11 / 66

第2話-4

さっきの医師の話によるとチャーリーは治療を受けていたというが、治療の後だからこれほど顔色が悪いのだろうか。 ウェインはだんだん申し訳なくなってきた。元はと言えば彼を庇ったことで病院にまで来る羽目になったのだ。好意でここまで連れてきてもらったにも関わらず状況を一切鑑みず怯え、年下の男を侮辱するような事をのたまい、冷静になった今もその無礼を詫びないときている。 こんな情けないことがあるか? 「チャーリー、その、言いたいことが」 「もう帰るぞ。そいつは大丈夫なんだろ?」 いざウェインが謝罪しようとすると、マシューが遮ってきた。薄々気づいてはいたが、彼はウェインの事が相当気に入らないらしい。 チャーリーは「マシュー、いじわるしないで」と彼を諌め「どうしましたか?」とウェインに聞き返した。 だが会話のテンポを崩され、どう謝れば良いか分からなくなってしまったウェインは「いや……、良かったら、連絡先を教えてくれないか?アレのことや、魔法のことをもっと聞きたい」と心にもないことを聞いてしまった。 「むりです」と二つ返事で断られるかと思ったが、チャーリーは思いのほか嬉しかったらしく「ええ、良いんですか?もちろんですよ!」と分かりやすく目が輝いた。……その隣でマシューは人を殺めてしまいそうな目でウェインを睨みつけていた。 チャーリーと連絡先を交換した後、バス停まで案内してもらい「じゃ、後で連絡しますね!」とチャーリーはスキップしそうな勢いで病院へ戻って行った。マシューもその後に続こうとしたが、思い返してウェインを振り返った。そして彼の胸ぐらを掴み、自らに引き寄せ耳元で言った。 「あの子の事を気味が悪いだの、ぶっころすだの、傷つけるような言葉をぶつけた事、おれは覚えてるからな」 それからウェインを軽く突き飛ばし、ようやくチャーリーを追いかけた。 牽制を食らったんだろうが、見目が良すぎる事と恐ろしく良い香りがしたことでウェインの脳は少しだけ混乱したが、最終的に彼に対しての嫌悪感が勝った。なぜチャーリー本人では無くその腰巾着のような野郎にそんな事を言われなければならないんだ。 ウェインはムカムカしながらバスを待った。

ともだちにシェアしよう!