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第8話-8

室内は確かに広く、リフォームされたばかりなのか新しかった。リビングルーム、キッチンは別。寝室も別でついているらしい。物も少なく、チャーリーかマシューのどちらかが几帳面なのかしっかり整理整頓もされていて綺麗だ。 ウェインはリビングに通され、そこにあるソファに腰掛けた。少しだけ安心したのは、ソファはウェインの持っている物とそう変わらない品質であることだった。……リビングにある小物や家具をよく見ていると、2人が家具に対してこだわりが強いようには見えなかった。ソファ、テーブル、椅子、本棚、机、どれも安価な家具屋で見かけるような物ばかりだ。テレビもあるが、それもこぢんまりとしている。 「コーヒーで良いですか」 「あ、ああ、ありがとう……」 コーヒーをウェインに渡すと、チャーリーも彼の向かい側のイスに座りコーヒーを飲んだ。 「マシューとリダクナさん以外でこの家に入るのは、多分ウェインさんが初めてです」 「そうなのか?他の友達とかは?」 「マシューが、人の匂いを嫌がるんです。彼とても鼻がきくから」 「へぇ」 確かに神経質そうだもんな。家具の品質と配置にこだわりはなさそうだが、埃や汚れはリビングのどこにも無い。 ね、ウェインさんの家より広いでしょう?とにこやかに言うものだからウェインは苦言を呈した。 「あのな、そういう言い方やめた方が良いぞ」 「そういう……?」 「……他人を馬鹿にした言い方、だよ。友達無くすぞ」 「俺、馬鹿にした言い方してますか?ごめんなさい。そんなつもり無かったんです」 しゅん、と存外素直に謝られウェインは驚いた。友達を無くしたくは無いので言ってくれてありがとう、と感謝もされ二重に驚いた。こういった人の内面を指摘する時、大抵良い顔はされないから避けていたのだが、チャーリーは別らしい。心の底から反省している表情になった。 「あと……メールの文章ね、カラフルにしすぎだよ。びっくりしちゃった」 「それ、マシューにも言われたんです。カラフルな方がにぎやかで良いかなと思ってたんですが」 「そういう考えなのね……。おれは気にしないけど、控えた方が良いと思う」 「わかりました」 「なぁ、お前っておれ以外に友達いるの?」 「い……いますけど」 「どれくらい?」 「リダクナさんとか……」 視線は合わせたまま、唇を噛んだり顎をさすったり。 まあいいや、とウェインは「夜ご飯どうすんの?お腹減らない?」と尋ねた。出来合いのものと、冷凍食品があるのでそれ食べましょう。チャーリーはキッチンに向かい、冷蔵庫を開ける音や食器を鳴らす音を立て始めた。 先週は聞けなかったことでも聞いてみようかな、と友達の事を聞いたが濁されてしまった。さきほども感じたが、特別外向的な性格でも無いのだろうか。どこか外面を取り繕っているような時がある。 「さ、食べましょう。夜は映画でも見ます?」 チャーリーが次々と料理を運んでくるが、明らかに2人で食べられる量ではない。これ、2人で食べ切れるか? 彼は冷静にご飯の量を見ると口を一文字にしておでこを押さえた。 「……ごめんなさい。マシューに出すのと同じ量作っちゃった。食べきれなければ置いといてください」 「お前とあの人、そんなに食べるのか?」 「マシューは……まるで怪物ですよ。フードファイターになれると思います。俺は並です」

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