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成徳視点 7 溺愛したくて、しょうがない
俺自身が一番驚いてるよ。
―― 佳祐と庭先でカレー食って、おにぎり握ってる方が断然、俺にとって癒しだよ。
そう言った自分に。でもそう、確かに、思ったんだ。
あんなに一人が一番楽で癒しだったのに。
佳祐といる時間が一番好きな時間なんだ。
「仕事が終わったから」
そして、まさか、恋愛なんて別に、ってタイプだった自分が。
「俺のこと、かまってやって」
「! はい!」
こんなことを言うなんて。
正月、元旦はどうにか我慢したけれど、やっぱり我慢しきれなくて、わざわざ顔見たさに会いに来るなんて。
俺自身が一番その変化に驚いたんだ。
自分は癒しになっている? と、訊いてくる佳祐に笑った。
会いたくて実家にまで行くほどなのにって。
大好きです、と言われて、知られたら気恥ずかしさに笑いそうになるくらい、嬉しくなってるのにって。
「ん、ぁむ、ンっ」
ホント。
「っ」
「ん、ぁ……ふっ」
なんなんだろう、この生き物は。
「佳、祐」
こういうのを、言うんだろうな。
「っ、佳祐っ」
小さな口でいっぱいに頬張って、綺麗だけど、ちゃんと男の手をしてる、その手で大事そうに俺のを握って。
「ン、ン……」
その仕草、吐息、柔らかい黒髪も、全部独り占めしたいと思うくらいに、さ。
「ン……ん」
「そんな一生懸命頬張って」
「ん」
「口、ちっさ」
「ん」
「なんだろうね、ほんと」
「?」
「なんでもない。ただ困っただけ」
こういうの、溺愛、って言うんだろうな。
「勝手に困ってるだけだから」
今、首を傾げて頭の中にクエスチョンマークをいくつか並べていそうな佳祐に苦笑いを溢す。
「なんでもないよ」
ただ、目の前にいる、本来なら恋愛対象じゃないはずの性別の相手のことを、今までの誰よりも可愛いと思っていて、今まで付き合ったどの女性よりも大事にしていて、溺愛していることに困ってるんだ。
いや、手に余る、かな。
可愛くて、仕方がない。
溺愛したくて、しょうがない。
そんな自分の気持ちに手を焼いてるところなんだ。
そんなことを思いながら、その愛しい頭を撫でて、髪を指ですいた。
「佳祐」
「あっ」
阿呆、みたいだろ?
待てもできないし、余裕なんてないし、一人でいたくないなんて、痛々しいだろ? 今までの自分がこんなに変わるとは思わなかったと戸惑ってるなんてさ。
自分の気持ちの糖度に笑える。
「ん、ふっ……んん」
深いキス。何度も首を傾げて、舌先を絡め合って。
「おいで、佳祐」
「あっ」
「顎、疲れたでしょ? それに我慢できそうにないから」
引き寄せると、ポッと頬を染めるのがたまらなかった。
「ぁ……僕、も」
このくらいのことで照れるくらい、不慣れなことなのに。それでも素直に欲しがるところが可愛いくて。触れただけで、真っ赤になるなんて、たまらない。
「? 佳祐さ」
「ン、ぁ……」
「ここ」
撫でると、きゅっと口を窄めてしまう。
「自分でしなかった? ここ」
「! ひゃ……あ」
ずっとすれ違っていたから、もう、何週間もしてなかった。
「だ、って……」
その何週間もしなかったそこはまるで初めての時みたいに。
「指、貴方のじゃないので」
「……」
「欲しいの、成徳さんの、なので」
「……」
あぁ、もう、なんだよ。
「自分だと、気持ち良くないんです」
その手は華奢でも女性のそれとは違う。仕事もしっかりやって、一人前で、優秀で、有能な指先。それが一生懸命に俺にしがみつくんだ。血色のいい頬を真っ赤にしながら、いつもは綺麗な声で淡々と仕事を進めていくことのできる、上品は唇をきゅっと噛み締めて。
「だから、その」
俺を欲しがる。
「じゃあ、今度、教えてあげようか」
「え?」
「ここの、しかた」
「ぁ……」
わずかに、その初めてに戻った孔を指で撫でてから、中の一番浅いところを弄ると、途端に、きゅっと口を閉じて、指にしがみつこうとする。
「は、ぃ……お願いします」
優秀で有能なくせに、誰よリも高潔で潔白な白い胡蝶蘭のように上品なのに。
快感には素直で、真っ直ぐ。
「やっぱ、教えない」
「ぇ? なん、」
「いいよ」
可愛がりたくてたまらない。
「ぇ?」
「自分でなんてしなくて。いくらでも俺がしてあげるから」
溺愛、したくてしようがない。
「でも」
「手伝って」
「ぇ?」
「膝立ち」
はい、と素直に頷く佳祐を俺の足と足の間に、その真っ白な足と足がくるように、交互に互いの足を挟むようにしながら膝立ちにさせる。
「んで、そのまま自分で、少し持ってて」
「えっ?」
真っ赤になった。
「あっ」
「そのままな」
「ン」
佳祐の手に手を重ねて、背後に持っていき、そこで柔らかい尻を佳祐の手ごと鷲掴みにする。ほぐしてと、まるでねだるように広げさせた、可愛い孔を指で撫でてから。
「ひゃぅっ」
無防備になった胸にキスをした。
「あぁっ、ん、ン」
服越しに、敏感なそこを喰んで、指で中を弄って。
「ああ、あ、あぁっ、あ、ひゃんんんっ、ン、あ、あ、あぁ」
「自分で」
「?」
「自分で満足する方法なんて覚えなくていいよ」
「ぁっ」
「俺がする」
「あっ……ン」
拙い腰振りに、頭の芯が焼け焦げそうなくらいに興奮する。
久しぶりにこうして繋がって、ベッドを軋ませて。
「あぁ、成徳、さんっ」
その声で、唇で、俺の名前を呼ばれるだけで、満たされるくらいに簡単な奴だったんだ。
「あ、んんンンンンンっ」
俺が可愛がりたくて仕方がないのと同じくらいに。
「あ、お、きい……」
俺が溺愛したくてしょうがないのと同じくらいに。
「あ、中、熱い」
佳祐も俺のことを欲しがるようになったらいいよ。
ホント。
マジで。
「あぁ、ホント、かっこつかな、」
「嬉しいです」
知らないんだろうな。佳祐からキスされただけで、嬉しくて、阿呆丸出しでデレたくてたまらないんだ。
「成徳さんに気持ち良くなってもらえて、嬉しい」
「……」
「よかった」
佳祐が俺をかっこいいと言うから、頑張ってはいるけれど、もう、手放しで阿呆な男になってやろうかって思うよ。
「ほんと……なんだろうね」
「?」
「好きで、たまらないんだけど?」
「あっ」
「どうすんの?」
嬉しいですと手を伸ばすその腕に捕まってやると、嬉しそうに中も俺にしがみつく。
それに大喜びなんだ。
呆れるくらい。
「あ、あっ、乳首摘んじゃダメ」
阿呆だ。
「ん、ふっ……あ、あ、あ、ひゃ、あっ」
たった一人の相手のためならなんでもできそうな恋に溺れる。
「佳祐」
阿呆男、なんだ。
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