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第7話-2 *流血表現あり

「ぐっ………ううう……!!!」 たらたらと血が少量アレに流れ出た。チャーリーは痛みで気が飛びそうになったが何とか耐え、刃物を貫通したアレをどうするか考えた。 「チャーリー!どうなった……」 「ウェインさん、刃物を押さえておいてください……!」 「えっ!?救急車呼ばないと……」 「早く押さえてくれ……!!」 ウェインは恐れ慄きながらチャーリーの左手に突き刺さった刃物を握りしめた。少しでも動かしたら……と考えると冷や汗が出た。チャーリーの方を見ると、痛みに耐えるためか下唇を噛み切ってしまいそうなほど強く噛み、眉間に深く皺を寄せてアレを凝視していた。 チャーリーは震える右手で、アレをぐっと掴んだ。スライムのような感触。少し力を込めるとぬるん、ナイフから軽々引き抜けた。抜く瞬間、アレは耳障りな叫び声を上げた。アレの感覚より刃物の痛みより、チャーリーはその叫喚が何より不快だった。アレはまだ抵抗しそうだったので、彼はアレを床に押し付け、捻った。 「っ……縫合!」 金切り声。叫び続けるアレをチャーリー持ち上げ、 「……蒐集」 そう唱えると、アレが宙に浮き透明な箱のようなものに包まれた。叫び声も、箱に密閉されたのか聞こえなくなってしまった。ウェインはその光景を見ても何が何やら理解できなかった。 箱に包まれたアレは、宙に浮いたままだ。 「はーーーーー……終わりました。クソ……」 ウェインははっとしてチャーリーを見ると、顔面蒼白に拍車がかかっていた。 「きゅ、救急車、」 「ああ、平気ですよ……」 平気なものか、刃物が貫通しているんだぞ!ウェインがそう怒鳴ったが、チャーリーはまるで話を聞いていない。 「ウェインさん……タオルはありますか、出来れば2枚ほど」 「はぁ?」 「し、止血、止血したくて……」 チャーリーは目を合わせようとせず、死にかけた顔色のままヘラヘラとしている。その態度を見たウェインは唖然とした。そしてため息をついた。救急車は勝手に呼ぶか無理矢理病院には連れて行くとして、確かにタオルは必要だ。 言われた通り、数少ないフェイスタオルを2枚チャーリーに差し出す。ありがとうございます、と彼は滝のような汗をかきながら微笑み、今度はしっかり視線があった。 「止血するぞ……ええと、こういう時って腕を上に上げて救急車が来るまで……」 「俺、自分でできますよ。けど、あまり見ないでください……」 ウェインはてっきり、1枚は腕をキツく縛る用、もう1枚を血を拭う用かと考えていた。 チャーリーは1枚を樽のように丸めて口に入れ(この時点で止めるべきだった)、もう1枚を何故か床に置いた。

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