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第8話-4
同い年だと思ってました!と満面の笑みでお菓子を頬張るチャーリーに、今度はウェインが恥ずかしくなった。
「同い年だと思われてんじゃん!」「ウケる」「っていうかこの子は何歳なの?年下だよね?」
他の生徒たちは相変わらず賑やかに茶々を入れる。この状況を続けてきてもキリがない。ウェインは2回手を叩いて「じゃあ、彼を軽く紹介するよ」と注目を集めた。チャーリーとウェインに顔を合わせるようにして、生徒たちも輪になって席についた。
「彼はチャーリー。先週知り合った魔法使いだ」
「俺、厳密には魔法使いじゃないですよ」
「魔法は使えるのか?」
「使えますよ」
「なら魔法使いだ。で、17歳だ。……なぁ、お前マジでおれのことタメだと思ってたわけ?この間酒飲んでただろ……?」
「18くらいかと思って。それに、律儀に年齢を守ってる人の方が少ないでしょう」
「おま……まあいい。でだ、今日ここに呼んだ理由は、おれとここにいる人たちに魔法を見せて欲しいんだよ」
「うーん、誰か怪我してる人がいたら見せられるんですけど……」
あっ、そういやあの子美術の授業で怪我してたよ!連れてくる!そう言い残すと黒髪の女子生徒が立ち上がり教室から出ていった。ものの5分でその怪我をした男子生徒を連れてきた。
ハサミで指切っちゃったんだって。
連れてこられた男子生徒は分かりやすく不機嫌で、訝しげに教室を見渡した。
「チャーリーくん、これ治せるの?」
黒髪の女子生徒が男子生徒の腕をチャーリーの元まで引っ張ってくる。チャーリーが確認すると、彼は右手の親指をがっつり切ってしまったらしく、指に巻かれた包帯からはじんわり血が滲んでいる。
「これくらいならおそらく治せます。ガーゼを取っても?」
「おい、急に連れてきたと思ったら何なんだ」
男子生徒は苛立ちを隠そうともせずに言った。黒髪の女子生徒が「今から魔法で治してくれるんだって」とにこやかに説明したが、男子生徒はますます怪訝そうにした。
「魔法?馬鹿言うなよ!新興宗教の勧誘だったら他を当たってくれよ」
これがこの国の「魔法」に対する普通の反応だ。彼や大多数の国民から見れば、ここに集まり魔法に興味を示している生徒たちは妙な宗教に入信しているか、はたまたオカルトサークルの集会に映るだろう。実際、そういった新興宗教は少なくない。ウェインだって元々はそうだった。実際目の当たりにするまで魔法なんてものは空想かオカルトの類だと信じていた。
黒髪の女子生徒は「まあまあ、お金もかからないし、ちょっと見てみなよ」とその場から去ろうとする男子生徒を押し留めた。
男子生徒は仕方なく、苦虫を噛み潰したようにチャーリーに右手を差し出した。チャーリーは優しく手早く包帯を取った。それからウェインに「消毒液と清潔なガーゼはありますか?」と尋ねた。
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