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第8話-7

本当に後悔してるんです、1人で大丈夫なんて言っちゃった事。 ウェインは何だか情けなさと苛立ちを感じた。何なんだ、このどうしようもないヘタレは!出来もしない事を意地を張って……。 「……ちなみにだが、お前の周りに、お前に1人で過ごせるようになれ、なんて言う人はいるのか?」 「……いいえ、いません……」 「なら、今は出来なくても良いんじゃないか?必要になったら勝手にやると思うぞ」 「そうですか?」 「ああ。お前がどうしてもというのなら1人で過ごすのも手だけどな」 「怖いです。……ウェインさん、あの」 「まさかまた泊めてくれなんて言うんじゃ無いだろうな。またあんな目に遭うのは」 「違います。今度はうちに来てくれませんか、あの、ちゃんと広いですし、ベッドも2つありますよ」 チャーリーの欠点は誘うのが下手くそということ、そして誘い文句が人によっては煽っているように聞こえるということだ。メールの文面といい、一見常識的で人との会話が上手に出来るように見えるが本当はそうでも無いのかもしれない。 ウェインは教えなきゃいけないことが色々とありそうだ、と密かに頬を噛んだ。 「ああ、分かった。じゃあお邪魔するよ」 「それは良かった!今から行きましょう!」 「今から?泊まる準備とか……」 「俺の貸すのでこのまま行きましょう!こっちです!」 無邪気な笑顔に押され、反論もできずチャーリーに引っ張られ、人通りを確認してからある地点で立ち止まった。 「ウェインさんはワープは初めてですよね。だったら酔うかも」 「ワープ?SFの話なんてしていたか?」 「じゃあ行きますよ〜、手を離さないでくださいね」 急に手を握られ、彼の手の大きさに驚き、男と手を繋ぐという状況に鳥肌が立った。しかし視界の景色がパッと変わり、その鳥肌もすぐに引っ込み、次の瞬間軽い吐き気が襲いかかってきた。ウェインは何が起こったのか理解が追いつかず、ただ吐かないように口を押さえ、仇を見るかのようにチャーリーを見た。 「あはは!分かります。俺も最初吐いたんですよ!三半規管が弱い人はそうなっちゃうんですって!」 「何が面白いんだ……うええ気持ち悪……」 「もう少しで家です。そこまで我慢できますか?」 「ヤバかったら言う……」 2人は1分ほど歩き、その時点でウェインが腹の中身を戻し、それからまた7分ほど道なりに行った。不思議な光景だった。ウェインは気分がすっきりした後、街を観察し、位置を特定しようと試みたがまるでどこか分からなかった。先ほどいた場所とそう見栄えは変わらないのだが店らしい店がまるで無く、奇妙なことに人っ子1人見当たらない。 「ここです。ここの3階に住んでます」 案内された建物は5階建ての煉瓦造りで、どことなく魔法使いが住んでいそうな雰囲気を纏っている。 エレベーターも無く急な階段を3階まで上ってすぐの部屋の扉を、チャーリーはガチャガチャ鍵を鳴らして開けた。

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