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口づけ

生まれて初めてのキスが男とか女とか、そんな思いなど一切過らない程に、祐羽は混乱していた。 何で、どうして、という考えが浮かぶものの直ぐに霧散してしまう。 それもこれも、九条のせいだ。 キスというものは、チュッと唇を軽く合わせるものだと思っていた祐羽にとって、こんなに唇を深く合わせるとは思ってもいなかった。 「は、ぁん、んふっ、ん」 「…っ」 チュックチュチュッジュルッ 「はぁっ、ぁ、んっ」 キスの激しさを証明するかのように、耳に口の中を犯される音が響く。 唇を味わうように、ねっとりと舐められる。 息を継ごうとした時を狙って、九条の舌が侵入してくる。 唇を割って入ってきた熱い舌が、祐羽の口の中を思う様蹂躙していく。 「ぁ、…んふっ、んっ」 口腔内を舌で舐めて擽り、怖がって奥へ逃げた舌を絡めとり捕まえては、優しく甘く吸い付いてくる。 「ん、ん、ふぅ、っ」 鼻から抜ける甘い声に、自分でも信じられない。 息苦しかったものが、直ぐに甘い痺れを引き起こし、祐羽の頭は何も考えられなくなる。 ただただ、この口づけを甘受するのみだった。 体の力も抜けて、両手は指を絡め合わせとられていた。 所謂、恋人繋ぎになっていたがそんな事に気がつく余裕などない。 漸く不本意にもキスに慣れた頃、九条の大きな手が祐羽のバスローブの合わせに添えられた。

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