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第4話-3

近くのカフェに着き、4人で向かい合って座り、少し落ち着いてからニコルは2日前の出来事を話し始めた。 「確か、学校が終わった後、家に帰る途中でその……アレと出会ったの」 「黒い影?」 「ええ、そうよ。意識を失って、気づいたら路地裏で倒れてたわ。物も取られてないし、体に変化もないからただの貧血か立ちくらみかと思ったんだけど……」 「……」 「家に帰ってから、その、分からなくなって」 「分からない……?」 「頭を掻き回されてるような、そんな感覚がずっと……頭痛とは違うような」 「スプーンか何かでかき混ぜられてる感じですか?」 「ええ、感覚的には近いかも」 最初からほぼ最後まで、聞き上手なチャーリーが優しく相手の話を聞く形となった。彼女は初めは警戒していたが、最後の方はチャーリーの柔らかい雰囲気に心を許しているようだった。 チャーリーが詳しく話を聞いている間、マシューは彼女のため昨日の病院にアポを取ったり、他の仕事でやる事があるらしく途中から席を外し外に出て行った。 ウェインも彼女の話を真剣には聞いていたが、彼女に聞けるような質問も無かったためコーヒーを頻繁に飲んだ。 あらかた話が済んだ後、チャーリーは彼女をあの病院へ送っていくというのでそこでひとまず解散となったが、……なぜかウェインは、マシューと2人残されてしまった。 「あの……」 ウェインがマシューに話しかけると、彼は氷のような冷たい視線で応えた。チャーリーとニコルを見送ったバス停の前で、ウェインはどうしたらいいか分からないでいた。 すると、マシューはウェインと目線を合わせたまま、綺麗な発音で言った。 「これは警告だ」 「警告?」 「生半可な気持ちでチャーリーと仲良くするな」

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