こす。 「・・・・!」 慌てて受け取ったトウキの手にはロッドが収まっていた。柄の先に占星術用の透かし彫り の天体盤が取り付けられている。 改めて持ち上げてみるとロッドはトウキの肩位まであり合金を使用している所為だろうか、繊細な見た目よりも重く感じられる。 「考えましたね。主人らしくない」 大よそ自分の主人に対する話し方とは思えない口ぶりでロカイが納得する。 殺傷能力は弱いがロッドのリーチが長い分攻撃範囲も広い。 攻撃よりも防御に重点を置いた戦い方向きのトウキには合っているのだろう。 「・・・成る程。魔法系キャラね」 その横で全く別の納得をしたダツラは一瞬でロカイの一撃を受けて地面に突っ伏す羽目になったが。 「・・・・・・・」 戸惑いながらもトウキはカッセキに深々とお辞儀をする。堕天使の姿で戦えない以上今の自分では素手では限界があるだろう。武器がある事は素直に有り難い。 「そう言えばビャクシャクちゃんは・・・」 「必要ないわよ」 ダツラの言葉を遮ってビャクシャクが握り拳を作る。 自身に満ちた表情と言い彼女が今までどんな生活を送って来たのか気になる所だ。 「じゃあ僕からはコレで」 漸くロカイの足元から開放されたダツラが恭しくトウキに差し出したのはウサギの形をしたリュックサックだった。 「・・・・」 トウキは驚きに眼を丸くする。ペオノールに置いて来たとばかり思っていたのに。 受け取り柔らかな毛並みが頬を擽るとトウキははにかんだ様な笑顔を溢す。 「そんなの貰って喜んでんじゃないわよ!」 ツッコミにビャクシャクが割って入る。そう言えばこういう物は本来女の子が持つものだ。ダツラの方を向き小さく首を傾げる。 「トウキ君の好きにして良いよ」 察したダツラが手をヒラヒラとさせるが小首を傾げた姿が余程愛らしかったのか、口元を押さえ今度は自ら蹲ってしまった。 アンドロイドだから鼻血は出ないと思うのだが。 「・・・・・」 了承を得たトウキが笑顔でビャクシャクにウサギを差し出す。 「なっ・・・・なな何よ!」 真っ赤になって固まるビャクシャクにウサギの毛が触れる。 「こっ・・・こんなの貰ってもちっとも嬉しくないんだから!!」 絶叫に近い弁明をしながらビャクシャクは腕の中のウサギを強く抱き締めていた。 「分かりやすいヤツ」 帰り支度を済ませ煙草を吹かせていたカッセキが一連のやりとりを見て呆れた様に呟いた。

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