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第7話-5

「お前が心配だよ」 「マシューが気を負うことは無いんです。ねぇ、俺、役に立ちましたか?」 チャーリーは少し屈んでマシューと目線の高さを合わせた。マシューは深い緑色の瞳がキラキラと輝いているのを確認すると、ああ、と仕方なく返事をした。それから褒美だといわんばかりに両手でチャーリーの頬と耳たぶに触れ、少しだけ揉み込んだ。彼は目を細めて心地よさそうにした。 マシューはキスでもしてやろうかと思ったが、チャーリーが人の目を過剰に気にする性格だとよく知っていた。今日は控えることにした。 「ところで、なぜあいつ……ウェインの家にいるんだ?」 「ええ?今日泊まるんですよ」 マシューは高揚した気分から一転、薄暗いモヤが胸に降りてきたのが分かった。泊まるだと?昨日会ったばかりのあいつの家に? 「……なぜだ?」 「マシュー今日帰ってこないでしょ。だから」 「リダクナはどうした。あいつの部屋に泊めてもらえ」 「今日夜勤です、あの人。だから俺、病院の待合に置いてもらおうと思ってたんですけど……」 かくかくしかじかで……。 「……」 「だから、ね、マシュー。俺は大丈夫ですよ。もう俺は背も高いですし力もあります。もう知らない人に付いてったりする子供じゃ無いんです。それに、これは友達同士ですること、なんでしょう?マシューとリダクナさんとも何回かした事あるし……」 「おれたちとあいつとじゃ、また違うだろ……。でもまあ、……分かったよ。明日は絶対帰ってこいよ」 ええ!チャーリーはとびきりの笑顔になると、マシュー、ありがとう!と頭にキスをした。 マシューも不安に耐えられなくなって、チャーリーの頭を掴んで引き寄せ、唇同士を合わせた。舌は入れないでおいた。 「じゃあ、また明日。何かあったらすぐ連絡を」 「はい。マシューも気をつけて。怪我しないで」 アレが入った箱を引き渡すと、マシューはとっとと行ってしまった。チャーリーは少し淋しさを感じながら部屋に戻ると、床が血まみれだった事を思い出した。 ウェインは呆れながら言った。「付き合ってないとか嘘だろ、お前ら」。

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