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第6話 コウイチの匂い

「私をアナタの番にして下さい」 <もう、この人の前で、私は欲望を我慢しない>  コウイチの耳を甘噛みし、ルイがネダると… 「お前を初めて抱いた時から、私の番で妻だと何度言えば覚えるんだ?」  嬉しそうにルイの首筋を強めに噛みながら、コウイチは喉の奥で笑った。 「ああ… そうか! そうですね、確かに何度もアナタに言われたのに… すみません、何かいつも聞き流していたから」 <いくら望んでも現実には叶わないコトだと… だからコウイチさんにそう言われても、甘い戯言のようにしか聞こえなかった…> 「この悪魔め! 私の心をまた切り裂いたな?!」  ジロリとコウイチに睨まれ…    ルイはさすがに気マズくて顔を伏せた。 「本当にすみません! お詫びに今夜は、タップリ甘やかしてあげるから、許して下さい!」  逞しい胸に両手を置くと、グッ… と腕に力を入れて、コウイチをベッドに押し倒し…  コウイチの唇を奪い、チュク… チュク…チュッ… チュチュ… クチュウ… と、いつもよりも激しく情熱的に吸って許しを求めた。 <見方を変えると、自分でもゾッ… とするほどコウイチさんを傷つけていたのがわかる! 何年も、こんなに愛する人を傷つけていたなんて、本当に自分の浅はかさが怖い!!>  ほんの数時間前まで、ルイは本気でソレがコウイチのためだと信じていた。  今はそんな自分が信じられない。 <コウイチさんの器の大きさと、愛情の深さに胸が熱くなる>  キスで濡れたコウイチの唇を解放すると、ルイはシャツのボタンを外し、現れた乳首をヂュチュッ… とヂュチュッ… と吸い、キュッ… と白い歯で甘噛みする。 「う… んんっ!」 「・・・・・・」  コウイチがうめき声を上げると、ルイが好きなコウイチの匂いが、濃くなった気がした。 <コレはコウイチさんのフェロモン? 私にはほとんど感じ取れないけれど、でもコレがそうなのかも知れない>  スゥ―――ッ… と深く息を吸い、ルイは胸いっぱいに、コウイチの匂いを取り込んだ。

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