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おまけのSS④

 同棲している如月と真島の話第二弾。真島の誕生日が近付いて来て……。 如月「蒼君のお誕生日祝いは、焼き肉食べ放題にしようか」 真島「おーっ。めっちゃ好物ですけど。でも、いいんですか?」 如月「もちろん。若いんだから、それくらい食べたいでしょ?」 真島「若いって、二歳しか違わないでしょ(笑)」 如月「どっちにしても、いつも僕に合わせて、シンプルな和食にしてもらうことが多いからね。普段から、食べに行く機会を増やしてもいいくらいなんだけど」 真島「いえいえ、健康的でいいなって思ってますよ(マジなんだけど。食生活を変えたら、体脂肪減ったもんな~)」 如月「でも、当日は週の半ばだから、行くのは週末にしようか。ニンニクの匂いが残ったら、仕事に差し支えるでしょ?」 真島「あ、確かに」 如月「だから当日は、スイーツバイキングにしようかと思って」 真島「おお~、楽しみ! (その後減量しなくっちゃな)」 如月「あ、ちなみにお誕生日前日だけど、社長と出かけるから、帰りは遅くなるよ」 真島「了解です。お疲れ様です」 如月「まあ、プライベートだけどね。いつもの定期(苦笑)」 真島「あ~。(蓮見さんに、三枝ののろけを聞かされるんだよな~。いつも思ってるんだけど、修一さんの方は俺の話とかしないのかな? まあタイプ的にしないか。秘密主義だもんなあ)」 如月「どうかした?」 真島「……いえ。(性格だってわかってるけど、ちょっと寂しいかな……)」 如月(……)    誕生日当日。社内にて。 蓮見「おお、真島君。今日は誕生日だったか。おめでとう」 真島「覚えていてくださったんですね! ありがとうございます」 蓮見「いやいや。昨夜、君も一緒にバーへ連れて行ってあげたかったよ。美味い酒がそろっているんだ」 真島「とんでもない。お気持ちだけで十分です。(本気で。だって、クソ緊張するじゃんか)」 蓮見「そう? 実は、真島君も連れて来たらって、これまでも何度か如月君に言ったんだけど」 真島「――そうだったんですか!? (初耳なんだけど)」 蓮見「うん。でも、如月君はいつもこう言うんだよねえ。『私の恋人は、お酒が入ると壮絶に可愛らしくなるので。たとえ社長でも、お見せしたくないんです』ってね」 真島「……! (嘘、俺の知らないとこで、そんなこと言ってたんだ。めっちゃのろけてんじゃん……!)」 蓮見「というわけで、これはと思う銘柄の酒を、如月君に言付けておいたから。ささやかだが、プレゼントだ」 真島「あ、ありがとうございます!!」  どんな高級酒よりも、如月のその台詞が、何よりの誕生日プレゼントだと思った真島であった。なお真島の思いを悟っていた如月は、蓮見にこの小芝居をさせるために、昨夜の飲み代を全額奢ったのであった。   了

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