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ドアの先に
九条は魅力的な男で、何度も危機を救って貰っていた。
しかし、自分が陥れられた裏の世界に、同じく身を置いている男でもある。
こうして自分を助け、今など風呂まで貸してくれた。
その優しさと同時に、敵対しているらしいヤクザや部下相手に、容赦ない暴力的な一面も見せられているのだ。
開けるか、開けないか。
「どうしよう…」
このまま帰ってしまおうか?
一瞬思い浮かんだ考えだが、フルフルと首を振った。
ダメだ。
いくら相手がヤクザという肩書きを持っていても、実際に自分を助けてくれた人間に対して、そんな失礼極まりないことは出来ない。
祐羽の生真面目な性格が、ヒョッコリと頭を出した。
そうなると、もう答えは出ている。
ガチャッ
祐羽は、ドアをそっと開けたのだった。
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