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第5話-4
「後で家の場所送ってくれるって。お泊まりセット持って行ってきな」
「リダクナさんの家に泊まりに行くような荷物でいいの?」
「ぬいぐるみはやめときなよ、引かれるかもしれないからね」
「はぁい」
チャーリーが上機嫌なのは目に見えてわかった。日頃は大人びているが、こう言う時はまるで子供だ。
判断が甘くなる。
「あっ、ニコルさんは?まだ診察が終わらないんですか?」
「うん、ちょっと手こずってるみたい。君の時もそうだったでしょ?」
「うーん、ちょっとだけ怖かったな。ニコルさん、平気だと良いんだけど」
チャーリーは左右の指を絡ませ、リラックした姿勢をとると軽く微笑んだ。
そうだな、とリダクナも笑った。
「まあマシューの職場に依頼も出したし、原因もすぐに分かるだろ」
「そうだと良いですね。これ以上被害を出さないためにも」
そこで、診察を終えたニコルが待合室に帰ってきた。チャーリーは笑顔で手を振ってニコルを誘導した。ニコルも笑顔で彼の方へ歩いた。それと入れ違うようにリダクナが「じゃ、気をつけてな」とチャーリーからそそくさと離れ診察室に消えた。
「こんなところまで来てもらってごめんなさい。帰りも近くまで送りますので」
「平気よ。ありがとう。……ねぇ、もし良かったらなにかお礼をさせてほしいんだけど」
彼女の提案をチャーリーは一瞬考えたが、以前女性に似たような事を言われ「じゃあ」と何も考えずのこのこついて行きお茶をしていると、そこをマシューに発見され面倒なことになったんだった。
それに、これから友達と会うのだ!チャーリーからするとそちらの方が楽しみだった。
「ええと……大丈夫、です、それは。疲れたでしょう!ささ、帰りましょ!」
チャーリーはぱっと立ち上がって出入口の方へ急いだ。ニコルもそれに続く。
バス停の近くで、ニコルはねぇ、待って!とチャーリーの上着を引っ張った。
「良かったら連絡先交換しない?あんな事があったから怖くて……」
チャーリーは二つ返事で良いですよ、と連絡先を交換した。彼は今日はなんて良い日なんだろう、と幸せな気持ちになった。
友達がまた1人増えた!
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