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第8話
「両親は、最初困惑していた。完全なゲイならともかく、僕は女性と付き合えないわけではないから。そこへ助け船を出してくれたのが、治美だった。彼女は、自分が婿を取って家を継ぐと宣言したんだ。そして、結婚相手とその家族を説得してくれた」
真島は、絶句した。
(全然知らなかった……)
如月が、そこまで考えていてくれたこと。治美が、協力してくれていたこと……。
「散々叱ってしまったが、もしかしたら治美がいきなり来たのは、僕の恋人に会ってみたかったのかもしれないね」
クスリと笑うと、如月は席を立った。
「こっちへ来てくれる?」
誘われるがまま、寝室へと向かう。座っていろと如月が言うので、真島はひとまずベッドに腰を下ろした。如月は、クローゼットを開けて、何やら取り出している。こちらを向き直った彼を見て、真島は息を呑んだ。
「これ……」
「本当は、今度の君の誕生日に、と思っていたんだけれど。急な台風の襲来で、前倒すことに決めたよ」
如月は真島の隣に腰かけると、小箱を差し出した。
「受け取ってくれる?」
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