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第5話-6

「すまない……でも、これから仲良くなることはできるんじゃ無いか」 「……そうですね。じゃあ、よろしくお願いします」 ウェインが苦し紛れに言うと、チャーリーは悲しそうに握手を求めてきた。ウェインは意味がわからなかったが、これ以上この大型犬のような男を悲しませると良心の呵責に堪えないため握手をした。年下だしね。野郎なんざどうでもいいウェインだって、高校生を泣かせたくはない。 「今日はソファで寝てくれ。掛け布団は貸すから」 「はい、ありがとうございます」 チャーリーは大荷物を床に置き、改めて部屋を見回した。物置のような狭い部屋。よく泊めてくれたものだ。ソファの前におそらく食事用の簡易テーブル、ノートを二冊広げたら何も置けなくなりそうな勉強用デスク、ぐちゃぐちゃの布団が置かれたベッド。余裕がないのか至る所に洗濯物が散乱しているし、書棚が無いためテキストも床に積み上がっている。2人立ったら肘が常にぶつかりそうなキッチン、何を入れるのか分からない小さな冷蔵庫。インスタントが多いのだろうか。ただ、ゴミはしっかり出しているらしく案外汚らしくはない。 巷の学生の生活はこんな感じなのだろうか。チャーリーがマシューの家に引き取られた頃、彼の学生寮にお手伝いさんとして一緒に暮らしたことがあるが、それと比べると天と地の差がある。 ただ、チャーリーは少し羨ましくなった。 「なんだよ、そんな珍しいか?」 「いえ、面白くて」 「ああそ。まぁ座れよ。お菓子でも食べようぜ」 ウェインは嫌な顔ひとつせず、淡々とそこら辺にあったスナック菓子を出しインスタントコーヒーを淹れた。 チャーリーは居心地が悪そうに硬いソファーに腰掛けた。 「ありがとうございます」 「いや……良いよ」 ウェインはチャーリーの正面にスツールを持ってきて座った。 2人は黙ってコーヒーを飲み、湿気りかけているスナックをつまんだ。 沈黙に耐えられなくなり、ウェインはチャーリーに尋ねた。 「ニコルは大丈夫そうだったか?」 「?ええ、さっき言った通り……」 ウェインは言ってから、ここに来る途中も同じ質問をした事を思い出した。ニコルは治療を終え、無事家まで帰ったのだ。だんだんうまくいかなくなってきたぞ。

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