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第12話
「それに。僕自身も、そんなことで傷つくほどやわじゃない。蒼君に別れを切り出されたことの方が、よほどショックだった」
真島の顔に、ようやく笑みが広がった。
「じゃあ俺……、安心して受けていいんですね? 同棲の誘い」
「もちろん」
如月は、即答していた。
「明日にでも、来てもらっていいよ?」
「よっしゃあ!」
パッと顔を輝かせると、真島は勢い良く立ち上がった。そこで三枝の方を見た彼は、ハッとした顔をした。
「うっ……。さっきは、本当に悪かった! 大丈夫か、ほっぺた?」
「いやいや、大したこと無いから」
三枝が、おっとりとかぶりを振る。
「仲直りできて、よかったよ。真島も、あの話早くすればよかったじゃん」
そういえば、と如月は思い出した。
「三枝君、さっき何か言いかけてましたよね。例の、彼のお友達の会社の話?」
そうそう、と三枝は頷いた。
「途中で真島が乱入してくるから、言いそびれてハラハラしてたけど。真島が自分で言ってくれてよかった」
さっさとその話をしていれば、三枝も殴られずに済んだのではないか。密かにそう思った如月であった。
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