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第8話-2

「じゃ、オレ今日から夜勤だから」 あと2日、どうしよう。 安定した日々が一転、精神的なその日暮らしの生活がやってきてしまった。リダクナは仕事、マシューも仕事……。 「ああ、あと明日からしばらく巡回はしなくてもいいよ。僕1人で十分だから」 巡回先の先輩魔法使いにも仕事を一時的に拒否られ、チャーリーの気持ちはますます淋しくなった。 そんな時だった、ウェインから連絡が入ったのは。 『魔法を見せてもらうことってできるか?』 一も二もなく、彼はその提案を受け入れた。 指定された場所は街から少し離れた学校だった。ウェインはそこの学生らしい。バスに揺られながら「だけどなぜ突然?」とチャーリーは疑問に感じたが、あえて無視することにした。快諾したものの、彼はマシューと違いパフォーマンスのような魔法は使えない。火も出せなければ水も出せない。誰かが怪我でもしてくれればまた話は違うが、チャーリーは痛がる人を見るのも苦手だった。 バスから降りて少し歩くと学校に着いた。 チャーリーは、ウェインは大学生だったんだ、と気づいた。携帯端末で大学名を検索すると、この国ではかなり大きい方の学校らしかった。 校内のこの教室に来て、と連絡が来たが生徒でもないのに学校に入っても良いものなのだろうか?チャーリーが校門の前を行ったり来たりしていると「おい」と後ろから声がかかった。 振り返るとコンビニ袋を持った呆れ顔のウェインが佇んでいた。何うろうろしてんだ? 「俺、この学校の生徒じゃないので……」 「大学なんだから、気軽に入れよ」 「生徒じゃないのに入っても良いんですか?」 「ん?ああ、そうか知らないのか」 チャーリーははっきり顔が赤くなるのを感じた。ごめんなさい、知らなくて。そう呟くように伝えると「お前何も悪いことしてないだろ。ほらこっち来て」とウェインが校門をくぐって行ってしまった。チャーリーも慌てて後を追う。

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