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弾むベッドに仔犬1匹

「お、降ろしてっ‼ 」 抵抗にならない抵抗を繰り返す祐羽だったが、ドアが開けられたのを知り先程よりも益々慌てた。 視界がリビングから閉じられたドアへと切り替わると、別室へと連れて来られた事が分かった。 うっすらと灯りの点る室内を数歩行って九条が立ち止まったかと思うと、いきなり祐羽の視界が反転した。 「えっ⁉うわぁ‼」 それと同時に浮遊感に教われて、目をギュッと閉じた。 「‼」 すると、緩慢な衝撃が訪れボフンッと体が柔らかな物に包み込まれた。 目をパチパチさせてから開くと、見知らぬ部屋の天井が見えた。 そして首を横に向けて確認すると、そこは祐羽ひとりが転がっても余裕な広く心地のよいベッドの上だった。 ベッドへ放り投げられた形で固まっていた祐羽は、我に返ると、慌てて体を起こそうとした。 けれどそれは、目の前に現れた影に遮られてしまった。 「九条さ…っ⁉」 ベッドに乗り上げてきた九条が、驚く祐羽を再びベッドへと押し倒してきた。 両手を顔の横に固定されて体に覆い被されると、小柄な祐羽は九条の下へすっぽりと隠れてしまう。 そんな体格差から、九条を押し返す力は到底出ない。 眉間に皺を寄せる祐羽に、九条の整い過ぎて恐ろしい顔が近づいてくる。 「ッ‼⁉」 何をするんだと抗議の声を上げようと口を開こうとした自分の唇が、熱い何かに塞がれた事に驚いて、祐羽は目を見開いた。 そこで漸く唇を奪われた事に気づいた。 今、自分は、九条にキスをされているのだ。 「んんっ‼」 人生初めてのキスに、戸惑い困惑し、ただ唇を合わせるだけではない事に目眩を起こしそうになる。 「はっ…ぁ、んんっ、んっ」 クチュクチュと音を立てながら唇を貪られる。 整った九条の顔が恐ろしい程に近い場所にある。 閉じられた瞳を縁取る睫毛が、意外にも少し長いんだというどうでもいい事に気づいた。 それからゆっくりと細く開いた九条の欲情した瞳に、吸い込まれそうになる。 祐羽の思考が酩酊する中、九条の口づけは激しさを増していった。

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