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初めての朝
祐羽はフワフワとした不思議な感覚に囚われながら、ゆっくりと瞼を押し上げた。
室内は暗く朝か夜か分からない。
ぼんやりとした脳が次第に甦ってきて、祐羽はそこで初めて思い出したのだ。
「…そ、そうだった」
とんでもない事をしてしまった。
いや。されてしまったのだ。
昨夜自分は、九条と体を重ねてエッチな事をしてしまったのだ。
しかも男同士で、自分は女の子の様に抱かれてしまった。
真面目で奥手な祐羽の常識からは、全てが外れていた。
無断で外泊をした挙げ句、本来は結婚してから奥さんになる相手とする筈の行為。
それを大人のそれもヤクザで男相手に抱かれて、射精までされたのだ。
「ぼ、僕…」
中に出され…。
「…っ」
顔面蒼白になり、祐羽はベッドで悲嘆にくれた。
自分は、なんてことをしてしまったんだろうか。
顔に両手を当てて目を隠して、心を落ち着けようとする。
けれど、それで誤魔化せる筈もなく、嫌でも色々と思い出してしまう。
性に疎いお子様の祐羽には、衝撃が強すぎて心がざわめいて耐えられそうにない。
そこでハッと気がついて布団を捲ると、裸で寝ている。
手を伸ばして腹に触れるが、汚れた体は一応拭かれたのかベトベトした感触はない。
九条が拭いてくれたのだろうか?
戸惑いながら室内を見回す。
カーテンは敷かれたままで暗いが、気持ち程度灯りが室内をほんのり照らしていた。
そこに九条の姿は見られない。
内心ホッとしつつ体を起こそうとしたが、身体中がまさかの筋肉痛の様な痛みでいうことをきかない。
「いっ!!痛ぁ…っ」
痛みから、祐羽は思わず声を上げた。
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