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第1話-3

街のカフェからバスに乗り40分ほど経った時、ウェインは目が覚めた。 なぜかバスに乗った途端眠くなったのだ。バスには彼とチャーリー以外誰も乗っていない。 「さ、降りましょう」 チャーリーはウェインの袖を引っ張り、半ば強引にバスから降ろした。そんな引っ張らなくても降りるのに、とウェインは少しムッとなった。 降りた先はどこか不思議な場所だった。市街地のどこかだが、こんな所があったのかとウェインは周りを見回した。 「ウェインさん、こっちです。迷わずついてきて」 「迷うかよ……」 チャーリーは立ち並ぶ住宅の一つに迷う事なく入っていったので、ウェインもそれに続く。 「なぁ、あんたさっき病院って」 そういいかけて、やめた。 おれは一軒家に入ったはずだよな?ウェインは混乱した。木造の一軒家に入ったはずが、その先はガラス張りの病院然とした内装が広がっていたからだ。 「は……」 「ウェインさん、こっちにきて問診票書いてください」 彼はもう訳がわからなくなり、なんだよここは!と声を荒げる。チャーリーは驚いたような表情になり、落ち着いて、大丈夫ですよ、と言いながら彼に近づいたがそれすら更に混乱させる要因になった。 「おまえ……なんだよ、ここは!なんなんだよ、なんだよ……!」 「ウェインさん、後で説明しますんで、落ち着いて。何も怖くありませんよ。平気です」 「そもそもお前も……気味が悪い……!帰らせてもらう!」 「待って、帰らないで。あなたは今危ないんですよ!取り除かないと……」 「うるせぇ!クソ……触るんじゃねぇ!ぶっころす」 ぞ。 言い終わる寸前でウェインの体は宙に浮き、床に背中から叩きつけられた。何が起こったのか。背中に強烈な痛みを感じつつ、彼は理解できなかった。 慌てて起き上がってもといた位置を見ると、いつのまにか知らない男が佇んでいた。背はそれほど高くないが、どこか目を引くオーラがある。サングラスをかけており目元は見えないが、それがなくても分かるほどウェインを睨みつけていた。

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