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セクシーメリークリスマス編 5 セクシーナイトクリスマス?
これなら、成徳さんをメロメロに。
――なんていやらしい下着なんだ、ハニー。
できる気がするんです。
――ムラムラが止まらないじゃないか、ハニー。
セクシークリスマスナイトに。
――ハニー。
「…………ひ、ひぇ……」
これ、思った以上に、その、なんというか。
「ぐぅ……」
布の面積、というか、もう布なんて、ほとんどなくて、ほとんどレースで、フリルで。
「ひょぉ……」
よく、しっかり前も後ろも横……横はあんまり、ただフリル付きの紐だから、観察したところで特に何もないのだけれど、前の部分、こんなに面積小さいだなんて。出ちゃう。はみ出てしまう。レース部分が少しくすぐったいし。
色、もう少しなんというか、どうなのだろう。チャコールグレーで、大丈夫だったのかな。かといって淡いピンクなんて似合うわけないし。黒は大人っぽくなりすぎて、それはそれで似合わないだろうし。いえ、僕もちゃんと成人しているので、本来であれは大人っぽくて構わないのですけれど。
大人なので。
そして何より、この後ろの……笑われないかな。
Tバック、なんて。
こ、こんな感じだったなんて。
お尻、まるで何も履いてないみたいだし、でも、お尻のお肉の間に、なんというか、食い込んでる感じがして、そわそわしてしまう。
お、落ち着かない。
ど、どうしよう。
これでパジャマ着て?
成徳さんを華麗に誘惑?
歩くのすらぎこちなくなりそう、です。
だってだって、なんだか。
「ひょぇ……ぇ……」
脱衣所の鏡に映る自分の姿におかしな声が溢れてしまった。
一緒にクリスマスディナーを食べて、この間教えていただいた椎茸のソテーを「まぁ、まぁまぁ」と「まぁ」ばかり連呼しつつも、全部、ペロリと食べてくださって。
美味しいワインをいただいて。
成徳さんが買ってきてくれたケーキがとても、本当にほっぺたが落ちそうなほど美味しくて。
プレゼント交換に二人微笑んで。
僕から差し上げたタイピン、明日してくれるって言ってもらえた。
成徳さんからいただいたネクタイ、僕のチャコールグレーのスーツにとても合いそうなので、明日、していこうと思います。成徳さんのチャコールグレーのコートが素敵だったので、なんというか、僕もそんな素敵になりたいと最近買ったお気に入りのスーツ。
って、あああああ、チャコールグレーえええええ。
チャコールグレー繋がりで、今、現実に引き戻されてしまった。
着てから言えばよかったです。
なぜ、僕は、セクシーランジェリーを試着しなかったのでしょう。
成徳さんがいるので試着する時間なかったので、できなかったわけですが。
パッと、シュシュっと、サササッと、一度、確かめるべきでした。失念してました。
このセクシーランジェリーを僕が身につけて似合うか似合わないかという、この重大なことに。これによって、セクシーナイトクリスマスになるか、似合ってないランジェリーに失笑クリスマスナイトになるかということに。
――僕からはもう一つ、プレゼントがあるんです。
なんて言わなければよかった。
待っててくださいね、なんて言って、お風呂にいかなければよかった。二人で過ごす初めてのちゃんとしたクリスマスナイトなのに。
失笑で終わってしまう。
セクシーどころか笑いで、セクシーが吹き飛んでしまう。
宝石のようなランジェリーで気分は最高。パートナーも貴方のことを宝石のごとく大事にしてくれることでしょう。ときめきに彩られた素敵な夜にぴったりの特別ランジェリー。ヒップのラインをフリルのTバックで美しく魅せます。
って、言われているけれど。
宝石からは程遠いのでは。
ときめきに彩られるどころか。
「っ」
それに、これを身につけて、パジャマを着るというのはコーディネート的にどうなのでしょう?
合ってます?
セクシーランジェリーの上が普段着ているパジャマってどうなんです?
変、なんじゃ――。
「おーい、佳祐? 大丈夫か?」
「ひゃ、え! は、はひっ! 今、はい、あの、出、出、出、出ま、し」
「開けるぞー」
「たああああああ!」
大慌てで、パジャマの上をとりあえず着て、ズボンを。
「風呂場から出てきたっぽいのに、なかなか、出てこないから……」
もちろん、ランジェリーを脱ぐ間なんてなくて。
「どうしたのかと……」
僕は上もただ袖を通しただけ。今日に限って、ボタンになっているパジャマにしてしまいました。頭からズボッと着られるタイプにしておけばよかったです。
「思った……けど」
下、パジャマの下においては、もう間に合うはずもなく、とにかく鷲掴みにしたパジャマのズボンでセクシーランジェリーを隠すので精一杯で。
「何……」
「っ」
似合わないセクシーランジェリーだけでも、失笑なのに。
こんな、パジャマぐちゃぐちゃにして半裸姿は、失笑、どころか大笑いされてしまう格好で。
あぁ、僕ってば、もう、本当に。
「それ」
「っ」
ぎゅっと僕はパジャマを握り締めた。
「俺にくれる、もう一個のプレゼント?」
「っ、こ、これはっ」
「フリル、見えてる」
「!」
声にならないくらいに恥ずかしくて、前をどうにか隠しているパジャマの端で大慌てになりながら、そこを隠そうと――。
「はぎゃ、わ」
隠そうと思ったけれど。
「あっ、ひょへっ」
ぐいっと腕を引っ張られて
「あひいいいいい!」
前屈みになっていた僕はバランスを崩して。
「っぷ」
「!」
「すげ、何これ」
肌蹴たパジャマと、セクシーになるはずが、僕には似合ってなかったランジェリーという、なんともおかしな格好で成徳さんの腕に飛び込んでしまった。
「ご、ごめっ」
ごめんなさい。せっかく素敵なプレゼントと素敵なケーキを買っていただいたのに。
「最高のプレゼント」
「!」
台無しになっちゃいましたって謝ろうとした、その口に。
「っ……」
キスをしてもらった。
ごめんなさい、が、キスで食べられて。
「あっ……ふ……」
抱き締めてくれた成徳さんの腕の強さに、クラクラしながら寄りかかると。
「あっ……っ」
成徳さんの硬いのが僕の下腹部に当たった。
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