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第8話-3
チャーリーはウェインに追いついて、黙ってついていったが意を決して尋ねた。
「あの、あの連絡は一体……」
「あの連絡?」
「魔法を見せてくれって……」
「あ〜ちょっと気になったんだよ。マシューさんみたいな魔法、使えるの?」
チャーリーは口篭った。ウェインが聞き返すと、次ははっきりと答えた。
「見ていて楽しい魔法は、使えません……」
「なんだ、それは良い」
「良い?」
「うん。パフォーマンスだけじゃ無いんだな。どういう魔法を……ついた。ここ入って」
小教室の扉を開けると、チャーリーを中に入れた。教室の中には数人生徒がおのおの過ごしていたが、扉が開いた瞬間2人に視線を向けた。
「お、帰ってきた」
「おかえりウェイン〜その子が例の?」
「背が高いんだね〜」
数人がわらわら周りを取り囲み始め、チャーリーは怖くなってウェインの後ろに隠れた。しかし彼の方がはるかに長身だったため無駄だった。
「ウェインさん、この方がたは……?」
「おれの友達……と学部の知り合い。魔法に興味あるんだってさ」
それを聞いてチャーリーはますます小さくなってしまった。
「ほらほら前出て……お前、まさか人見知りするの?」
「いいえ、そうじゃなくて……」
もごもご何かを言い淀み、俯いた。ウェインいじめんなよ〜!と他の生徒がやじを飛ばし、ウェインはいじめてねーよ、と言い返した。
「そ、その、俺の魔法は人に見せて楽しい物じゃないし……」
「別に良いじゃん?どんな魔法なの?」
「うう、ええと、怪我を治したりとか……」
そこで再び生徒たちが質問を投げかけた。
「ヒーラーってやつ?回復魔法?」
「なにそれかっこいい〜!何か使ってみてよ!」
チャーリーは帰りたい気持ちでいっぱいになった。元より、自分に注目が集まるのは得意ではないためこの状況は辛かった。一対一ならまだしも、人の数が多くなるととたんに頭がダメになってしまう。
「おらおら、質問責めすんな。ごめんな、こういうの嫌だったか?とりあえず椅子に座ってくれ。あ、お菓子も買ってきたから食べてリラックスしてくれよ」
分かりやすく慌てるチャーリーを見かねて、ウェインは適当な椅子に座らせて買い込んできたお菓子と炭酸飲料を押し付けた。そうだよな、急に年上の集団に押し込まれたら誰だって困るよな……。ウェインがそう反省した時だった、チャーリーが衝撃的なことを言い出したのは。
「ありがとうございます……あ、そうだ、ここに来た時ちょっとだけびっくりしました。ウェインさんって、俺より年上だったんですね」
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