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言いたかったんだもん(『台風襲来』後日談)

一週間後<@蓮見宅> 蓮見「なるほど。つまり真島君が持っていたその指輪が、羨ましかったと」 翔馬「はい……。あっ、もちろんこのペアウォッチも、すごく気に入ってるんですよ? でも、やっぱり指輪って特別な気がして……(しゅん)」 蓮見「(かわいそうにっ……。はっ、そうだ)翔馬、そろそろ誕生日が近かったな。三十という節目の年齢でもあるし、ここは一つ、いつもとは趣向が違うプレゼントをあげよう」 翔馬「何ですか??」 蓮見「沖縄に、素敵な無人島があるんだ。それを」 翔馬「えーっ!? 冗談ですよね?」 蓮見「本気だ。前から別荘が欲しいなと思っていたし、いい機会だ。クルージングも楽しめるよ。どうだ?」 翔馬「そりゃあ、憧れますけど。でも、一体いくらすると思ってるんです? それにそういうとこって、ライフラインが通ってないですよね。その準備とか大変じゃないですか」 蓮見「翔馬のためなら、それくらい安いものだ。それに、手配なら適任者がいるから、気にしなくていい」 翔馬「悠人さん……(キュン)」 蓮見(如月君にさせよう。そもそもの発端は、あのカップルなんだから) さらに数日後<@如月宅> 如月「蒼君」 真島「……はい」 如月「あれほど言ったのに、三枝君に指輪を自慢したね?」 真島「してませんて! 俺は、ただ『偶然』、三枝の前で指輪を落としちゃっただけなんです。で、『あっ、大切な贈り物が~』とは言いましたが、修一さんからだとは言ってませ……」 如月「蒼君!!」 真島「すみませんでしたあ!!」 如月「幸福は他人と比べるものではないと、よくよく言い聞かせたつもりなんだけどねえ。君には、ちっともしみ通っていなかったみたいだな」 真島(やばい。この目つき、マジギレ中だ) 如月「(にこにこ)でもその点は、僕に責任があるよね。僕の愛の伝え方が、不足していたということなんだから(にこにこ)」 真島「いえ、全くそんなことは(逃げなきゃ)……」 如月「ということで、蒼君に伝わるまで、愛情を示すとしよう」 真島(ぎゃーっ)  結局その後、考えを変えた蓮見は、翔馬に指輪を贈った。翔馬は大感激し、無人島の管理を免れた如月はひと安心した。真島一人が、一週間腰痛に苦しむことになったが、もちろんこれは自業自得である。

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