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第5話-1

「よぉ、チャー坊」 チャーリーが病院の待合室でニコルを待っていると、色黒の小柄なカウンセラー、リダクナが話しかけてきた。彼を見上げると、チャーリーの顔がパッと明るくなった。 「リダクナさん!昨日ぶりですね!」 「おーおー、どうよあの唐変木は」 「マシューならいつも通りで……昨日ちょっと機嫌悪かったかな」 「ほー、なに、喧嘩?」 「昨日俺が連れてきた男の人覚えてますか?」 「ああ、あのキレてた子?」 リダクナは笑って、あの後大丈夫だった?と尋ねた。チャーリーも笑って戸惑ってましたが大丈夫でしたよ、と返した。 そこからリダクナはチャーリーの隣に腰をおろし「アレに関してなんだけど、」と真剣に話を切り出した。 「どうも特定の地域で被害が出ているみたいだな」 「被害者は皆、ここへ?」 「……言いたくないんだが、手遅れの被害者もいる」 「……」 チャーリーはしばらく項垂れてから、どう手遅れなんですか?と聞いた。 「脳が食われてる」 「脳が……」 「アレに遭った後、呑気にコーヒー飲んでたんだろ?君も危なかったんだぞ」 「脳が食われてるって、頭蓋骨は」 「それが不気味なんだよ。頭蓋骨ではなく、脳みそだけぽっかり無くなってるんだ」 チャーリーは想像して気持ち悪くなった。

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