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第10話

 知らず、にやけてしまう。如月は、そんな真島の微妙な表情の変化を、敏感に察知したようだった。 「ちなみに指輪の件は、社長と三枝君には内緒だよ?」 「ええ!?」  驚きと落胆から、真島はつい大声を上げてしまった。如月が、ため息をつく。 「やっぱり、自慢しようとしていたね?」 「はあ、まあ……。でも、どうしてダメなんです?」 「どうしてって。そんな話を聞いたら、三枝君はきっと羨ましがるだろう。彼のことだ、少しでも不満があれば、表面に出るはず。そして社長が、それに気付かないはずが無い。三枝君が何に悩んでいるのか、ありとあらゆる手段を用いて白状させることだろう。そうしたら、どうなる? 愛しい愛しい三枝君を満足させようと、とんでもないビッグな贈り物を計画するのは目に見えている。島の一つも買い与える、なんて言い出すかもしれないよ。そうしたら、仕事が増えるのは、一体誰だと?」

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