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思い出す顔
「ほら、これ着ちゃって‼」
そして、とうとう水色のキャミソールを着せられてしまった。
下着が男モノというギャップに、女たちは太鼓判を押す。
「敢えて、男モノがいいかもね~。なんか、男の子って象徴があると萌えるかも‼」
そんな感想は聞きたくない。
祐羽は身を丸めて、恥ずかしい格好を隠していたが逆にお尻が強調されていてエッチくさいと指摘されると、渋々身を起こした。
「ひ、ひどっ…酷いですっ」
グスグス言い始めた祐羽に、女たちは眉を下げて謝ってくる。
「ごめん、ごめん」
「可愛くて、ついね~」
謝っている顔が優しくて、これ以上は責められない。
「あと少ししたら、お客がくるからね。今のうちに準備しておかないと」
「イヤです‼ 知らない人とエッチなんて出来ません…っ。僕、できない…」
祐羽が涙を流しながら首を振ると、女たちが顔を見合わせた。
「でもね、私たちも最初キミと同じだったよ」
髪の毛が肩までの綺麗な女が、ポツリと呟いた。
「そうそう。何でこんな仕事~?って。絶対に体を売りたくない‼って…」
「だけど、この店に来たからには解放なんてして貰えないのよ…逃げられないの」
室内に居た女たちが、寂しそうに苦笑した。
「借金返済するぞ~って思いながら頑張るけど、いつまでたっても完済できない。そういう仕組みになってるのよ…」
「ここの従業員は、みーんな下っ端とはいえヤクザだもん」
涙目を擦りながら、回らない頭で祐羽は話を脳へと取り込んでいく。
女たちの話では、元締めである森田以外、先程の男たちも一般の人間ではないらしい。
「…や、ヤクザ…」
そう思わず呟き祐羽が思い出したのは、自分が男に襲われ危機に陥っていた時に出会った、あの男の顔だった。
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